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第9話 選ばれし者よ、とか抜かす新手の詐欺


俺はいつもの本屋にラノベを買いに出かけていた。俺にとって運命の分かれ目に当たるこの日は雨が降っていた。右手に傘を持ち、左手には今日買う予定のラノベを手に持ち、レジに向かって歩いていたら、謎の少女と出会った。その子は俺の前で立ち止まって俺に向かってニコッと微笑んだ。なぜ俺に向かって微笑んだのかはわからなかった為、俺はどうしていいかわからずに微笑みを返すことのくスルーした。次の瞬間、俺はいつのまにか見渡すかぎりの青い空間にいた。


「ここどこ?」


今度は俺の目の前に小さなラジカセが浮いていてそこから女性の声が流れてきた。


「愛沢勝悟さん、選ばれし者よ、あなたは今この時、神に選ばれました」


澄んだ綺麗な声だった。どこかで聞いたことがあるような懐かしい声だと感じたけど、それがなぜかはわからない。とにかく懐かしいと感じる声が俺を指名した。


「えっと、神に選ばれたってどういうことですか?」


とりあえず心を落ち着かせ質問をしてみる。自称神(仮)を名乗るラジカセに。


「わたしはとある使命を背負うにふさわしい人間を探していました」


「それは?」


「まだそれは内緒です。しかし、あなたはその使命に選ばれました。わたしは愛の女神。幸運と恋愛を司る自由の女神。わたしはこの使命をあなたに託し、導くと決めました」


「はあ……内容を教えてくれなきゃ俺にも意味がわからないんですけど」


「心中お察しします。しかし、内容は教えることはできないのです」


「じゃあ俺はその使命降りますよ」


「それは困ります。わたしは自由の女神。あなたはただ心赴くままに過ごしていたらそれで十分なのです。これからは陰ながらわたしがあなたを導き、支えます」


「……」


これって新手の詐欺なんじゃないかと疑い始めた俺。自由の女神ってところを推してくるけど、この世に完全な自由がほとんどないことを悟っている俺は察してしまった。


「あの、俺って実は以前、他の神様に依頼されて異世界に旅に出たことがあるんですよ」


「はい?」


「そのとき、どうしても故郷に帰りたかった俺は、どんなところからでも自分の家に転移できる魔法を編み出したんですよ」


「……」


この女神、なんか静かになっちゃったけど大丈夫だろうか。


「だから俺、帰りますね。だって何もしなくてもいいって言ったのはあなたですから」


次の手で俺は転移魔法を発動しようとした俺だったが……。


「待ちなさいよあんた! わたしの依頼を断るつもり!」


そうギャン泣きしてラジカセを内側から破壊しながら現れたのは俺を以前異世界送りにした女神だった。



「なあアマテル」


「なによ」


俺はこの久しぶりに会ったこの女神に確かめることがあった。


「さっき、俺に向かって微笑んだ少女は何なんだ? なんか運命の出会いらしき雰囲気を感じたんだけど。俺少しだけドキってしたんだけど」


「あーあれね、あれはそうね、あれよ。たまたま見かけたお兄さんの顔があまりにも普通で見ていられなくなってちょっとサービスで微笑んだだけよ」


俺の目を見て話さないアマテル。絶対に嘘をついている。思い出してみればあの少女はとんでもない美少女だった気がする。別に幼女好きってわけではないが、昔俺には年下と付き合うことになるだろうねと、俺の幸せを願うと言った女神がいる。


「お前、絶対アレは運命の出会いだったろ。俺って少しエンパスだからわかるぞ。あの少女の好感度は俺に対してそこまで悪くなかった」


「だったら何だって言うのよ。はあ、この話はもうおしまい」


「なにがおしまいだよ。俺と出会う美少女がことごとく離れていくのってまさか……」


俺には心当たりがあった。幼稚園生の頃から俺は女の子との付き合いがそこそこあった。相手からの思いが恋愛感情ではなくてもそんなに悪い物じゃなかったはずだ。しかし、ことごとく女の子に別の好きな人ができたり、避けられるようになったりして、俺は高校二年生になった今も恋人がいない。


「し、知らないわよ……全部あんたが女の子を口説けないのが悪いんじゃない。何でもかんでも女神のせいにするその癖、相変わらず治ってないわね」


「実際、お前のせいで散々な目にあってるからな。はあ、話は変わるけど、まさかまた魔王退治でもお願いするつもりか? 俺は昔の力をほとんど失ってるんだぞ。また一から強くなってやり直したくないし、他の奴のに頼んでくれないか」


「魔王退治じゃないわよ。そっちは他の子を行かせたから」


「そうか。なら俺のやることはないな。帰る」


「待ってよ!」


アマテルが俺に抱き着くようようにして転移を止めてきた。美少女であるアマテルに抱き着かれるのは男子として喜ぶことなんだろうが、それがアマテルだと思うとなんだかな。


「わたしあなたに使命を託すことにしたのよ」


「なんだよ使命って。なんか無理やり人間を働かさせる建前のようにしか聞こえないけど」


「それでもいいじゃない」


いいじゃないとか言ったぞコイツ。


「なんだよその使命って。説明できないなら俺は嫌だぞ」


「使命はおのずから生まれ悟る物なの。だから最初から人間の使命を打ち明けることはできないの。神ですら見通せない未来だってあるもの」


そうなのか。その使命ってのが普段通りに過ごしていても達成されるってことなら受けてもいいのか? いや、前回この女神に呼ばれたときは魔王退治だったとはいえ散々な目にあったしな……。どうしたものか。

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