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第17話 帰郷後


「こんな感じでハチャメチャだったのよ」


映像が終わると同時にアマテルがそう言った。


「確かにハチャメチャですね」


「そうよ。正直に言いなさいよ。常識に欠けてるって」


「はい」


散々な言われようだな。俺はいじけるのを隠すように紅茶を飲む。あの頃の俺はストレスが限界突破していて、他人に気を使う余裕がなかったのだ。今の少華に似ている。ただでさえ故郷に帰る手段を探すのに必死になっていたというのにあの世界の大戦争に巻き込まれたのだ。過労死しなかったのが不思議なぐらい俺はあの世界で頑張った。


「今は落ち着いてるんだからいいだろ」


「今はね、さっきの映像のあといろいろあって今の落ち着いた連になったのよ」


「そうだったんですか」


少華が疑問そうな顔をしている。これを見て何かを学べと言われてもわからないのだろう。


「アマテル、これを見ても伝わらないんじゃないか」


「そうね、じゃあ連の口から伝えなさい」


ここで俺に振るのか。しかし俺にもなにを伝えれば少華のためになるのかがわからない。アマテルは理由があってこの映像を流したんだろう。俺がエルトという偽名を使ってた頃の。あの頃の俺にあって今の俺にないものは。


「遊び心的な奴か?」


「微妙よ、当たらずとも遠からず」


となるとあのふざけていたころの俺から学ぶことがあると言うこと。


「たぶんだけど、アマテルはもっとリラックスしたらいいんじゃないかって言いたいんじゃないか?」


アマテルは腕を組んで黙ってる。


「この世界はそこまで狭くないんだからもっと人生を楽しみながら生きるのもいいんじゃないかってことなんじゃないか?」


これで少華に伝わるだろうか。


「そうですね。そうなのかもしれないですけど、いきなり気持ちを切り替えるのはちょっと……」


だよな。きっと少華は魔術協会の人たちに大切に育てられる反面、外の世界を見たことがあまりないのだろう。俺が伝えるべきことが少しわかった。


「少華、人って決して一人じゃないんだよ」


「?」


俺はずっと一人で頑張ってきたと思っていた時があった。しかし俺には大切な家族がいた。距離は離れていても友達がいた。だから一人じゃなかった。


「少華は基本単独行動を好みそうなタイプだよな?」


「そうですね。ほとんど一人で行動しています」


「けど、自分は一人なんだって思っちゃいけないんだと思うよ」


「どういうことですか?」


「俺たちは同じ地球人、同じ大地を生きていると言ったら拡大解釈すぎて伝わらないかもしれないけど、物理的に他人と距離が離れていても少華のことを大切に思ってくれる人がいる。少華との思い出を大切にしてくれてる人間がいるってことを忘れたらいけないんだよ」


たぶん今の俺が伝ええることはこんなものだろう。というかこれしか思いつかなかった。少華はしばらく悩んだ顔をしていたがすぐに元に戻った。


「一応、心にとどめておきます」


「ああ、そうしてくれ」


「一応じゃなくて一生忘れるんじゃないわよ娘、いい? わかった?」


「あ、はい、わかりました」


俺は立ち上がりキッチンに行く。今日の晩御飯を作るためだ。今日は俺の好きな明太子パスタにしよう。俺の作れる料理は限られているけど、スパゲッティなら作れる。少華にはさっきのことを考えて貰ってゆっくりしてもらおう。


「晩御飯ならわたしが作りますよ」


少華がキッチンにまで来て俺に行った。俺が棚からパスタを取り出したのを見てなにをしようとしているのか気づいたのだろう。


「家事はわたしの仕事ですよ。連さんはリビングで大人しくしていてください」


「いや、少華は俺がさっき言ったことを考えて欲しいんだけど」


「それはいつでもできます。いいからリビングに居てください。邪魔です」


「あ、はい」


邪魔と言われたら下がるしかない。しかし、いいのだろうか。ここで俺が下がって。どうしたものか悩んでアマテルを見たらこっちにこいと手招きされた。ここは少華に従ったほうがいいとのことだろう。


「なにを作ろうとしていたんですか?」


「明太子パスタ」


「わかりました。わたしが作るのでゆっくりしていてください」


そう言って少華は料理を始め、俺はリビングのソファに移動した。

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