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第12話 力に頼る魔法はケチだという


予想通りのことだが太陽とは別のクラスになった。俺は自分のクラス、教室前に張り出されている座席表を確認して中に入る。中にはすでに数人の生徒が席に座り雑談に浸っていた。新しい生徒がっ教室に入ってきたことで一瞬教室の視線が俺に集中したがすぐに元に戻った。俺は席に付きクラスの様子を確かめていたら隣の席に座っている男子生徒から声を掛けられた。


「よ、俺は剣崎義弘、一年間よろしくな」


なかなか人懐っこそうな顔をしていてがっつりとしたスポーツマンって感じの男子だ。


「よろしく、西治連だ」


「俺、まだ友達が居なくてさ、友達になってくれよ」


ありがたい申し出だ。


「こちらこそよろしく。俺の知り合いがこのクラスに入ってくるからあと一人友達が増えると思うぞ」


中学時代の同級生だ。昔から仲が良く、一緒に遊んだり魔法の勉強をしていたやつだ。


「へえ、西治の友達か。きっといい奴なんだろうな」


「そんなことがわかるのか?」


簡単に人を信用しすぎのような気がするが。大丈夫だろうか。確かに今からくるはずの男は良い奴なんだが。


「なんとなくな、俺って人を見る目はあるほうだと思うぜ」


「それで俺を選んでくれたのか」


「ああ、ここだけの話、他のクラスメイトは俺と纏っている空気が違って落ち着かないんだよ」


「だから俺に声をかけたのか」


「ああ、西治ってなんだか気さくそうな顔をしてたからな」


どんな顔だろうか。気さくそうな顔って。まあ、これでさっそく友達ができてラッキーだけど。少なくともクラスでぼっちになることはなさそうだ。


「なあ、西治の友達ってどんな奴なんだ。俺でも仲良くできるようなやつか?」


「基本的に良い奴だよ。ただ怒ると怖いから注意が必要だけど」


「そうなのか」


まああいつが怒るのはいつだって友達の為だから信頼はあるけど。まああいつが怒ることがないことを今後祈ろう。たぶん剣崎とも仲良くできるだろうしな。すると剣崎が心配そうな顔で俺を見つめ出した。


「なあ、大丈夫なのか?」


「うん? なにが?」


「あのな答えにくかったら答えなくてもいいんだけど、西治の周波数ってなんか低くないか」


周波数とは人の人の脳から放たれる磁場のようなもの。これが俺の場合低く見えるらしい。魔法省ではこの周波数を基本五段階に分けて一次元から五次元に分類している。


「お察しの通り、俺は三次元の周波数しか放ってないよ」


「マジか。それでこの学校に入学するって大丈夫なのか? 三次元ってほぼ一般人と大差ないって聞くぞ」


その通り。周波数に合わせて人は異能の能力を発現させることが稀にある。だが俺の三次元の周波数では一般人と大差ない能力なしとなる。だから剣崎は心配してるのだろう。この学校は実力主義なのだから。




「そんな学校に通っていたから、俺は少しだけ魔法に詳しいんだよ」


俺は少華との関係をピリピリした状態で終わらせるのが嫌だった。だから少しだけ自分のことを話すことにした。去年まで通っていた特殊な環境。初めてできた友達のこと。


「でも、今は連さんって普通の学校に通ってますよね?」


「ああ、俺が思っているよりも厳しい学校でな、俺は太陽と一般の学校に転校したんだよ」


「そうだったんですか。でも連さんの実力なら」


「まあ、実力の問題じゃないよ。いろいろあったんだ、いろいろね」


少華はその先のことも聞きたそうにしているが俺はまだ話さないことに決めた。あまり面白い話でもないし、少華には関係のない話だ。俺も前の学校での問題は過去のこととして流してる。だからいいのだ。


「連、あんたもう少し、この娘に心を開いたらいいんじゃない?」


「へっ?」


アマテルが呆れたように言ってくる。なるほど、これが赤の信頼ってやつか。赤の他人に信頼して欲しければ、まず自分が信頼することから始めろと。アマテルが勧めてくるしたぶん少華を信頼しても大丈夫なのだろう。ここでこんなことを考える俺のヘタレ加減に呆れるが仕方ない。ここはアマテルの言う通りだ。


「少華、紅茶のおかわりをくれないか?」


「あ、わかりました。ちょっと待っていてください」


少華のいれる紅茶は美味しい。おかわりが欲しくなるのも仕方ないだろう。それになんだか今は飲みたい気分だった。自室からパソコンを持ってきて魔導書を作ることにした。今は一人になってはいけない気がしたから。


「少華の家族はどうしてるんだ? やっぱ魔術師なのか?」


「いえ、わたしの両親は一般人です。偶然わたしに魔術の才能があったから聡さんにスカウトされました」


「そうなのか。俺と似たようなものか」


「連さんも?」


「うん、俺の両親も一般人でさ、例の彗星のおかげで俺と弟は魔法が使えるようになったんだよ」


「そうだったんですか」


俺の馴れ初めはそんな感じだ。少華の話も聞いてみたいけど本人から話すまで待ってよう。まあ、そんなときが来ればの話だけど。


「連さんは固有魔法の領域に辿り着いてるんですか?」


どうなんだろうな。俺は確かに魔法が使えるけどそれが固有魔法に該当するかはわからない。アマテルに確認した。


「連は固有魔法なんてケチな領域の魔法使いじゃないわ」


アマテルがそんなことを言った。


「固有魔法がケチ?」


少華が疑問そうにしている。そりゃ今まで目標にしていた基準が無意味だと言われたようなものだからな。


「そうね、とりあえず娘、今の連も重要だけど、昔の連も知るべきね」


えっとどういうことだろうか?


「今からテレビに連の過去の一部を流すわ。それを見て少しは学ぶのね」


そう言ってアマテルは指をテレビにふっと振る。そうするとテレビに俺が異世界にいたころの映像が流れ始めた。

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