表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/18

第11話 魔法の歴史


「ただいまー」


「おかえっ! うわあ~!?」


タクトが俺の肩に乗るアマテルを見た瞬間どっかに逃げて行った。帰宅そうそう騒がしい。なんでかわからないけどモンスターたちは神や女神を避けるのだ。怖いから避けるのか、苦手だから避けるのかわからない。今のところ詳しく聞くつもりがないから当分わからないままだろう。リビングには少華がいた。


「お帰りなさい連さん、その肩に乗っているのは新しいモンスターですか?」


「失礼な娘ね、誰がモンスターよ」


「彼女はアマテル、一応女神だ」


俺がそう言うと少華は頭に?マークを浮かべた。そりゃそうだよな。世間一般で神の存在を信じる者は少ない。神社のお参りに行くとき神様にありがとうとお礼を述べるときにしか人は神様と触れ合うことがない。人は知っているのだろうか。神様にはお願い事を言うのではなく、ありがとうとお礼を言うべきだと言うことを。


「一応もなにもわたしはれっきとした女神よ。そこに娘。わたしを崇め敬いなさい」


「はあ、これはどうもご丁寧に、わたしは辻村少華です。えっと、女神様」


「ふん、少しは物わかりが良さそうな娘ね。わたしのことをアマテル様と呼ぶことを許すわ」


すごいな少華。いきなり様付けとはいえ神の名前を呼ぶことを許されるなんて。それを自覚しているのかどうかわからないが少華はいまだに?マークを浮かべていた。


「別にこいつのことは気にしなくてもいいよ。変わった住人が増えたと思ってくれ」


「わかりました。あ、女神様って紅茶飲みますか? いま準備しますね」


そう言って少華はキッチンへ。俺は買ってきたラノベが入った買い物袋を自室に持っていきリビングのソファに座った。


「あの娘、どうしたのよ。あんたのことは見て来たけど、あんたが女を連れてるなんて」


「ああ、それは──」


俺は魔術協会で依頼された魔導書づくりのことを話した。


「なるほどね。それにしてもこっちに来ても魔術関係のことに巻き込まれるなんてあんたも大変ね」


「別に大変ってことでもないさ。お小遣い稼ぎにしてはコスパはいいんだぞ」


まあ、そのコスパがいい状況になるまでは俺も大変だったんだが。人の苦労の数と量は一種の宇宙的な貯金箱のようなものだと考える。俺には宇宙から認められた貯金があったのだろう。


「確かにコスパは良いでしょうね。あなたほとんど本気出してない。さっきあんたの部屋に寄ったとき魔導書を確認したらあんたの適当ぷりにびっくりしたわ」


「気づいたのか……」


「気づくわよ」


まあ、本物。正真正銘の希少な魔導書は作りたくないんだよなあ。なんでかわからないけど嫌な予感がするんだ。だから俺は玩具とまで言わないがいろいろと細工を施して安全面で気を使っている。それを見てアマテルは本気を出してないと言ったのだろう。


「なあ、アマテルは少華には才能があると思う?」


「なんのよ」


「いろいろだよ、総合的に見て」


「ふん、そんなこと気にしてどうするのよ。仕事が終わったら放っておけばいいじゃない」


「だけどな、なんか少華って張りつめ過ぎているような気がしてなあ」


アマテルが額に人差し指を当てて何かを視始めた。


「ふん! あんたは心配しなくていいわよ」


「成るように成るってことか」


「そうね、それよ」


じゃあ少華に対する心配も時間の問題だな。俺はほっとした。




西暦2050年、魔法は見えざるものとして扱われてきた。空想上の存在。もしくはオカルト、都市伝説的な存在。人間にできるのは精々人の目を盗んで穴を突くマジック程度。誰にもその先からのマジックはできない。ネタ晴らししたら最後の技術。そんな中、ある一人の天才マジシャンが現れた。彼は様々なマジックを極め観衆の支持を思うままにし、伝説の魔術師の異名で呼ばれた。そんな彼は一言、全世界に奇抜なことを言ってのけた。


『魔法は実在する』 


そんな一言を残して、彼はテレビの世界から姿を消した。そして彼が予言したことが現実になった年がある。2056年。二つの彗星が地球に接近し、ギリギリの距離を保ちながら旋回し出した。彗星から放たれる周波を受けた人間たちの中から、覚醒者と呼ばれる人間たちが現れ始めた。彼らは自分たちが使えるようになった技術を魔法と呼び、現代の歴史、科学に定着させた。それから各国は魔法の技術を競い合うようにして発展させ、現代の技術の代表的なものに魔法を加えた。


そして、2067年。五大魔法学園の一つである生禅偽果学校に二人の兄弟が新入生として現れた。


「兄貴、本当にこの学校を選んで良かったの?」


弟である西治太陽が俺に聞いてきた。俺、西治連は太陽の心配する気持ちをちゃんと理解しているつもりだ。この魔法に関わるこの学校は完全実力主義。昔から差別を廃止する運動は起きているらしいがそれでも序列のような風習は存在するらしい。


「俺は別に気にしてないよ。俺は魔法が勉強したいんじゃなくて友達ができればいいだけだしな」


「それならいいけど。まあ何とかなるか」


「うん、何とかなるんじゃない?」


太陽は魔法の才能に恵まれてる。この学校で心配することはないだろう。俺のほうはあまり魔法の才能に恵まれているとはいえないが、魔法に匹敵する才能を持っている。何とかなるだろうと思った。なにせいくら実力主義とは言え、皆が皆、実力にこだわっているわけじゃないと思うからだ。


「そういう太陽こそこの学校で良かったのか? 別に俺についてこなくてもいいんだぞ。好きな一般学校はなかったのか?」


「まあ、なかったわけではないけど、それはこの学校でもできるしね。それに俺がやりたいスポーツ自体、この学校は強豪校だし一石二鳥って感じかな」


そっか。太陽は運動神経がいい。どんな部活に入ってもうまくやれるだろ。


「兄貴は部活に入る気はないの? あんま本ばかり読んでいてもつまらないでしょ」


「読書は楽しいんだけどな。まあいいか。いまのところ部活に入る気はないよ」


俺はほんとに友達ができてそれなりの青春を送ればそれでいいと考えている。さて、友達何人できるかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ