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第10話 神様って普段何してるの?


「その使命とやら、本当にいつも通り過ごしているだけでいいんだな?」


「それでいいの、やっと受け入れる気になったわね」


別にまだ受け入れたわけじゃないんだけどな。それにしても前世でこの女神に初めて会ったときからアマテルの姿は変わってない。少しだけ大人びた雰囲気を持つようになったとは思うが、本当に変わってない。前に別の女神から、神様だって変わることはあるのよと言われたことはあるがどうなんだろうか。


「じゃあ俺は帰るぞ」


そう言って俺は現実に転移した。すると本屋のレジ近くに俺は居て、さっきまでいた少女は居なくなっていた。いなくなっていたんだが……。


「お前、ついてきたんだな」


俺の肩にミニマムサイズに変身したアマテルが腰かけていた。


「そりゃそうよ、わたしが使命を託したんだから最後まで見届けるのは当然でしょ」


「それぐらいの責任感をいつも発揮してくれると俺も前の異世界生活で苦労しなかったんだけどな」


「失礼な。わたしにだって責任感はあるわよ」


「へー」


まったく信用ならない。神は人に声を届けるのが仕事と言っていた女神は最後まで俺の前に姿を隠したまま魔王退治に参加してきた。アマテルといい他の女神といい神様ってのは本当にどんな存在なんだろうな。ゼスって神様は俺の様子を見るだけ見て自分の居場所に帰っていったし。神様って人間を常に見守っているっていうけど、見守るだけで普段何しているのか?


「普段通り過ごしていいって言ってたからそのつもりだけど、俺を見ててもつまらないと思うけどな」


「なんでよ」


「もう今の俺には力がないし、ここは異世界じゃないからな。昔みたいな冒険もできないし、俺自身もだいぶ落ち着いた性格になった」


「要するに大人になってつまらない人間になったと」


「そういうこと」


「バカね。あなたなんてまだまだ子供よ。そもそもまだ高校に通っている歳でしょ。いくら精神が大人でも神には勝てません」


ふむ……。そうかもしれないけど、そうじゃないかもしれない。なぜなら俺は何故かわからないけど神様に対して敬意は持っているが尊敬はしていない。なんというか、様付けして名前を呼ぶ気になれないのだ。これを言うと神様たちは珍しがっていたのを覚えている。


「見守っていますよとか言って、いつも家で食っちゃ寝していたのは誰だったけ?」


「知らないわよそんなこと。そんなことよりその本面白いの?」


「ああこれ? 面白いよ。実際に戦った経験があるから新鮮味には欠けるけど、現代の小説もなかなか面白いよ」


「ふーん……ま、いいわ。あまりラノベに熱中しすぎないようにね」


なんでアマテルがそんなことを言ったのか、俺には何となくわかった。



「ねえ、さっきの女の子のこと気になるの?」


アマテルがそんなことを言ってくる。


「気にならないわけじゃないけど、名前も知らない子だし」


居場所も知らないからどうしようもない。また会うことはもうないだろうと思う。


「ふーん」


「なんだよ」


「なんでもない。それより勝悟って学校でいつも一人でいるけど。友達はどうしたのよ」


この女神、もしかしてずっと俺のことを観察していたのか? でもないと俺が友達のいないぼっちであることは知らないはずだ。


「好きでぼっちしているわけじゃないけどな。ただ、特に用もないのに話しかけるって行為が俺にはハードルが高いんだよ」


「そんなの簡単じゃない。適当に話題作って適当に笑って適当に流せばいいのよ」


めちゃくちゃ適当だな。


「それが難しい言ってるんだよ。俺ってラノベには詳しいけど、テレビとか雑誌は見ないから話題がないんだよ」


もうほんと、クラスメイトの話題について行けない。俺の世間一般の情報は朝の時間見るニュースぐらいだ。


「新聞でも取ったら?」


「新聞にはあまり興味ないな。おじいちゃんが新聞を取ってるけど、あまり読まなかったな」


「ほんと駄目ね。わたしがサポートするから友達一人今週中に作りなさい」


なんでだよ。


「なんでだよ」


声に出ていた。本当に意味がわからない。急に友達を作れって言われても必要性を感じないからやる気が出ないんだけど。


「友達って必要なのか?」


「自分が困ったときに頼る人間が居ないのは大変でしょ。老後に備えて友達ぐらいは作っていないさい」


「まるで母親みたいなこと言うんだな」


俺がそう言うとアマテルが俺の頭にチョップしてきた。どうやら母親と言うのは間違いらしい。


「あんた地頭はいいんだからもっと頭使いなさい」


頭を使えって言われても。中学の頃は陸上部に所属していて友達もいたな。やはり部活動をやっていたほうが自然と友達が増えるものだよな。


「部活にはもう興味ないんだよな」


帰宅部万歳。


「はあ、なら生徒会にわたしの力でねじ込んであげる」


「なんで俺が生徒会に入らないといけないんだよ」


「その捻くれた根性と性格を何とかするのよ。それにはまず、最低限他人と関わらないとね」


確かに人は互いに影響を与え合って育っていくものだ。理には適っている。


「でも生徒会のメンバーはもう揃ってるし。俺が入ったら定員オーバーなんじゃ」


「その心配はないわ。生徒会は別に何人いたって困りはしないもの」


「ふーん」


確かに生徒会の仕事が忙しくて部活動にほとんど参加できなくなっている生徒を見かけることはある。生徒会の人たちは猫の手も借りたい思いなのかもしれない。


「じゃあ明日の月曜日、覚悟しておくのね」


「えー、決定事項なのぉ?」


憂鬱な気分になってきた。

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