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追放されたら辺境でお菓子屋さんはじめました…なのに元同僚の勇者が店先で土下座して謝ってくるのはなぜ?  作者: 丰川祥子
追放された圣女

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1-2

雨の音がうるさい。


うるさすぎて、頭の中のすべての音が静まってしまった。


私は町の外れにある石橋の上に立ち、傘をさして、自分の手を見下ろした。


指先がまだ微かに痺れている。


それは魔力逆流の後遺症だ。


17本の線。


私は指を折りながら数えてみた。


【持続治癒】、【状態異常無効化】、【装備耐久回復】、【睡眠品質向上】、【食物浄化】……


それから【虫除け結界】、【体力徐々回復】、【精神安定】、【傷口感染抑制】……


パーティーに加わった初日から、私はこれらを紡いでいた。


一本一本、蜘蛛が糸を吐くように、自分と彼らを絡め合わせて。


そうすれば彼らは私を必要としてくれると思っていた。


馬鹿みたい。


私は嗤った。


笑い声は雨音に飲み込まれた。


そして私は拳を握りしめ、魔法を切断した時の光景がまた脳裏に浮かんだ。


パチン。


その瞬間、17本の魔力の糸が同時に切れた。


逆流する魔力は引き潮のように、ざあっと一気に私の体に押し寄せた。


胸が苦しくて痛い。


指先が震えるほど痺れた。


でも——


すごく楽だ。


本当に楽になった。


三年も背負っていた重荷が突然降りたように、体が浮きそうになる。


私は深く息を吸った。


空気は雨の匂いでいっぱいだった。


ひんやりとして、少し土の生臭さが混じっている。


本当にいい匂いだ。


私は傘を立て直し、歩き続けた。


石畳は濡れていて、水たまりには路傍の旅館の灯りが映っていた。


それらの灯りを見ながら、ふとあることを思い出した。


アベルの鎧。


あの「英雄の証明」と呼ばれる鎧は、王都の鍛冶師の自信作だった。


だが実はとっくに廃棄処分されるべきものだった。


左肩の装甲は半年前に魔獣に噛み裂かれ、胸の紋章は魔法で焼け焦げ、腰のバックルは二度も折れていた。


私は毎晩こっそり【装備耐久回復】を使って修復していた。


少しずつ、刺繍のように、魔力を金属の裂け目に注ぎ込んで。


今は?


今あの裂け目はまた戻ってきている。


私は足を止め、振り返って見た。


旅館の灯りはまだついていた。


曇った窓越しに、暖炉の炎が揺れているのが見える。


アベルはまだあそこに立っているだろう。


リリナと並んで。


彼が突然肩が重くなったと感じる様子を想像した。


彼は自分の鎧を見下ろすだろう。


そして眉をひそめる。


「おかしい、濡れたのか?」


彼はそう思う。


そして彼は鎧を脱ぎ、暖炉のそばに掛けて乾かす。


明日の朝目覚めると、左肩のひびがまた少し広がっていることに気づくだろう。


あと数日すれば、胸の紋章は完全に剥がれ落ちる。


あと一週間もすれば、腰のバックルは戦闘中に突然壊れる。


彼は地面に倒れる。


惨めに泥の中に倒れる。


リリナは叫びながら駆け寄る。


「アベル!どうしたの?」


彼は起き上がり、使い物にならなくなった鎧を見下ろし、当惑した顔をする。


「……なぜこんなことに?」


彼にはわからない。


なぜなら彼は知らないからだ、この鎧が今まで持ったのは、その質が良いからではない。


誰かが毎晩縫い直してくれていたからだ。


古い服を繕うように。


一針一針。


ゆっくりと、丁寧に、優しく。


私はまた笑った。


今度は涙が出そうになるほど笑った。


でも大丈夫。


今は雨が降っているから。


誰にもわからない。


私は振り返り、歩き続けた。


雨が傘の表面に打ち付け、密集した打撃音を立てる。


私はとてもゆっくり歩いていた。


なぜなら、突然気づいたのだ。どこに行けばいいのかわからないということに。


チームはアベルが結成したものだ。


任務は彼が引き受けた。


ルートは彼が計画した。


私はただついていればよかった。


今は?


今、私は自由だ。


私は橋の中央で立ち止まり、顔を上げた。


雨が顔に落ち、ひんやりとする。


少し痒い。


「……ご迷惑をおかけしました。」


私は小声で言った。


誰に向かって言っているのだろう?


多分、自分自身に向かって言っているのだろう。


そして私は深く息を吸い、歩き出した。


橋の向こう側は、真っ暗な荒野が広がっていた。


明かりはない。


人気もない。


ただ果てしない闇と雨音だけが存在する。


だが、私は怖くない。


なぜなら、ようやく自分が望む生活を送れるからだ。


背後では、旅館の明かりが徐々に遠ざかっていった。


前方は、未知の旅だ。


傘を差し、暗闇に足を踏み入れた。


雨音が大きい。


しかし、私の足音はさらに鮮明だ。


一歩。


二歩。


三歩。


一歩一歩、しっかりと踏みしめる。


まるで、ようやく自分のリズムを見つけたかのように。

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