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心に傷を持つ男と身体に傷を持つ女。  作者: さんまぐ


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第5話 7か月後の再会。

7ヶ月後、僕の携帯にメールが入ってきた。

メールの送り主はあのカウンセラー、ハンドルネームはレイさんだった。


本名も知らない彼女からきた7ヶ月ぶりのメールに僕は驚いた。

慌てて画面を見ると、「ご無沙汰しております。お変わりありませんか?お元気ですか?良かったら会えませんか?」と書かれていた。


僕は会える旨を返して約束をすると、次の土曜日に東京駅を指定された。


東京駅に来た彼女は、ヘルプマークを付けた杖をついていた。


「ご無沙汰しています」


そう言った彼女は杖を見せながら、「なかなか治りが悪く、歩行練習をしていますが、まだ杖が手放せません。もしかしたら今後ずっとかもです」と言って笑った。


僕は慌てて彼女の荷物を持ってどこか座れる場所に案内をした。

カフェも良かったが、注文をとりに来てくれるスタイルで、出来るならトイレの近くが良いかと思い、ファミレスに行って店員に言うと、トイレ近くの席へ案内してくれた。


彼女は改めて雨空光と名乗った.

ハンドルネームのレイは光から取ったのかと理解をした。


「雨空さん」

「アマゾラではなく、名前のヒカルで呼んでください」


僕は驚いたが「光さん」と呼ぶと、「なんでしょうか?」と聞き返される。


「身体はもう元気ですか?」

「はい。ありがとうございます。今あのページの管理ページは見られますか?」

「え?見ていないんですか?」

「はい。歩けなかったりした時に未練になると困るから、今日まで見ていません」


僕はタブレット端末を取り出して管理ページを見せる。

前もって悪いコメントに関しては消してある。


人の心は暗く汚い。


面白半分に雨空光の不幸を願う声、僕の動画制作にセンスなんてないと言う声は、削除させて貰っている。


動画の再生数やコメントを見て、雨空光は「ありがとうございます吉木さん。吉木さんのお陰で、私達のチャンネルは人気ですね」と言った。


「え?私達?」

「え?もうやってくれませんか?」


僕は僕の過去を知って拒絶せずに求めてくれる人の登場に驚いてしまった。



「え?迷惑に…」

「迷惑なんてありません!私はこの身体なので、私こそ足手纏いですが、これからも動画を作っていただけませんか?」


僕は驚きで言葉も出ないまま、首だけを縦に振ると、「良かったぁ」と言って微笑む雨空光は、「もう少しリハビリを頑張りますから、そうしたらまた撮影に付き合ってください」と言った。


僕が頷くと「そう言えば動画編集はされていますか?」と聞かれたので、「雨空さん」と口を開くと、即座に「光です」と言われる。


「光さんのお陰で手伝って欲しいと言われて、フリーランスで動画を作っています。でも本業には程遠いので、光さんと動画も作れます」


僕の言葉に雨空光は眩しい笑顔になると、「吉木さんには才能があります!これからも頑張ってください!」と言ってくれた。



そのまま2人で食事をして、帰りに散歩をした時、雨空光から「吉木さんには意中の人は居ますか?」と聞かれて居ないと答えると、「私はダメですか?」と聞かれた。


また驚く僕が「え?でも僕はデジタルタトゥーが酷いですよ?」と問いかけると、雨空光は「私はこの身体です。やはり嫌でしょうか?」と聞き返してきた。


僕は慌てて首を横に振って、「そんな事ないですよ!雨空さん」と言うと、「ひ か る です」と言われてしまい、「光さんはとても素敵な人で、僕は迷惑では?」と聞くと、「ならお互い様です。私は気になりません。吉木さんは気になりますか?」と聞いてくれた。


僕の答えは決まって居た。


「気になりません。迷惑でなければ、僕を頼ってください」


キチンと言うと、雨空光は僕の腕に腕を絡めて「杖なしで歩くのはまだ難しいけど、吉木さんが居てくれたら歩けます。これからよろしくお願いします」と言ってくれた。

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