表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/26

第21話 スーパーで遭遇した女性たち

 近所のスーパーでの事である。

 朝揚げ上がった揚げ物が、木枠のセイロの上に並べられている。お客は備え付けの金バサミで、必要分ビニール袋に取るグラム売り形式になっている。

 ある日の昼下がり、私がその前を通りかかったら、80歳ぐらいと思われる女性が揚げ物を取ろうとして床の上に落としてしまった。婆さま、一瞬面食らった様子だったがすぐ手で拾い上げ、動揺したままセイロの一番手前に戻して、そのまま何食わぬ顔で立ち去った。

 すぐ、近くにいた店員を呼び、状況を説明して引き下げてもらった。たまたま自分が近くを通りかかったから事なきを得たが、誰の目にも留らなければ不運なお客が汚れ物を食す事になったであろう。認知機能の衰えたご老体には、家の人が気を付けてくれないと。


 別の日、別のスーパーでたまたま見つけた小ぶりのスイカを買おうとして手に取ったら、後ろでいきなり子供の悲鳴のような鳴き声がした。何事かと思って振り向くと3~4歳ぐらいの可愛い女の子が、横にいる母親らしい女性と私の手にしたスイカを交互に見やりながら、女性に必死で目で何かを訴えている。

 瞬時に状況は把握できた。このままスイカを持って帰ったら私は鬼になってしまう。女の子に返そうとしたら、母親が、「大丈夫よ。もう一つあるから」。


 そう言って、もう一つ残っていたスイカを手に取りながら、今度は私に

「すみません」。


 そう言いながら、笑みを返してくれた。女の子は泣きやんでいた。


 私はこの時、不謹慎にもこう思った。


(スイカが一つしかなかったら良かったな。それなら、私はこの子の『やさしい素敵なおっちゃん』になれたかも)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ