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第13話 閉鎖で良かった最低病院

 私の住んでいるN市では阪神大震災あたりから良心的な個人経営の食堂が次々と閉鎖に追い込まれていた。周りのレストランやチェーン店の大衆食堂と比べて明らかに良心的な価格設定のお店ばかりだ。おふくろの味が思いだされるやさしい味付の小ぢんまりとしたお店ばかり。

 経営がきついそうだが、それなら世間並に値上げすれば良いのにといつも思っていた。良心的な価格を守ろうとしてついには閉鎖されるより、周辺の食堂と同程度の価格にして継続してもらう方がどれだけ有難い事か。



 一方、N市で最近閉鎖したと聞いて実に有難い話が有った。ある病院の話である。


 15年以上も前のある日、珍しく鼻がむず痒くクシャミが出る。恐らく風邪だろうと思ったが、もしや噂の花粉症の可能性も捨てきれないと思いました。そこでまだ噂を耳にしてなかった静かな場所にあるK病院を思い出しました。次の休日早速、訪ねてみました。


 内科診察室に入ると50歳ぐらいの白衣を着た中年太りの男が2人並んで座っていました。1人が


「どうしました?」

と訊くので、


「数日前から鼻がムズムズしてクシャミが出ます。熱は無いんですが、頭が少し重いような痛いような…。風邪なのか花粉症なのかわからないんで…。どっちかなと思って」

と、説明したところ、思いもしない答えが返ってきました。


「それじゃあ、両方の薬を出しておきましょう。どっちか分からないので」


 言葉も出ませんでした。全く診察はしてないのです。しても分からないのでしょう。

 私はどちらか判断してもらう為に診察を受けに来たんだけど…。


 世の中には、こんな医者もいるんだ。それも我がN市に。


 薬は夫々3日分ずつ有りましたが、風邪用を2日分飲んであとは捨てました。

 風邪なら大した事なく、通常は病院に行くほどではなかったのですが、花粉症の事が分からなかったので一度訊いてみようと思ったところ、史上最低の医者に遭遇してしまったのでした。


 後日、その当時行きつけだった喫茶店のママに話したところ、


『悪評判で有名であるが、診断書をいつでも簡単に書いてくれる。だから知っている人は それが必要な時だけ利用してる』


との事でした。


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