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第12話 A県営施設の不親切さ

 山岳レースに出場したときの宿泊施設の事である。春まだ浅いこの時期は宿泊客も疎らで閑散としているが、この日はレース前日で宿泊客で混んでいた。そのメインレースの前日にもレースがあり2種目出場の私は前々日から⒉泊分予約していた。

 前々日は空いている為シングルルームに宿泊する。部屋に入るとテーブルに湯飲みとお茶っ葉がセットされているが、お湯もポットもない。部屋係のおばちゃんが布団を敷きにきてくれたとき説明して持ってきてもらった。因みにこの時、布団カバーもおいてなかった。


 翌日は混んでいるので大部屋に移動する事になる。例年は初日のレースに出場している間に荷物は大部屋に運んでてくれていた。今年、その事を受付のご老体に確認すると、


「それはできません。16時から案内します」

と言う。


「昨年までは、そちらで大部屋に運んでくれていたが」

と言うと、ムッとした表情で、


「そう言われても困ります。昨年は知りませんが、16時から案内しますので」


「じゃあ、荷物はフロントで預かって貰えますか?」


「荷物はご自分で管理してください。レース会場で預かって貰えるでしょう」

と、昨年までとは打って変わって態度がでかい。このご老体、昨年も帰り際につっけんどんだったあの爺さまのようだ。


 (こちらは、連泊するんだけどなあ)



 初日のレース終了後、2日目だけ出場する友達と合流して一緒に受付に行ったが、受付だけで案内は16時からするとの事だった。16時になったので行ってみると何人も並んで受付をしている。窓口は一つしかないので改めて並んで案内をして貰ったが何かスッキリしない。

 既に16時前に受付を終了している客には案内の窓口を別に設置すべきではないかと思う。受付では住所や電話番号等を記入したり時間がかかる。対して、案内はルームキーを貰うだけだ。何とも効率が悪い。


 2日目のレースが終わって風呂を利用する。チェックアウトは終わっているので、入浴料は再度払わねばならない。これは当然だが、一般的には個人経営の旅館や民宿ではサーヴィスしてくれる事が殆どである。


 旅館、民宿では、

『お世話になりました』


『また来年も来てくださいね!』

 そう言って、笑顔で別れる。


 ここでは、挨拶しても形式的なお返しだけである。

 風呂から上がり帰りに、受付にいた中年男性に、昨年から気になっている疑問を訊いてみた。


「今日は帰りますが、もし今もう一泊お願いしたいとしたら、泊まれますか?」


 すかさず、横にいた例の態度のでかいご老体から説明があった。


「朝、チェックアウトの時だったら良いですが、部屋の掃除ができていませんので、今日は無理です」


 驚いた。

 どうやら、予約があって初めて部屋の掃除をしているようだ。16時ぐらいまでに予約があったら部屋の掃除をするが、予約がなかったら部屋は前の客が使ったままであろうか。パートタイムのおばちゃんが帰ったときに予約分以上の掃除ができていれば泊めるのであろう。

 普通、宿泊施設ではいつでも宿泊できるように全ての部屋の掃除はできてるはずだが、ここではそうではないようだ。


 昨年、レース後かなり疲労困憊になり入浴も途中で切り上げるほどだったので、予定変更でもう一泊しようと急遽連泊を申し込んだが満室であると断られた。どんな部屋でも良いからと粘ったが満室であると頭ごなしに断られた。


『御泊めしたいのですが、生憎満室ですので、申し訳ございません』

ではなかった。思い切り首を振って、『満室』を強調していた。

 

 今回確信した。昨年も部屋は空いていたのだ。

『掃除をするのがめんどうなので満室にして、拒否したのである』と。


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