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時ノ使用者  作者: 松プリン
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4話

あの後驚くべきことに辺境伯様は俺への全面強力を約束してくれた。二亜を探すために辺境伯様の情報網や人脈を惜しみなく使ってくれるらしい。その上俺が着ていた制服は目立つからと上質でいて目立たないシンプルな服を用意してくれた。のは良いのだが……


「レイ様!レイ様!あちらにも面白そうなものがございますよ!」


「クオリア様!待ってください!」


 俺は何故か辺境伯様の一人娘であるクオリア様とヒィトゥルクの街を散策していた。


 遡る事一時間前……


「君の思いは伝わった。異世界人との伝手というのもあって困るものでは無いし、我が家は君への協力を約束しよう。今日から君を我が家の食客として扱う」


「ありがとうございます!」


 《この貴族は信用して良いだろう。玲、しばらくはこの家で世話になろう。義妹の情報を集めつつ冒険者ギルドに登録してレベルを上げ時間を集めるぞ》


「ところでレイは何歳になる?」


「17ですが」


「それは素晴らしい!我が娘も先月17になったのだよ。歳の近い友人もいなくて寂しい思いをさせていてな、良ければ二人で街を散策してきてはくれないか?」


「街ですか……護衛は?」


「君ほどの者がいれば心配なかろう?」


 《大丈夫だ玲。今のお前に勝てる奴なぞそうそういない。戦闘経験など無くてもステータスでなんとでもなる。それでも心配なら今から言うスキルを創っておけ》


 という流れで街に繰り出したは良いのだがさっきからクオリア様の命がめちゃくちゃ狙われてるんだが?!


 クロノア様に言われたスキルが無かったら守りきれなかったな。


 大宮 玲(おおみや れい)

 種族 異世界人

 時間 7610000時間

 レベル 80

 経験値 1369/250000

 職業 

 称号 竜殺し

 加護 時の女神クロノア

 体力10.52

 筋力10.69

 速さ12.58

 魔力13.49

スキル

 料理 LV6

 全言語理解 LV10

 索敵LV2

 俯瞰視点LV2

 自動回復LV1

 魔力回復増強LV1

 魔力感知LV2

 体術LV2

固有スキル

 時間使用 LV4

 時間強奪 LV4

 時間譲渡 LV4

 水魔法・異 LV1

 時空間魔法・異 LV3

 火魔法・異LV1

 土魔法・異LV1

 風魔法・異LV1

 魔法自動化LV2


 俯瞰視点は本当に便利で上空から全てを見下ろす事ができる。索敵と魔力感知を合わせて使えば死角は無いし魔力感知に関しては悪意や敵意などの意思も感じ取れる。


「フッ……っとこれで何人目だよ」


「どうしたんですか?レイ様?」


「何でも無いですよ、それより面白そうなものとは?」


 手刀で気絶させた相手を時空間魔法で辺境伯様の屋敷の牢屋に転移させ何事もなかったかのように振る舞う。


「あちらの噴水の前で変な画面を被ったお方がボールを何個もくるくるとですね?!」


「あーあれは大道芸人ですね。前に置いてある箱にお金を入れてあげると喜びますよ」


「そうなのですか?!では、行ってまいります!」


「ちょっ、だから走らないで!クオリア様!」


 先程からこんな感じでずっと冷や冷やしている。辺境伯様は他の貴族や大商人から相当な恨みを買っている様でクオリア様の容姿を知っている刺客がもうすでに20人はその命を狙い今は牢屋にいる。これじゃあ外にも出られないしあんな箱入り娘になってもしょうがないか。


「法の守護者……ね」


 グリンセル様の二つ名で他の貴族からつけられた蔑称でもある。貴族ともあれば法の一つや二つ破ってちょっとした悪さをするものも多い中で自らも法を守り続け法を破ったものは徹底的に追い詰める。真面目すぎる姿勢からつけられたその二つ名。


「そりゃあ恨みも買うか……」


 グリンセル様本人は中々にレベルが高いらしく刺客も寄り付かないらしいが娘のクオリア様は別で屋敷を一度出れば様々な刺客に狙われる。護衛をつければ目立つため街の散策どころでは無く17歳になるまでのほとんどを屋敷の中で過ごした。


「おっと」


 今もクオリア様に毒のついた吹き矢を刺そうとした刺客を土魔法で創った手錠をつけて転移魔法で屋敷の牢屋に送る。


「改めて魔法自動化……便利だな」


 『魔法自動化』LV2

 演算、制御、操作といった魔法の発動に必要なプロセスを自動化する。


 要するに魔力が許す限り俺の望んだ通りに魔法が発動するってシステムだ。これを考えついた時は自分を天才だと思った。クロノア様ですら大声で驚いてたしな。そんなクロノア様と言えば今は休眠状態だ。俺の体に住んでるという不思議な状態のクロノア様だが睡眠は必要らしく今までは無理をしていてくれたらしい。スキルも増えて多少は力もついたので少しは休んでもらおう。


「キャァッッ?!」


「クオリア様?!」


 クオリア様が宙に浮いている?!いや、服の皺から見るに透明化した何者かに捕まっているのか。俯瞰視点にも魔力感知にも索敵にも引っ掛からなかった。これはスキルレベルが俺より高いものの仕業だ。辺境伯様はこの街にくる刺客は俺が今まで牢屋送りにしたもの程度のものばかりと言っていた。だが、この敵は明らかに格上だ。


「だけど存在さえ認識できていれば!」


「効かないねぇ」


「なっ!?」


 強制転移が通用しない?!魔力も俺以上か……声を出して煽ってきやがった。街中だから派手な事はできない。周りの人達も何事かと、騒ぎが大きくなりつつある。俺は日本人だ。人を殺す覚悟なんてない。だけどここでクオリア様が殺されれば辺境伯様は俺に協力をしてくれないだろう。そうすればニ亜を見つけるのは困難になる。それにここは異世界。日本ほど甘い世界じゃないんだからいつかは経験する事だろう。それが人の命を救うためなら幾分かましだしな。


「何をする気かねぇ……ぼくちんの任務はクオリア嬢の誘拐。見逃してくれれば命を取らずに済むんだけどねぇ」


「うるせぇ、異世界人舐めんな」


 時間使用……おれはまた自分の寿命をすり減らし新たな力を創造する。相手に気づかれずクオリア様を救い奴を殺す力を。


『時間停止』LV4

 4秒間時間を止める事ができる。魔力が30を超えるものには効果がなく、日に2回までしか使えない。


 その時が止まった世界で俺はステータスに身をまかせ一瞬で距離を詰めると透明人間の首筋に手刀を入れ、クオリア様を解放する。


「結局殺せないか……」


 あそこまで気合いを入れておいて結局とどめをさせなかった。


「??レイ様?今何が?」


「俺の魔法です。さぁ今日は屋敷に帰りましょう」


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