交渉
獣人のどれいを買ってしまった以上世話をしないといけないしかし、その数十人そのうえ全員子供。
さすがに私達ではどうにもできない。お父様にお願いをしよう。ルーカス家は現在私のせいで人を新しく雇うことが難しい。いつ私もお父様も処刑されてもおかしくないから働きたい人がいない。この子達には使用人になってもらおう。
「それでハダルいつになったら商人はくるのだ」
「そうですねーもうじき来ると思いますよ。今回の災害で大きな被害を受けたでしょうから一人でも奴隷を回収したいと思うのが普通です」
「そうか」
しばらくすると扉が雑に開かれる音がした
「ハダルここに俺の物が来てるよなあ」
「はい。もちろんドル様」
「おい、行くぞこっちはお前以外のやつが死んで困ってんだ働いてもらわないと困る」
「嫌だ」
「あ?なんだお前はものなんだよ権利なんて何一つとしてない」
ドルが語気を強めると首輪が紫に光る。首輪を掴んでマイが絶叫する。殺意が反射ともいえる速度で腰にかけている剣を引き抜かせた。ハダルは私を制して飄々とした声で止める
「お待ちくださいドル様」
「なんだよ」
「周りをもっと良く見てください」
「周り?」
ドルはようやくそこで私達の存在に、私達の殺意に気がついた。
「お前ら勇者を追放した女冒険者なんでここに」
「ドル様、アルス様、リオン様さあこちらのテーブルに奴隷のやり取りは交渉で行われるものです」
「待ってくれよ。こいつまで奪われたら俺が餓死しちまうよ」
「そうならないための交渉ですぞ商人の専売特許ではないですか。……それともこのまま連れて帰りますか?それはあまりおすすめできませんが」
ドルは顔を真っ白にして膝から落ちた。悟ったのだろうもしこのまま連れて帰れば殺されると
テーブルに付くとドルは必死に懇願した
「なんでこいつなんだ。そこにたくさん奴隷がいるじゃないか」
「マイは私たちの仲間だ」
「そ、それならお前の買った奴隷一人と交換ならどうだ。そいつらは今買ったばかりだろ」
「残念だがそれはできない彼らはルーカス家の使用人になってもらう」
「じゃお前は何と交換できるっていうんだ」
確かにこの数の獣人を買ってもうお金はほとんどない。何と交換すべきか。考え込んでいるとハダルが薄気味悪い笑いをした。
「その奴隷私が査定しましょう。ドル様私にお売りください」
「そ、そうだなそれが良い」
ドルは焦った様子で商人の話に乗った。このままではお金にならないと思ったのだろう。それにドルはここのお得意様のようだ。高く買ってもらえると踏んだみたいだが
「それは困るぞ私と彼の交渉だろ」
「アルス様は交渉できる手札を持っておられません」
「そうだろ!これじゃあ交渉できないハダル査定してくれ」
「はいもちろんです。ではまず、年齢は十歳、身長は110cm、体重は25kg、筋力はほぼない。そして現在の状況奴隷契約の命令への反抗により体は消耗しており、いつ死んでしまってもおかしくない」
「はぁ?なんだよそれ」
「以上の事を考えて1万といったところでしょ」
「おいおいおい待てよおかしいだろ1万だとこいつを買ったときは二十万はしたぞ!!」
「えぇですがそのときはこれほどやせ細ってもいなければこんなに危険な状態でもないです。それとも交渉をやめて連れていきますか」
ドルは諦めて受け入れた。お店に来たときの勢いは失われて扉を力なく開けて帰っていった
「ではこちらサービスです」
契約を解かれたマイを差し出す。
「サービス?」
「えぇたくさんの奴隷を買ってくれましたからもうお得意様です。それにもうドル様にお金を稼ぐ能力はありませんから」
またもや薄気味悪く笑っていた。何かを企んでいるのか。そんな事を考える余裕はなかった。お金もなくなってしまった。稼がなければ。そんな日の夜に魔王が覚醒した。そしてレムスタン以外の国世界のおよそ三割が魔王の手に渡った




