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隻眼殲滅兵器の婚約者  作者: 美里野 稲穂
9章 至福の出会い
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88)ブレないあの人

 どれ位、そうしていたか分らないが、玲人は小春と抱き合いながら、最初から気になって仕方ない事を小春に囁いた。


 「……小春」

 「どう、したの? 玲人君……」

 「気になっている事が有るんだが……?」

 「……うん……言ってみて?」


 小春は、玲人が仁那や早苗の事を聞くんだろう、と思っていたが……玲人の問いは……



「服……着た方が良いんじゃないか?」



 「………………!? ギャー!!!」



 小春は深く眠っていた状態から薫子を守る為、“アーガルム”として覚醒して初めて、物質世界で力を発動させるという荒業を行う事に気を取られ、自分の状態が全く分っていなかった。


 また、今まで仁那の意識が支配していた小春の体に急に戻った為、体の感覚が上手く掴めていない事も大きかった。


 とにかく、自分が全裸で尚且つ玲人に抱き着いていた事に漸く気が付き、奇声と共に玲人に能力を発動し、その辺に有ったケーブルで玲人をミノムシの様にグルグル巻きにして吊り上げた。


 そして、自分の体を一瞬白く発光させマントと白銀色の甲冑を纏った姿となった。そして部屋に置かれたデスクチェアに“ドスン”と座った。そして今の今迄、完全空気状態だった薫子にジト目(+涙目)突然ボソッと呟いた。



 「……薫子先生……どうして(全裸と)言ってくれ無かったんですか……」


 感動的なシーン(小春からすれば)から、玲人の空気を読まない指摘により、場の雰囲気が壊滅的になった挙句、逆上した小春が奇声を上げながら玲人をケーブルに縛り上げる状況を目の当たりにした薫子は、取敢えず愛想笑いで適当に誤魔化そうと決めた。


 「アハハ……わ、私は一応、早苗から仁那ちゃんに意識が切り替わった時にシーツ掛けてあげたんだけど、小春ちゃんが……ほら、玲人君に……ねぇ?」

 「……一言注意してくれたらいいじゃないですか……」


 「だって、私は初めて小春ちゃんが目が覚めた時、小春ちゃんの中の早苗によって、今の玲人君みたいにケーブルでグルグル巻きにされて、話す所じゃ無かったのよ。その時から小春ちゃん、いや早苗は全裸で仁王立ちしてたし……」



 薫子の話す状況を聞いて小春はがっくりと項垂れる。



 「やっぱり……あの人か……こっち(現実世界)でも全然、ブレない……」


 小春のそんな様子を見た、薫子は更に続ける。


 「……それで、此処に玲君が飛び込んで来た時、早苗は、その……ねぇ?」

 「え? ま、まさか……早苗さん、何か仕出かしたんですか!?……」


 小春に問われた薫子は目を逸らして濁すが小春は椅子から立ち上って薫子に真相を話す様、迫った。


 「……それじゃ、話すわよ。早苗……暴走状態だったから……玲君も止めれなかったのよ、一応フォローすると」


 「ななな何仕出かしたんですか!? 早苗さんは!」

 「その、怒らないでね……早苗は、やって来た玲君の首に両手を絡ませ、抱き着いて、情熱的なキスを……しかも凄くディープなのを……何度もしたり……しかも全裸で」



 「………………!? グワァー!!!」



 再度、奇声を上げた小春は頭を抱えながら固まっていた。薫子は淡々と追い打ちを掛ける。


 「その後、早苗から仁那ちゃんに替わったんだけど……仁那ちゃん、よっぽど自由に動かせる体が嬉しかったみたいで……玲君に、思いっ切り抱き着いていたわ……ほぼ全裸で」

 「……!! ……仁那もか……此れは……このままでは拙い、拙過ぎる……」



 薫子から仁那の行動を聞いた小春は、“此れは拙い……”と一人、呟いていたが突然薫子の名を呼んだ。



 「薫子先生!」

 「ど、如何したの、小春ちゃん?」

 「ちょっと、わたしの中で二人に説教して来ます!」

 「え? “わたしの中”って?」


 「はい! わたしの中に居る、早苗さんと仁那に厳しく説教して来ます! 二人とも、わたしの体を好きにし過ぎ!!」

 「小春ちゃん……あの、玲君は、どうするの……?」


 此処で、薫子は小春によってミノムシ状態で吊り上げられている玲人に聞いてみた。


 「玲人君も同罪です!! わたしが戻るまで、其処で待たして下さい!」

 

 そう言って小春は机に肘をついて祈りを捧げるように両手を組んで、目を瞑り黙ってしまった。


 薫子はそう様子を見て、ふぅと溜息をついて玲人を見る。玲人はケーブルでミノムシ状態であったが別に気にした様子も無い。玲人の能力なら如何とでも出来るからだろう。


 薫子はそんな玲人に離し掛ける。


 「……御免ね、玲君……何もかも黙っていて……全ての罪は私が1人で被る心算だったの……」

 「……俺には、貴方を責める資格はない。ただ、俺や弘樹叔父さんには言って欲しかった……俺達は家族なんだろう?」

 「本当に……御免ね……」


 そう言って薫子は両目から涙を零す。その様子を見た玲人は吊られた状態で薫子に声を掛ける。


 「……この事は弘樹叔父さんにも話して、怒られてくれ。起こしてしまった事は今更、覆せない。其れよりも、俺達は小春にどう償うか、常に考える必要が有るだろう」

 「そうね、物凄く大きな借りが出来ちゃったものね……」


 そう言って薫子は、横で難しい顔をして目を瞑り座っている小春を優しげに見る。


 「小春ちゃん、本当に、本当に有難う……改めて誓うわ……私は、私達は貴方達の為に生きると」



 薫子は、精神を精神を集中している小春の肩にそって手を置いて呟くのだった。


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