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隻眼殲滅兵器の婚約者  作者: 美里野 稲穂
18章 アガルティアの城へ
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190話 集う裏方勇者たち

 早苗に対し跪いて答える薫子に対し、早苗は呆れながら答える。


 「分った、分った……。薫子姉様の顔と声で、そんな片っ苦しい事を言うのは止めて頂戴。何か、アーガルム族って皆……脳筋志向なのね。今どき流行らないわよ。

 それより……マニオス側の安中さん達が……これからどう動くか教えてくれない?」



 早苗は跪いたまま動かない薫子を、引っ張り起こしながら問うた。


 「……ええ、早苗……、さっきも言ったように彼らが貴女達を害する事は有り得ない。だけど……マニオス様の覚醒を早める為……玲君へ何らかのアクションを起こす筈よ」


 「アクション? それって安中さんは内から……、ガリアって言う美人は外から……て言ってた話? それって戦いを提供するとか何とか……、まさか!?」


 「ええ、そのまさかよ……、ガリア達は玲君に攻撃を加える事になる。今までは……マセス様の復活が最優先事項だったけど……、それが果たされた今……彼女達は遠慮する必要が無い。しかも……この前の模擬戦で彼女達は知ってしまった」



 薫子の言葉を聞いて驚く早苗に対し、薫子は淡々と話す。



 「……何を知ったって言うの……?」


 「この前の模擬戦で……玲君は凄まじい進歩を果し……あろう事か、マニオス様の覚醒まで生じた。何故なら……早苗、アーガルムである貴女達と、玲君が戦ったからよ。

 彼は強い敵と戦えば戦う程……マニオス様の覚醒が早まる……。彼女達も分ってた筈だけど……実際その効果を目にして決意したみたいね……、つまり玲君と自分達アーガルムが戦えば……マニオス様の復活に繋がると」


 「ア、アーガルムの12騎士が攻めて来るって事!?」


 薫子の予想を聞いて、沈着冷静な筈の早苗が驚愕した声を上げる。



 「ディナ卿の予測は恐らく正しいものと考えられます。ですが、どうか安心して下さい、早苗……。12騎士長は忠義高い方々ばかり。戦いを挑むと言っても彼の方々からすれば手合せを行う程度でしょう」


 「まぁ、その軽い手合せで街一つ滅んじゃうかもだけど……」


 アリエッタの言葉に、薫子が微笑ながら答える。


 「そうですね……、この前リジェ卿とドルジ卿が行なったお遊びで、範囲数キロの廃ビル群を倒壊させる羽目になりましたから……」


 「洒落にならないでしょう……!?」



 軽い調子で答えるアリエッタに対し、早苗は思わず大きな声を上げる。それもそうだろう……、アーガルムの騎士と名乗る存在が軽くて合わせするだけで、廃墟とは言えビル群が数キロ四方崩壊するとアリエッタは言っているのだ。


 薫子の様子からも12騎士長達は余裕で、そうした破壊が出来るのだろうと予測が付いた早苗は薫子達に珍しく叫んだ。


 「私達12騎士長に……その程度の事は簡単に出来るわ……。もっともトルア……いえ、安中さんが居れば抑えてくれるでしょうけど……ただ……今の彼等には、マニオス様の覚醒こそが最優先事項。つまり遠慮する理由が無い」


 「そんな奴らが玲君の所にやってくる? 冗談じゃ無いわ! 何とか止めれないの!?」


 「正直な所……、同じ12騎士長であっても多勢に無勢。私一人では太刀打ちできない。例えアガルティアの支援が出来るアリエッタも、力関係では圧倒的に敵わないわ。12騎士長の名は伊達じゃないの」


 「……確かに中央制御装置にリンクしアガルティアを司る私でも、12騎士長には及びません。彼ら個人の力も然る事ながら、レリウスを呼べば……その力は圧倒的に跳ね上がります。何より権限上12騎士長の方が上位になり私達が自由に扱える機能も制限を受けます。そう言う意味では私やディナ卿だけではどうする事も出来ません」


 「……私達に危険は及ぶ事は無い……、だけど……私達には何も出来ないって訳……。分ってはいたけど……正直参ったわね」



 圧倒的に不利な状況が薫子やアリエッタから突き付けられ、流石の早苗も苦笑して頭を抱えた。そんな中、アリエッタが明るい声で言い切った。



 「確かに私達には、マニオス様達に対して力が及びません。ですが、何の問題も有りません。何故なら……私達には小春が居ます。奇跡を起こす小春さえ居れば……相手が12騎士長だって、マニオス様だって……敵わないでしょう!」


 「……確かに……私も小春ちゃんに救って貰ったわね……。13000年の時を超えてマセス様を助けると言う、とんでもない奇跡を起こして……」


 アリエッタの力強い言葉に、薫子も小春が起こした奇跡を想い返し納得する。


 「フフフ……私も同じだったわ。そして模擬戦でも意地見せて貰ったし……。確かに、あの子なら何仕出かすか分らないわね……。

 ヨシ、分った! 元より私達は裏方でしょう? 裏方は裏方らしく立ち回って……出来る事を進めましょう! その為に、修君にも力を借りるわ。そして……薫子姉様、それにアリエッタ、二人にも力を貸して貰うわよ」


 「勿論よ、早苗……元より私の命は貴女達の為にある」「私も小春達の為……精一杯頑張ります」


 決意を新たにした早苗の命に、薫子とアリエッタは迷いなく答えた。


 こうして13000年の時を超え、マニオスの人類殲滅を止めるべく勇者たちが新たに集ったのであった……。


 いつも読んで頂き有難う御座います! この話でアガルティア城編は終わり……次話以降は廃倉庫襲撃編に移ります。

 活動報告でも書かせて頂きましたが……。以前投稿分では、廃倉庫+美術館+豪華客船のテロ事件は一日で行なわれたテロ事件でした。


 それを改訂編では大きく変えまして……廃倉庫+騎士乱入、美術館+騎士乱入……と言う様に単体の事件に毎回、騎士が攻めて来る感じにしました。

 この方が緊張感と、各キャラが生きるだろう、と考えており、改訂回の方が良くなるモノと判断しております。


 なお、改訂原稿が有る限り毎日投稿する予定ですが、間もなく切れますので、その場合は週2程度の投稿となります。次話は明日投稿します。宜しくお願いします!

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