歓迎会をやることになったけどアクシデント三昧な件 後編
遅くなりました。
たびたび申し訳ありません。
いたって普通の市街地の一部、そこにだけ異様な空気が流れる。
そこには3人が2体1で向かいあっている。
対峙しているのは二人の少女と大柄の男。
しかし、その男には所々動物の毛のようなものが生えていて荒々しい獣の牙のようなものが生えているのがわかる。
「人狼、なんの用だ?それになぜこんなところにいる?」
「用も何も俺たち人狼の因縁の種族、ヴァンパイアとついでにその下のガーゴイルに会ったら戦う。因縁の相手……それもその種族を代表する家の者なら尚更だ。別におかしなことでもないだろ?まぁ、見つけたのはたまたまだがな」
警戒の念を抱き質問をするユリアに人狼の男は下卑たる笑みを浮かべて気分良く答える。
「……たまたま、だと!?」
「そうだ、たまたまだよ。ンなことはどうでもいいだろ?さっさと闘ろうぜぇ?」
この男の言う通りたまたまな訳がないだろう。それは嘘だ。
恐らくサフィア様が今、兄君の元を離れていることが思ったより多く広まってしまっているようだ。
それを耳にしたこの人狼の男は狙って来たということだろう。
タイミングが悪い。
今日はこれから私たちのためにクラスで歓迎会があるのだ。サフィア様はとても楽しみされている。
普段勘違いした者たちが仕掛けてくるのとは違う。
この男は相当強い。
……勝てるかどうか。いや、私がこの男に勝たなければサフィア様に危害が及んでしまう。
「……やるしか、ないようだな」
「おっ、やっとやる気になってくれたか。んじゃ、始めようか」
「ああ!だが、貴様の相手をするのは私一人だ。サフィア様には一切手出しさせん!」
「ユリア、いけません!サフィアも戦います!」
「いえ、サフィア様の従者としてサフィア様を危険な目に合わせるわけにはいけません。大丈夫です、私に任せて下さい」
心配するサフィアにニコリと笑いかけて再び意識を目の前の敵に向ける。
「ん?ああ、別にそれでもかまわねぇよ。要するにお前を倒せばそこのクロスロードのガキを殺せるんだろ?そっちはやる気だったみたいだがいいだろう」
「サフィア様を殺す、か。言っておくがサフィア様は強いぞ?まぁ、それも私を倒すことができたらの話だがな!」
「いいねぇ!楽しませて貰おうか!俺の名前はオーガ・ヤルム・ゴードマ!人狼1の男だ!」
「……クロスロード家使用人兼サフィア様の従者ユリア・フィリアーネ、ガーゴイルだ」
短い会話の後互いに名乗りを上げ戦いの火蓋が切って落とされた。
が、構えるユリアに対してウェアウルフの男、オーガは一向に動く気配がない。それどころかただ立っているだけで構えようともしていない。
「……なぜ動かない?」
「そっちこそ、なんで動かないんだ?……ああ、警戒してんのか。俺がさっきの勢いのくせに全く動かねぇもんだからとりあえずは様子を見るってとこか。安心しろ俺はそういった小細工が苦手でな、何か特別なことがあるわけじゃねぇからよ」
「では、なぜ構えようともしない?」
「そりゃあ俺が闘いが好きだからだよ。俺は人狼最強の男かつ今までの百五十六戦一度たりとも負けたことがねぇ!これはまぁ、ハンデみてぇなもんだ。一発だけてめぇの全力の攻撃をこの状態で受けてやるよ!……ほら、どうした!?早くこいよ!」
……怪しいといえば怪しいが怪しくないといえば怪しくない、か。普通ならどう考えても怪しいがあの男、オーガといったか?からはそういった雰囲気は感じられない。ならここはひとつ乗っておくか。
「なら、遠慮なくいかせてもらう!」
姿勢を低くし力を込める。
すると彼女の背中から二つの翼が生え目の色も赤くなった。
「へぇ、少しは期待できそうだな」
「ぬかせ」
強く地面を蹴り空へ舞い上がると翼で滑空し、そこから更に勢いをつけオーガへと突撃する。
「真紅の脚」
魔力が溢れ出し脚に集中する。高い場所からの加速で脚に集まった魔力が紅に染まっていく。さらにそれは密度を増し、名のとおり真紅の脚となった。
そしてそのまま無防備なオーガの胴体へと直撃した。
強烈な一撃を加えた彼女は最後にもう一度オーガの体を蹴り離れる。
オーガを中心として周囲のアスファルトはめくれ上り付近の住宅の塀にはヒビが入り所々崩れている。
しかし
「中々の威力だったな。この俺が三歩ほど後ろに下がらせられた。が、俺を倒すほどのダメージを与えるどころか片膝すらもつかせられねぇとは期待ハズレだ」
「……っな!?私の攻撃を受けてたったそれだけだというのか!?」
「ああ?ちゃんと褒めてんじゃねぇか、この俺を三歩ほど後ろに下がらせたってなぁ!今度はこっちからいくぜぇ?」
今までは人間であったオーガの姿が豹変し完全に人狼のそれとなった。
「俺はさっきのお前みてぇな小洒落た攻撃はできねぇが、俺の最大の武器はこの強靱な肉体と磨き上げた単純な技。それだけで十分、俺から言わせりゃさっきのは無駄でしかねぇ!」
ユリアが全く気がつくことなく背後を取られていた。
言い放ったあとすぐに正面に回りパンチを放つ。
「ぐっ」
辛うじて腕で防いだがそれでも後方へと弾き飛ばされた。
「ははっ!これくらいで倒れんなよ?私を倒せたらの話とかなんとか言ったんだから楽しませてもらわねぇと困るってもんよ。まぁ、クロスロードのガキが楽しませてくれるんならそれはそれでいいがな」
「……まだ、だ。その程度では私を倒すどころかサフィア様には触れることすらできんぞ!」
「はっ!そうこなくっちゃなぁ!」
フラリと起き上がり余裕、というよりかは強がりを見せる。
そこからは互角の闘いとなった。
どちらも戦闘のスタイルは違えどセンスは抜群。オーガはユリアの攻撃をほぼ全て受けそれでいてほとんど体制を崩さない。真の余裕が見て取れる。例えるなら如何なる攻撃にも耐える最強の盾と如何なる相手も崩す最強の矛との両方を備え正面からの殴り合いスタイルだ。一方のユリアはオーガの攻撃は避ける、あるいはそれを利用して反撃を仕掛けるといった闘い方でオーガよりも手数が多い。一撃一撃の威力はそこそこに当たらなければ問題はないと聞き覚えのあることを言いそうな戦闘スタイルである。ただ、ユリアよりくぐってきた死線が多いせいか経験の差が所々見えるも喰らいついていっている。
オーがは自分の攻撃を利用して反撃を仕掛けてくるならそれを誘い受けて攻撃後の隙を突いたり、それに対してユリアは正面からの攻撃で崩れないならと最初にされたように背後を取ってからの攻撃。そんな一進一退の攻防が繰り広げられている。
それでも先ほどのダメージからかユリアの方が徐々に徐々に押されてきていた。
やがてお互いは一旦距離をとった。
「中々楽しませてくれるじゃねぇか。期待ハズレってのは訂正しといてやるよ。まぁ、それでも俺を倒すほどのもんでもねぇけどな」
「一つ聞いていいか?」
「なんだ?時間稼ぎか?あんまり変わんなぇと思うがいいぜ」
「最初に聞いたことだが、なぜサフィア様を狙う?天敵だか因縁があるだか知らないがここ数百年の間そんな人狼は見たことがない。それどころか人狼は近年落ちぶれたと聞いている。見た所貴様も若いが一族の再興のためにこんなことをしているのか?」
「……そんなことか。過去に人狼とヴァンパイアとの間に何があったかは知らねぇし一族の再興なんてのはもっとどうでもいい。俺はただ闘いてぇのよ。人狼にとっての天敵ヴァンパイアと闘ってみたかったってのが真相だ。闘いを求めて流離ってるときに噂でクロスロードのガキが今一人だってのを聞いてここに来たってわけよ。最強を目指す俺にとっては足がかりにしたかった。それだけだ」
「……そんな理由で、そんな理由でサフィア様に危害を加えようとしたのか!貴様はぁぁ!!」
「お?なんだぁ?今のでなんでキレるんだよ。まぁ、
さっきよりもでけえ力が出そうでいいけどなぁ」
地面を力強く蹴り空高く舞い上がりそこから勢いをつけて魔力を解き放ち足に集中させる。
「真紅の脚」
「それはさっき見せてもらったぜ?効かなかっただろ?それは」
オーガは同じように受ける。
結果は同じく数歩下がらせた程度。
だが、一つ違うことがあった。
「なんだぁ?それは」
先程は一撃を加えた後消えていたが今回は違う。
真紅に染まったままの魔力が足を覆っている。
「何も驚くことではない、真紅の脚を解かずにそのまま残しているだけだ。これからは全ての蹴りが真紅の脚だと思え」
「いいねぇ、面白ぇじゃねぇか」
この二人の闘いをサフィアはずっと黙って見ていた。
あの人狼は確かに強いです。
ユリアと同じかその少し上くらいだろうと思います。
ですが、サフィアには勝てません。
そんな相手だと思っていた。
正直、サフィアが割って入ればすぐに終わる闘い、クラスのみんなも待たせてあります。早々に片付けなければならないのもわかってはいるのですが、従者としての誇りもかけて闘っているユリアの闘いに入るのは気が引けます。
それをすればきっとユリアは落ち込んでしまいます。
ですが……。
二人の闘いが激しさを増してきた頃春楽は二人が通るであろうルートを走っていた。
「このルートのどこかにはいるはずなんだがな……」
いないとなると本当に時間に巻き込まれたのか?
だとしてもサフィアとユリアの二人ならいつも通り瞬殺なはずだ。
その二人がいてまだ現れない、見つからないとなると相手は相当な奴だ。
その線で考えるとサフィアのお兄様とやらが自ら連れ戻しに来たのかそれとも強力な敵かはわからないがあの二人でも怪しくなってくる。俺が行ったところでということになるだろうが関係ない。
それならもっと爆発とか起きててもいいだろうしな。
きっとすれ違いになったとかだと信じたい。
だが現実はそうもいかない。
爆発が起きた。
「ッ!?うおっ!?」
嘘だろ?こんな住宅地で爆発が起こるとか普通ならないだろうが今は起こりうることだ。
つまりあの爆発があった場所にサフィア達はいる。
多分場所は学校付近。いや、それよりも少し手前か?
走れば五分もかからないな。
願わくばさっきので片が付いていてくれ、もちろんサフィアたちの勝利という形で。
……よく考えたら警察とかきそうだな。
住宅地で爆発が起きれば普通は警察なり消防なりと駆けつけてくる。
てか、あの辺りに住んでいる人たちは無事なのか?
その辺りも心配になってくる。
何が変わるのか、状況が好転するのかしないのか、なんにせよ急ごうと思った。
「はああぁぁぁぁ!」
叫びながら足技を放ち続けるユリアに対しオーガは一撃一撃を笑って受ける。
「どうしたどうしたぁ!?威力が上がったのは認めてやるが効いてねぇぞ?」
……確かに効いていなさそうだ。あと何十、何百と打ち込めばまともなダメージになるのだ?
いや、それは不可能だろう。まず持ってこちらの魔力が持たない。体力もだ。それに相手がただただ受けているだけならまだしもちゃんと反撃もしてくる。それをまともに受ければただでは済まないようなダメージを負う。
そんな中であと何百とも打ち込めるわけがない。
相手の虚をつくのも大した効果は得られなかった。
ならどうする?他に叩けるところはないのか?
脆い部分などは……。
そうか!弱点だ。どんなものにも弱点は存在する。
サフィア様、勿論私にもあるのだ。この世に完璧な存在など有りはしない。なら、あの男にないはずがない。
人狼の弱点はなんだ?
すぐに思い当たるのは銀。それとトリカブトの毒、こんなものか。
生憎どちらも持ち合わせてはいないな。
ならどうするか?特定の弱点がダメなら万物に共通する弱点を突けばいい。つまり急所だ。
人型であれば基本的には人体急所と同じはず。
得物なしでやるとすれば外側に出ていてかつ切る必要なく打撃でダメージを与えられる場所。そこを狙うしかない。
頭部ならこめかみ、顎、喉頭隆起辺りか。鼻や目もありだがそもそも頭部は難しいかもしれない。
胴体なら現実的なのは肩口だろう。それをやることで一番大きいのは相手の腕の機能を一時的に奪うことができる。
他には鳩尾、肋骨を折りにいってもいいがどうもあの強靭な肉体ではそれは無理なようだ。
上腕骨隙間もあるがこの戦闘の中でそこを的確に突くのは難しいし得られる効果も肩口と同じ。ならやりやすい肩口を狙う。
最後に脚部。
脛やモモがあるが鳩尾や肋骨と同様あの相手には効果がなさそうだ。
なら残ったのは膝それも関節部分。
そこに衝撃を与えてやれば必ず体制を崩せる。
全ての体重を支えている部分だからな。
とりあえず反撃を躱して少し距離を取る。
「なんだ?体力の限界か?それとも魔力の限界か?両方か?……その目はまだ諦めてねぇなようだがなぁ。それどころかこれからまだ何かしようとしている目だ」
「なんのことだ?」
「隠すなよ。だからって特になにもしやしねぇよ。むしろ見せてもらおうかってところだ。ほら、早くやれよ。なんなら最初みたいに無抵抗で受けてやろうか?」
「無抵抗でいてくれるならありがたいな、本当にそうしてくれるのか?」
「んなわけねぇだろ。最初に言ったと思うが一発だけだ。さっきのは挑発みてぇなもんだよ」
「どちらでも構わない。元より初撃で崩すつもりだった」
「いいぜ、こいよ今回は期待裏切るんじゃねぇぞ!」
お互いが走り出し最初にオーガが拳を繰り出した。
すかさずユリアはそれを回避するがそこで走ってつけていた勢いを失い瞬時に反撃することはできなかった。
オーガの怒涛の攻撃は続きそれを全て回避してみせる。
「なにをしてくるかと思えばずっと俺の攻撃を避けているだけじゃねぇか。まさかとは思うが最初ので攻撃のタイミングを失ったとかじゃねぇよなぁ?それなら論外だ」
「タイミングを計っているだけだ。そしてそれは今だ!」
一振り目を躱し、続く左手での攻撃も躱す。一瞬だけだがここに相手の攻撃が完全に止む時がある。
そしてその機に少しだけ飛びオーガの右肩口に向かって強烈な踵落としを決めた。
勿論真紅の脚は継続中だ。
「がっ、ぐぅ」
呻き声を上げ若干右に崩れる。
今は向こうのペースが崩れ、こちらのペースになりつつある。ここからが重要だ。
すぐに着地し今度は左手の上腕骨隙間を突いた。
手刀だが、それでも十分だ。
「一体どういうことだ?さっきより全然ダメージが違ぇぞ!?それに腕が動かしにくい。てめぇ、なにしやがった!?」
「人体急所を知っているか?上から順番に顔面(目や鼻)、こめかみ、乳様突起、顎、喉頭隆起(首)、頚椎、心臓、肋骨(肺)、肝臓、鳩尾、膀胱、き、金的、肩口、脇の下、上腕骨隙間、手首、肘後部(上腕三頭筋)、膝、モモ、脛、アキレス腱だ。このうち外部に出ていて打撃でも効果が得られる部分を突いた。しばらく貴様の腕は動かん!そして」
「あ?」
突然ダメージを負い、両の手が動かしにくくなったことへの動揺のためか彼の反応は遅れ、次なる攻撃を仕掛けてくるユリアに対応できず足の、それも膝の関節にピンポイントで攻撃を受けた。
足、特に膝で全体重を支えているといっても過言ではないのでその支えている部分が崩れると当然全態勢も崩れる。
あ?この俺が膝をつくどころか転ばされただと!?
ありえねぇ!そんなこと断じてありえねぇ!!
じゃあなんで俺は背中が地に着いてんだ?
……わけがわかんねぇぞ!?
長らく感じたことのない痛みとそんなわけがないと否定するのとが混ざり合って彼にさらなる混乱を呼び込む。
完全にオーガの動きが止まった。
それは精神的、身体的の両方によるものだった。
強靭な肉体を持ち滅多なことでは傷つかない。
若くして着々と実力をつけていく彼にはまだ足りないものがあった。
それはメンタル面であった。
過去にどれほどの戦いをしてきたのかは知る由もないがここまで無敗で勝ち抜いてきた彼は自分が負けるわけがないと思い込んでいた。
さらに押していた相手に急にダメージを与えられて逆に追い込まれている状況に対して理解しようとしてもそれを受け入れられずに不安定になっている。
最初の無抵抗で攻撃を受けるというのも驕りでしかない。
もし、その相手が自分よりも強者だった場合はどうなるのか?
そこで終わるだろう。仮に耐えたとしても元からある差がさらに開くだけだ。
今なら頭部を狙える。
相手が動かないならとしっかりと溜めて顎に向かって思いっきり蹴り上げた。
「ッ!?」
最早声もあげることもできず宙を舞い無様に地面に転がる。
そこへ容赦無くこめかみへと蹴りを入れる。
派手に転がって行き数メートル程で止まった。
が、驚くことに彼は立ち上がった。
全身ボロボロで立っているのがやっとといった感じではあるが彼の瞳に宿る闘志はまだ消えていなかった。
「……勝つのは、俺だ!グッ……」
呻きながらも歩を進めこの戦いで初めて構えを見せた。執念が彼を動かすのか混乱していた頭の中を振り払い本来ならしばらく満足に動かせるはずもない腕を動かしている。
「なんだと!?」
この男の何処にこんな力があるというのだ?
肩口、上腕骨隙間、膝の関節はともかく最後のこめかみと特に顎は相当なダメージのはずだ。
それにしばらく満足に動かせるはずもない腕をも動かして。
だが、向こうは満身創痍、こちらも満足に戦える状態とは言えないが手負い一人に負けるわけがない。
なら、
「あれをくらってまだ動けるとは思ってもいなかった。称賛しよう。だが、起き上がれたのならば逃げるべきだったな、次は本当に動けなくなるまで叩く!」
「次は、だと?何言ってんだ?今のが最初で最後の俺を倒す機会だったんだよ、次はねえ!まぁ、それでも俺をここまでやるたぁな。期待ハズレを撤回しただけじゃ足りねぇな。その実力は認めてやるよ流石はクロスロードのガキの御守りをしてるだけはある。だが、俺はそれを今から超える!それしてさらなる高みとしてそのままクロスロードのガキを殺す!」
「強がりはその辺りにしておけ!」
流石にユリアも一度やったことをそのままもう一度やって通用するとは思っていない。
完全にその場所から意識を晒してからやるべきだと思った。
肩口はもう狙えないとみていいだろう。一番狙いやすい場所はどこだ?
やはり膝か。
だが、それは向こうもわかっているはず。
「おら!全然反撃がねぇぞ?さっきみてぇにタイミング計ってんのか?無駄だ、無駄だ!一度くらえば次はくらわねぇ!人体急所ってやつの丁寧に場所まで教えてくれたからなぁ!言っておくが今の状態でもてめぇの足技くらい耐えられるぞ?つまり俺に勝つにはさっきみてぇに人体急所とやらを突くしかねぇってことだ!ありゃあ大分効いたぜぇ?だが、二度目はくらわないときた!ならどうなる?答えは簡単!てめぇは俺に勝てねぇ!」
「くっ」
確かに全くタイミングが見出せない全て警戒されている。何度か反撃してみたものの奴の言う通り大したダメージにはなっていないようだ。
……このままでは。
「ユリア!」
なんだと!?この声は……。……このタイミングで。
「……春楽!?」
「おっとぉ!隙ができてるぜぇ?」
「ぐぁっ!」
彼女の身体が宙に上がり地に落ち二度三度転がりブロック塀にぶつかり止まった。
ブロック塀には少しひびが入っている
「……サフィア様、申し、訳……ありませ、ん。……春楽、にげ、ろ」
そこで彼女の意識は途絶えた。
「……嘘だろ?」
あのユリアが負けた?あいつはやばい!早く、早く二人を連れて逃げないと!
でもどうしてだ?足が、足が動かない。
この状況にビビって足がすくんでんのか?
「……すいません、ユリア。もっと早くサフィアが動いていれば、こんなことにはならなかったでしょう。春楽も巻き込むことはならなかったはずです。この状況を作ってしまったのは全てサフィアの責任です、人狼のオーガ・ヤルム・ゴードマと言いましたね?ユリアの仇は討たせてもらいます!」
「はっ、ようやくか。おい、そこの人間。お前ぇに用はねぇ、怪我したくなけりゃどっか行ってろ」
「サフィアからもお願いします。ユリアを連れて少し離れていて下さい。心配には及びません、長引くことはありませんから」
「言うねぇ」
それでも俺は動くことができなかった。
何故かって?あの狼男から出るオーラが素人目に見ても半端ないからだ。それに飲まれてしまっている。
どっか行けっていうなら一旦それをどうにかしてほしい。
といってもそんなヤベェ奴のところにサフィアを一人にするなんてのは論外。
さっきユリアがやられたのは多分俺が原因だ。
俺がきたから一瞬意識が途切れてそこをやられた。
だが、どうにもこの場から離れることを良しとしない俺がいる。
動けないでいるのはそれのせいもあるのか?
「おい、逃げねぇのか?それならそれで構わねぇがうっかり死んでも文句は言わせねぇぞ?」
言うが否やその狼男は行動に移った。
地面を蹴るところまでは見えた。しかし、サフィアの目の前に現れるまで全く見えなかった。
「殴り合いは正面からに限る!尤も殴り合いになるかどうかわかんねぇけどなぁ」
それに対してサフィアは咄嗟に回避してそれから数回ステップし距離をとった。
目測三歩ほどのところにやってきたサフィアが言う。
「何故逃げないのですか?サフィアが本気を出せば春楽を巻き込みかねません!」
「戦闘中にお喋りとは余裕だなぁ!おい!」
これに素早く反応し再び回避しようとするサフィアだがそこで靴が脱げてしまいグラついてしまった。
「運がなかったな、貰った!」
「くそっ!」
今まで動かなかった足が無意識のうちに動きサフィアの前に庇う体勢で飛び出した。
これ、俺、死んだわ。
なんとなくそう思った。
死が迫ると感覚が何故か研ぎすまされた感じがする。
さっきまで全く見えなかったあの狼男の動きがなんとか見えるようになっている。
俺の顔の横をサフィアの腕が通り過ぎるのがわかった。ズドンッという音がしてようやく普段の感覚に戻った。
「くっ……そ」
……まさかこの俺が負けるとはな。しかも女に、だ。
サフィアといったか、あの従者や俺とは別次元の強さだ。どうやっても勝てるイメージが湧いてこない。
つーか、勝つ負けるとかどうでもいい、あいつに惚れた。
狼男は呟き気を失った。
それを見届けたところで肩を掴まれ強引に後ろを向かされた。
「なにをしているんですか!?こんな、こんな危ないことをして、もう少しで死んでいたんですよ?」
……ああ。俺、生きているんだな。
サフィアがすごい怒ってる。そりゃ当然か。
でもまぁ仕方なかったんだ。
「……仕方ねぇだろ。なんか、勝手に身体が動いてしまったんだからよ。それにほら、あのタイミングでサフィアの靴が脱げたからヤバイって思ってな」
「……それは、ありがとうござます。ですが、それとこれとは別問題です!そもそも最初にサフィアはユリアを連れて逃げろと言いましたよね?何故言った通りにしてくれなかったのですか?」
「それは、悪いと思ってる。けど、こっちも心配してたんだよ」
「しっかり反省して下さいね?本当に危なかったんですから。でも、あの時の春楽は少し格好良かったですよ?助けようとしてくれたことには感謝しています。ありがとうござました!」
「お、おう」
……なんだ?今の?なんかこの辺に違和感が走った気がするな。
心臓の辺りを抑えてみるが特に変わったことはない。気のせいか?
「さて、この人狼も早く片付けてしまいますか」
サフィアは倒れている狼男に近づきしゃがんで手をかざす。
するとファンタジーな光が出てきて狼男を包む。
ーー強制送還
次の瞬間には狼男はいなくなっていた。
「次はユリアですね。大丈夫ですか?」
「ん?サ、サフィア様!?申し訳ありません!従者としてこの体たらく。サフィア様はご無事ですか?」
「傷一つありませんよ?春楽が身を呈して守ってくれましたからね」
……さっきはあんなに危ない危ないって怒ってたのになんで嬉しそうに語ってるんだ?
「本当ですか!?それで春楽は無事なのですか?」
「はい、春楽は無傷ですよ」
「一体どういうことですか?」
「サフィアの靴が脱げて体勢を崩しかけたのですがそこを春楽が危ないと思って前に庇う感じで出てきてくれたのです。サフィアはそれがなくても大丈夫だったのですが誰かが身を呈して守ってくれるというのは素直に嬉しいものですね。それでサフィアは春楽が傷つく前にオーガ・ヤルム・ゴードマをのしたのです」
「そういうことだったのですか」
「あー、そのだな。あの時攻撃をくらったのって多分俺のせい、だよな?すまなかった」
「馬鹿者、あれは私の不注意だ。お前が気にすることではない。それよりサフィア様を身を呈して守ったらしいな見直したぞ」
「……でもな」
「どうしても気にする、か。もうダメージもほとんど残っていないのだがな。なら、いつか私の言うことを一つ聞いてもらうとしよう。それでいいな?」
「おぅ、そんなのでいいならいいけど」
「それより、お前は私たちを探しにきたのだろう?みんなを待たせてしまっているし急ごう」
「はい!」
これで今回の騒動は幕を下ろした。
この騒動の原因であるオーガ・ヤルム・ゴードマという人狼はいつも通りサフィアが魔界へ強制送還した。
周囲の被害は大きかったが、あれだけやって奇跡的にケガ人は出ていなかったらしい。
今回はユリアの例の力で水道管が爆発したとかそんな感じのことになっている。
不自然なことでもなぜか納得してしまうらしい。
本当に都合のいい力だ。
そういうことなのでその場を後にして急いで会場へ向かった。
「今日はサフィアたちのためにみんなで準備してこの会を開いていただいたのに遅れてきてしまい申し訳ありません」
歓迎会の最初は二人の謝罪から始まった。
しかし、みんなは特にそれを咎める様子もなくむしろ安堵していた。
「迷ったにしては遅いから何かなったんじゃないかーって心配してたんだよ?」
「まぁ、いいじゃねぇか。無事だったんだしよ」
「今更ですけどなんで先生が動かなかったんですか?」
それに対し谷はブツブツとなにか言い訳をしていたが誰も相手にしていない。
「岬、そんな先生は放っておいてそろそろ始めましょう」
「あ、うん。そうだね!」
島崎岬はみんなの前に立ち一回深呼吸をした。
「それじゃあ途中アクシデントがあったけど無事開くことができます!サフィアちゃんとユリアちゃんにもっと打ち解けてもらうために楽しんでもらいましょう!乾杯ー!」
「乾杯って、まだみんなジュース持ってないから!」
……彼女がこういうことをするとまぁ、だいたいこんな感じになる。今回は別に緊張するような場面でもないし結果としてそこから盛り上がったわけだからいいんじゃないか?
みんなにジュースが行き渡った後改めて乾杯し、そこから扇藤たちが作った料理をつまみながら肉を焼き談笑している。
サフィアとユリアも楽しんでいるようだ。
俺はというより基本的に男子は肉を焼くのが仕事だ。
バーベキューをしたらこんなもんだろ。
いくつかコンロがあってその中の一つを担当している。
押し付けられたといえばそうなんだがまぁ、料理は嫌いじゃない。焼き方一つで色々と変わるものだ。
今焼いているのはどちらかといえば焼肉系。
炭も大切だ。半分に置いてもう半分は置かない。
ツーゾーンファイアというやつだ。
あとは焦げないように裏返すことを定期的に行う。
だいたいこんなところか。
ちなみに串焼きは今担当していないが串焼きなら柔らかい肉を使うのをお勧めする。串は竹串が安くていいだろう。濡らしてから焼けば焦げにくくなる。直火は避けた方がいいけどな。
あとは食材をオリーブオイルでコーティングして焼くとふっくらといい感じに焼きあがる。
食材は大きさを揃えるとムラなく焼ける。
肉と一緒に刺す他の食材は肉が焼きあがる時間を基準として選んだ方がいい。
味付けは焼きあがったあとだ。
これが焼けたら串焼きの方に回るか。
慣れた手つきで肉を裏返し焦げないように調整を繰り返す。輻射熱だから割と焼きあがるのは早い。油断するとすぐに焦げてしまうからな。
「おっ、サフィア。ちょうどよかった。肉焼けたぞ、いい感じに焼けたから食ってみろ」
「バーベキューの肉はちょっとくらい焦げているのがいいと先程聞いたのですが春楽が焼いたものは全く焦げていませんね」
「焦げてない方が上手い決まってるだろ?まぁ以外と早く焼けたりと難しいところがあるから仕方ないけどな」
「熱っ!」
「ゆっくり食えよ、別に肉は逃げたりしねぇから」
「落ち着きがないみたいに言うのはやめて下さい!」
「あー悪い悪い。で、楽しんでるか?」
「それはもう!楽しんでますよ!途中男の人たちに囲まれて大変でしたが南那星さんや島崎さんが助けてくれました。ユリアはまだ囲まれてます」
「ほどほどに、て言ったんだけどな。仕方ないか。大変だったな」
ていうか、ユリアは助けられなかったんだな。サフィアも。
なんとなくだがユリアって初心い気がするんだよな。実力行使に出なけりゃいいけど。
そろそろ串焼きの方に回るか。
「じゃあ俺は串焼きの方に行くからこの後も楽しめよ?」
そう言い残して串焼きのコンロに向かった。
後ろでは直ぐに島崎とその他の女子が来たようで盛り上がっている。
そういや、一を見てないな。ユリアのところで絡んでいるのか?その可能性は高いな。てか、俺殆ど話してないな。焼いてばっかだ。焼肉とか行ってもこうなるんだろうか。
そんなことを思いながらも串焼きを焼いていると声をかけられた。
「ああ、扇藤。どうかしたのか?」
「すごい焼き方とか知ってて慣れてるなって思って。普段から料理とかはするの?」
「そんなにはしないけど料理するのは嫌いじゃないな。食べるか?」
「うん、一つもらえる?」
言われた通り焼きあがったものにレモン汁で味付けして一つ手渡した。オリーブ使ってるからな。
それを受け取ると扇藤は上品に食べた。
すげーな、バーベキューの肉ってあんな上品に食えるもんなんだな。
「ん、美味しい!これ、焼く前にオリーブオイルに浸してるのかな?後にレモン汁で味付けされてるから味もしっかりしてるしなにより焼き加減がちょうどいいよ。ムラなく焼けてる」
「うまくできたみたいでよかった。」
「うん、本当に美味しい!」
「扇藤たちが作ったのも中々だったぞ?てか、これより美味かった」
「本当?ありがとう。でも、そんなに特別なことはしてないんだけどね言われた通り安く簡単に手に入るような食材で簡単に作れるものしか作ってないから」
「それでもすげぇよ。その簡単に作れるやつであんなにお洒落な感じのができるんだろ?しかも味もいいし」
「そんな特別なことはしてなくてね、みんなで作ったし。レシピ通りにやっただけだよ。相模君みたいに焼き方まで気を使ってるみたいだったし。炭の位置とか調整してたよね?」
「そうか?ていうかよく見てんのな」
互いに謙遜し合うだけの会話はここで終わりとなった。
「え!?あの、それはそうなんだけど、えっと、その……」
あー、やらかしたかも。これ言わなかった方が良かったかも。顔真っ赤になってるし語彙力も低下している。勘違いされたとか思われてるか?そりゃそうだよな。あんな完璧な美少女が自分に思いを寄せているなんて理想でしかない。扇藤もすっかり黙ってしまった。なせかまだ顔が赤い。
ヤバイ、超気まずい。
そしてこの場は何も起こらないまま不自然に終了した。
次からどんな顔して会えばいいんだ?
……向こうから避けてくるか。
とりあえずそのことは一旦忘れてそのあとは一たちと合流して普通に楽しんだ。
案の定一はユリアに絡んでいた。
すでにぶたれた跡があったが懲りずにやっているようどった。
後で聞いたがあのぶたれた跡はユリアではなく南那星にやられたそうだ。最初に扇藤に絡みに行ったらしい。まぁ当然の結果か。今度からは俺も気をつけよう。
ユリアは多少なりとも疲れていたので非常にめんどくさかったらしい。振り払う気力があまりなかったが後少しでやっていたかもしれないとのことだ。その労力を使わなくて助かったと言われた。
あとは盛り上がった。
終わりは先生が一人で飲んで酔い潰れてきて挙げ句の果てに生徒にまで飲酒を勧める始末。
事案発生の前に島崎が強引に切り上げた。
やればできるじゃないか。
終わりは若干問題があったがそれでもよしというべきか。終わりよければ全て良しという言葉があるが全然そんなことはない。
一時の間は忘れていだがやはり扇藤との一件は気にかかる。というよりまじで次からどうしよう。
「もう解散とのことなので帰りましょう」
片付けも終わりそれでも尚なんか解散っていう感じでなく話たりふざけ合っていたりしていたのに対し、ようやく終止がついたようだ。端の方で一人で悩んでいたところに後半はというより途中少ししか話していないサフィアがいつの間にか現れていた。あとみんながまだ騒いでいる中端の方で一人でいたのはハブられたからとかそういうわけじゃない。そういう気分じゃなかっただけだ。
ついでにあの一人で勝手に酔い潰れてしまった先生をどうするか決まったことも教えてくれた。
よってここで本当に解散。
ちなみに先生はどうしたのかというと近くにいた男子たちに押し付ける感じで解決したのかこれ?
たまにこういうことあるよな。何気に酷くない?
まぁ今回は仕方ないか。酔い潰れた男性教師に女子を関わらせるとか事案発生の予感しかしない。
近くにいなくて良かったと心から思える。
そんなわけでサフィアとこちらもいつの間にか現れていたユリアと帰ることになった。
一がいないのは運悪く先生の近くにいてしまったからなのだろうか?
一応心配はしていたが帰りは何も起こらず無事家にたどり着くことができた。
家に帰ったからといってこないわけではないがなんとなく安心はする。
「……はぁ。今日はすごく疲れたな。あのオーガとかいう人狼と戦いその後の歓迎会は平和に楽しく過ごせると思っていたがあの舞鶴一とその他どもに囲まれ残り少ない体力を消耗してしまった。それに私は従者としての使命を全うできなかった」
風呂から上がって部屋に戻るなりユリアの愚痴を聞かされた。
「一つ言っていいか?なんでお前は毎回毎回俺の部屋にくるんだ?」
「……ダメなのか?」
「いや、ダメってことはないけどよ」
「それなら少し話を聞いてくれ」
「……わかったよ。聞けばいいんだろ?でも今日は早めに切り上げてくれよ?俺も若干疲れてるから。ユリアも大分疲れてるだろ?」
「ああ、そこはわかっている。先ずあの舞鶴一という男だが毎度毎度ーー」
こんな感じで俺が風呂から上がって部屋に戻るとユリアがいて愚痴を聞かされる。
で、今日は早めに切り上げてくれと言ったが途中からスイッチが入ったみたいで熱弁し始めて最後の方には酔ってんの?って聞きたくなるくらいだった。
そして全て言いたいことを言い切ったかと思うと唐突に寝た。
一応男子の部屋なんだしさ、もう少し警戒心ってものを持とうよ。無防備に寝るか普通?いや、なんもしねぇけどさ。
とりあえず部屋まで運ぶか。
そう思い運ぶために抱き上げた。
結構柔らかいのな。一瞬変な気分になったがすぐに正気を取り戻し部屋を出てサフィアとユリアの部屋まで運んだ。
既にサフィアは寝ているようだった。
気持ちよさそうに寝息を立てている。
こうしてみると二人とも可愛いんだよな。
数日とはいえ一緒に過ごしていて二人とも馴染みすぎてしまっているので特に気にしていなかったけど。
そんなことを思いながらユリアを置こうとした時に強く腕を掴まれた。
意識はないがユリアが俺の腕を掴んでいる。
てか、力強!離れないんだけど。
いい加減腕も疲れてきたし俺も眠い。
仕方ないーー
その日の相模春楽の部屋には二人が寝ていた。
ベットにはユリアが寝ている。
しかし春楽はベットの側面に背中を預け座った状態で寝ている。
そして右腕だけがベットの上に上がっていてその右腕にはユリアの手によって握られている。
あの後も離すことはなかったようだ。
朝起きた時の彼女の反応は想像に難くない。
が、それは翌朝の話。今はまだ静かである。
春楽が眠る数時間前。先ほど春楽とすれ違ってしまった少女、扇藤狐々実は一人部屋で悩んでいた。
……どうしよう。ずっと見てると思われた。確かに見てたといえば見てたけど。でも、見てたといっても気がついたら目で追ってたっていうか……結局見てたんだよね。
でも、それよりもあの後の態度はダメだったなぁ。
うまく喋れなかったし最後には黙っちゃってそのまま離れちゃったし。
絶対印象悪くなっちゃったよね。
明日ちゃんと話せるかな?ちゃんと話さないといけないよね。
うぅ〜、本当ならあの後自然な感じで「よかったら今度調理同好会にこない?遊びに来る感じでいいから。
相模君て料理できるし少し教えてもらいたいな」みたいな感じで誘おうと思ってたのにこれじゃ台無しだよ。
そんな感じで悶々としていつの間にか眠っていた。