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甘え上手な彼女  作者: Joker
友人達と悩み
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28/44

♯28

*



「今日、返事をすることになった」


「そうか、おめでとう」


 休日明けの学校のお昼休み。

 前回に引き続き、高志達四人は屋上で食事をしながら、優一の話しを聞いていた。

 優一を尾行していたことは、三人だけの秘密になっていた。


「なにを言ってるんだ? 断るに決まってるだろ」


「は? お前彼女欲しいって言ってたじゃないか」


「それにあんなに可愛かったら、別に問題ないんじゃない?」


 高志と紗弥の言葉に、優一はフンと鼻を鳴らすと、顎に手をあて遠くを見つめながら言う。

「いや、なんか違うなって……あの子には、もっとふさわしい奴が居るんじゃないかって……」


「格好つけてないで、本当の事言えよ」


 高志はあからさまに作ったような言葉を口にする優一に、呆れた様子でそう聞く。

 すると、優一は溜息を一つ吐き、購買で買ってきた牛乳を飲みながら、高志達に話す。


「あの子が好きなのは、喧嘩してる俺なんだよ……」


「? どういう事よ?」


 尋ねたのは、由美華だった。

 あれだけ良い感じでデートしていたにも関わらず、なんでこのような結果になったのか、三人は気になっていた。


「あの子とこの前デートしてさ……確かに楽しそうなんだけど、なんか違和感があって……んで、帰り際に聞いてみたんだよ。俺の何処が好きなの? ってな」


「そしたら、なんて答えたんだよ?」


「強いところって言われた……」


「あぁ……」


 高志は優一の言葉で、なぜ優一が告白を断る事にしたかがわかった。

 しかし、紗弥と由美華は「それがどうかしたの?」と言う感じで、きょとんとしている。

 そんな二人の為に、高志は優一の許可を取り、説明を始める。


「こいつ、元々は結構強い不良だったんだよ」


「「え?! 絶対嘘」」


「そこでハモるなよ! 本当だわ!」


 よほど想像が付かなかったのだろう、紗弥も由美華もかなり驚いていた。


「一匹狼っていうか、結構強くて有名で、まぁ色々あって今はこんなんだけどな」


「おい高志、こんなんってなんだ、こんなんって!」


 文句を言う優一を放っておいて、高志は説明を続ける。


「要するに、こいつはそんな昔の自分が大っ嫌いなんだよ」


「そういうことだ……強いところって言うのは、俺が喧嘩してた時の面影……今の俺を

好きになってくれた訳じゃない……」


 何かを思い出すかのように、優一は断る理由を話す。

 優一の昔の強さと今の強さは意味が違う。

 それをわかってくれる人で無ければ、優一は彼女にする気がなかった。


「そうなんだ……ん? でもまって、じゃあなんで八重君も元不良?」


「俺はそんな悪い子じゃないよ、こいつとは……まぁ、いろいろ合ってな……」


「あったなぁ……色々」


「ほうほう、男の友情的な?」


「「いや、そんな物は一ミリも無い」」


「そんなハモら無くても……仲良いの? 悪いの?」


 質問してきた由美華に、高志と優一は真顔で声をそろえて答える。

 

「ま、中学時代にこいつと一緒に居ることが多かったってだけだよ。気がついたら進学先までいっしょだった」


「腐れ縁っていうか、気がついたら一緒にいる関係だな」


 互いの顔をみながら、優一と高志は交互に答える。

 その様子を見て、由美華と紗弥も顔を見合わせて笑う。


「なにか可笑しな事言ったか?」


「ウフフ、なんでもないわ」


「? 紗弥?」


 由美華と紗弥の表情の意味が理解できず、高志は首をかしげる。

 



*




 放課後、高志は紗弥と由美華に連れられて、体育館の裏に来ていた。

 目的はもちろん、優一の告白の返事を見守る為である。


「またここかよ……」


「芹那ちゃんはまだ見たいね」


「そうみたい、約束の時間まで、あと数分あるし…」


 三人は体育館裏の倉庫の裏に隠れながら、優一の様子を見ていた。

 優一は壁に寄りかかりながら、スマホを弄り、芹那を待っていた。


「あ、来たわよ」


「ほんとね! 可愛そう……今から振られるのにあんなニコニコして…」


「可愛そうと思うなら、二人きりにしてあげるべきなのでは?」


 振られるところを覗き見られる。

 当人だったら、そんなの絶対に嫌だろう。

 高志はなんだか罪悪感を感じながら、優一と芹那の様子を見る。


「あ、あの……返事を……聞かせて下さい!」


「………俺は、君が思ってるほど、やさいくない……だから……」


「知ってます! でも、本当は優しいこともしってます!」


「そんな事ないよ……悪いけど、俺は君とは付き合えない。ごめん」


 優一は言い切った。

 しっかりと頭を下げて、芹那に告白の返事をした。


「な、なんでですか!」


 芹那は、必死にそう尋ねる。

 優一は真剣な表情で芹那を見ながら、ハッキリと言う。


「君は俺の強いところが好きだって言った……正直、俺は喧嘩が強い自分が嫌いなんだ……悪いけど、自分の嫌いな部分を好きな人とは付き合えない。ごめん」

 

 優一にしては、いつにも増して真剣だった。

 本当に真剣に彼女の事を考えて、答えを出したのだろう、表情もどこか悲しげだった。

 そんな優一に芹那は何と言うか、覗き見をしている高志達三人が緊張した面持ちで見ていると、芹那は優一の顔を見て言った。


「喧嘩? いえいえ、私は力強い貴方が好きだって言ったんですよ?」


「え?」


(((え????)))


 当人である、優一はもちろん、隠れていた高志達三人も首を傾げる。

 それは一体どう言う意味なのだろうか?

 芹那以外のその場に居る四人が、説明を求めていると、芹那は話し始めた。


「わ、わたし……じ、じつは結構なM体質で……虐められのとか、痛いのとか……大好きななんです~」


「え…っと……あの?」


 体をくねらせながら、芹那は頬を赤らめて吐息を漏らす。

 何やら要すがおかしいと、高志達も見ていた。


「駅前で、那須さんの力強い蹴りを見て……一目惚れしたんです……この人に蹴られたいって……」


「まて! なに? どう言う事?! 俺すごい恐怖を今感じてるんだけど!?」


「はぁ……はぁ……那須さん……私のご主人様に……是非」


「変態だぁぁぁぁ! しかも俺の苦手なタイプの!!」


 優一はそう叫びながら、芹那から距離を置き始めていた。

 倉庫の裏で聞いていた三人も開いた口が塞がらない状態だった。


「まて! 俺にその趣味は無い! それに女の子を虐めるなんて出来ない! それこそ俺以外の趣味の合う男と……」


「那須さん以外には居ません! 私は那須さんを本気で好きですし! ほ、本気で……虐めて欲しいと……」


「高志ぃぃぃ!! そこに居るんだろ!? 頼むから助けてくれ!! 俺この子苦手だぁぁぁ!!」


 助けを求める友人の声を高志はあえてスルーした。

 倉庫の裏で話しを聞いていた高志達三人は、気まずそうな顔をしながら、互いに顔を合わせていた。

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