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コミュニティ物理学  作者: ノリ次長
7/7

つぶあん小籠包

暗黒物質、というのがあるとかいわれています。

『暗黒日記』に物質があるかどうかとかそういう話だと思うのですが(暗黒日記は読んでないのですが、現代日本史は苦手なのですが)、気になります。

たぶん、いまの宇宙論研究者は『論理の学 本質論』とか読まないので、そういうところをローゼンブリッジしたいのですが、『本質論』に「物質に空孔はない」とか書いてあります。

『本質論』を書いたヘーゲルの時代には、熱学が一定の展開をみせ始めていて、そのなかで「熱はすべての物質に浸透する。なぜか。物質はすべて空孔とよばれるスポンジのような穴があいていて、スポンジに熱物質が浸透することにより熱の浸透現象がおこるのではないか」という推論がドツボにはまりつつありました。ヘーゲルはそこを批判したのです。

考えてみれば、物質のわきのすき間に熱物質が一軒家で住んでいる、という考えは、熱物質のわきのすき間に物質が一軒家で住んでいる、という考えと双対なものです。物質は、エーテル(アエイ・テイン:走り続けるというギリシア語)に空いたスポンジの穴に詰まった流動体なのかもしれません。

で、暗黒物質ですが、暗黒物質はわたしたちの空間と同じ空間に存在してしかもわたしたちを構成する物質と相互作用しないと言われています。ちょうど、18世紀の熱学において熱物質の浸透性が信じられたのと同じです。そのくせ、陽子・中性子・α線は暗黒物質がなければ星雲をつくって重元素をつくれなかったから、暗黒物質がわたしたちの知る存在者の直接の原因で、わたしたちが存在することがとりもなおさず暗黒物質が存在する証拠みたいに言われています。これは変だと思います。

わたしは知的に誠実な人でいたいので、「宗教は証明されました!『ヘブライ書』11-3を読んでください」とは言いません。

宇宙論ではいままで「なぜ反物質ではなく、物質があるのか?それは、絶妙な精度で物質を選好した知的な設計者がいるからだ」という病的科学が流行っていました。そして、人間原理とかいわれていました(人間原理的思考は、工学的パースペクティブで素材を与えられたものとしてみなすときにのみ正当化されるべきです。人間原理論者は、まず人間原理にもとづいて形をもったものをハックしてみせるべきなのです)。「なぜ物質があるのか?それは、暗黒物質が絶妙な精度でΛ-CDMスペクトルに寄与したからだ」というのは病的科学として上記仮説とかわりません。

宇宙論研究者は、叙事詩歌いの瞽史になる勇気をもっともつべきです。いまの宇宙論研究者より、その力をけっして無駄に費やさない詩人、「わたしに歌え、ムーサよ、トロイアーを攻略したのちあまたの人間の習いと国々を見たかの人を」と歌う詩人のほうが、どんなに正しいことでしょう。

物理は、この邪悪な世において生きる最低限の方法を教えてくれるのみならず、やがて来たるべき義の新しい世においても一定限度の留保をつけて通用するかもしれないものである。だから三位一体論の弊害があるにもかかわらずケプラーも特集した。害がないわけではない。だが、民衆には人参果がウワサとしても必要なのだ(箴 29:18)。

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