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空と雨と667人目の魔王  作者: R.M
出合いと旅立ち
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女盗賊雪の思い

このお話は全話に出てきた女盗賊さんの視点で書いております

「俺の旅についてきてくれないか?」


いきなり言われたこの一言に考えていたことが一気に吹き飛んだ


まぁ、考えていたことと言っても


どうして目の前の人は自分なんか助けたのだろう


とか


どうして、この目の前にいる生き物はこんなにへんてこりんなのに私の心をわしづかみにしているのだろう


とか


あれ?以外とこの人かっこよくない?


などどうでもよいことだったのだが


目の前にいる人物・・・・見た感じ16歳くらいかな?がいった言葉の意味を考えて一瞬顔が赤くなる


(えっ!?これって告白!?まさかの一目惚れとか言うやつなの!?)


しかし、私のそんな勘違いも次の言葉でただされる


「俺は食料や寝床を提供するし、癒し?もある程度提供できるとは思う。その代わりに君は俺の知りたい情報を提供してほしい。勿論君の過去やどうしても言いたくないことについては言及するつもりは無いからそこは心配しなくても大丈夫だよ」


そう言いながらちらりと見たのは子犬くらいのサイズの動物だった


一目見たときからかわいいと思っていてちょっと抱き締めたいとか思ったのは秘密だ


「どうする?」


男が私に返答を促す


正直に言えぱ凄くありがたいことではある


食料に困っていたのも確かだし、癒しなど無かったことも確かだ


あの場所から逃げたしてからは・・・・・


頭をよぎる暗い過去を振りきるためにブンブンと頭をふる


そして


「少し考えさせて」


と言った


その答えに男は頷く


私にはこの男の目的が全くわからなかった


今男は旅をしていると言っていた


普通、こんなところに旅人なんて通らない


私が飢えかけていた・・・というより飢えていたのも盗賊を始めたのはいいものの獲物となる旅人が全く通らなかったためだ


つまり、旅をしていると言うのも嘘の可能性がある


私を騙してあそこへと連れ戻すために・・・・


また暗い過去の事を考えてしまった


しかし、よく考えればそれはあり得ないことに気づく


私は盗賊なんてやってる関係上村や街には入れないが(まず、忌み子だというだけで入れてもらえない)情報収集はできる


私の『業』は盗賊で、今のところ使えるのは遠距離の会話や物音を鮮明に聞き取れる『遠耳』と自らの気配を完璧に消し去る『スニーク』だけだ


そのうちの遠耳を使って調べた結果私のことは村や街では噂になっていない


それに今回仕掛けたのは私からでこの男は逆に私と関わろうとはしなかった


私を連れていくのが目的ならば最初から私と関わろうとするだろう


つまり、この男は本気で私から情報を得ようと思っているだけ・・・・・・?


年の割にはよく回る頭で考えた結論は


この男は別に今すぐ私に害をなすわけでは無い


と言うことだった


それに、私に危害を与えるのならばすぐに殺せばいい


そう思っていたのもある


私自身も今まで生きてきた生の中で色々経験してしまったため、他の人と比べて歪んでしまっていることは理解している


「旅の目的地は?」


それだけは聞いておかなくてはならない


「右翼の街だ」


思わず顔をしかめる


私を連れ戻そうとしている奴等のいる村がそこへの途中にあったからだ


「私と一緒にいると村や街に入れなくなるけどそれはどうするの?」


「んー、その時は俺一人で村に入って食料だけ調達してきて外で野宿かな?幸いテントもまだスペースがあるし」


どうやらそこも考えているようだ


「わふ?」


更に考え込んでいると座っている私の足元に子犬くらいのサイズの動物が来た


思わず抱き締める


その瞬間に心が決まる


「ねぇ、もしあなたについて行ったらこの子を抱っこしてもいい?」


そう尋ねると男は苦笑して動物を見てから頷く


「そう、それならこれからよろしく。私は雪。出身地はどこかわからないの。しばらくの間よろしく」


そう言って手を前に差し出す


「俺は空、14歳のテイマーだ。こいつは俺の『心獣』の雨。これからよろしくな雪!」


そう言って差し出した手を握ってくる


驚いた。まさか一つ違いだったなんて


大人っぽかったからもっと年上だと思っていた


それとこの私の手の中で気持ち良さそうにしている子は雨って言うんだ・・・・・


それにしてもいつもは警戒心がもっと高いはずの私がかなり心を許してしまっていることに気づく


うん、雨が可愛すぎるのが悪い

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