魔王と咎人と大罪の力
「まずはお主の一つ目の質問である『667番目の魔王とは何か』から答えよう」
俺はごくりと唾を飲み込む
今まで知りたかった事がようやくわかるかもしれないのだ
「まぁ、これは一言で表すことが可能じゃ・・・というよりもお主も先程のワシの話を聞いて薄々察しておるとは思うがの・・・お主の持つ667番目の魔王の称号はお主が大罪の力を・・・もしくはその一部を使う事ができるからじゃ」
その可能性は俺も考えていなかったわけでは無いのだが俺には少なくとも先程聞いたような名前の能力などないし、ほとんどが他人や敵からの貰い物のスキルだ・・・
「ん?貰い物?」
よくよく考えてみれば雨は産まれたときから667番目の魔王の称号を持っていた
その時に持っていた能力は・・・・
「吸収・・・・か」
「そうじゃな、その能力は大罪の力の一つである暴食の力の一つじゃ。おそらくじゃがその力はいずれ本物の暴食まで進化するじゃろう」
いきなりの言葉に思わず驚いてしまった
「なっ!どうしてそんなことが!」
「まず、強欲の能力がそう教えてくれとるし少し考えれば強欲の能力が無くともわかることじゃと思うがの」
そう言われて考えてみるがどうして俺の能力が暴食の力に進化するのかが理解できなかった
「元々大罪の力はその力を使えるもののみが持って生まれてくるのじゃ。ワシの強欲の力も元から強欲の力だったのではなく最初はレコードという名前の取るに足りんような能力じゃったしの」
原初の魔王の強欲の能力が元は強欲という名前ではなかったと聞いて少しだけ説得力が増した
前例があるなら確かにあり得るかもしれないと思ったからだ
「そもそも大罪の力というのは先ほど述べた7つに、特別な2種類。それと、それらの能力の劣化バージョンしかないのじゃ。ちなみに吸収もその劣化バージョンの一つじゃな。それを普通であれば大罪の力に耐えることもできん者たちに与えようとした結果が魔王の称号を持つことは出来たがそこまで大きな力を振るうことのできなかったか、暴走してしまうかじゃ。全く・・・・この結果だけは強欲の能力も教えてくれなんだ」
まぁ、もしこんなことが起こるってわかっていたらやらないだろうな
「とまぁ、そういうわけじゃ。つまり、ワシが与えた訳でもないのに大罪の力の証である魔王の称号を持つということが大罪の中でも特別な原罪の能力を持っておるという証拠じゃ」
「なるほど」
わかったようなわからないような・・・・・
「最後にそこの咎人の嬢ちゃんがどうしてこんなに強くなるのかという問についてじゃが・・・・・」
今度は雪が俺の服の裾を掴む
自分でも人間の枠を越えて強くなっていることを理解して、同時に不安にも思っていたのだろう
「嬢ちゃんの中に眠っている大罪の力が目覚めようとしておるのじゃろう。身体能力の強化は大罪の覚醒に耐えきれるように進化していると言ったところか」
「は!?」
思わず声を上げてしまったがそれも仕方ないことだろう
「私が・・・・大罪の力を・・・・?」
雪も呆然としている
「まぁ、何の力を手に入れるのかは強欲の力でもわからんのじゃが嬢ちゃんが大罪の力をいつか手に入れるであろうことはほとんど確定じゃな」
「そっちにも何か根拠があるのか?」
「ふむ、こちらの方は根拠はあるの」
意外にもこちらには根拠があるらしい
「そなた達はなぜ職業が咎人の者が人間界で嫌われるか知っておるか?」
「そりゃあ・・・・・咎人だからだろ?」
「別に本人が何かしたわけでもないのにかの?」
言われてハッとする
咎人というのはなりたくてなるものでは無いのだ
それなのになぜか人間には疎まれ、嫌われる
その理由を俺は知らなかった
今まで「咎人だから」という理由で咎人が嫌われていることをおかしいとも思わなかったのだ
「それではどうして咎人は嫌われているのですか?」
今まで黙っていた晴が聞く
「ふむ、それでは話すとしようかの。これはとある咎を背負って生まれてきた男の話じゃ」
そう言って原初の魔王は語りだした




