雪vs晴
更新が遅くなり誠に申し訳ございません
これからはある程度定期的に更新ができると思いますので
これからも空と雨と667人目の魔王をよろしくお願いします
「いきなりなに?」
雪が言うのも最もだ
何せさっきまで精霊との面白おかしいトリップしてたと思ったらいきなりの戦って宣言なのだ
そりゃあ理由を尋ねたくもなる
「せっかくだから契約した精霊さんの力を確認しておきたくて・・・・・」
なるほどね
つまり、ガチンコバトルではなく模擬戦というわけか
確かにそれなら晴が雪に相手を頼んだのも納得だ
俺じゃあ実力が離れすぎて何ができるのかもわからないしハクはまぁ、言うまでも無く魔王だからかなりの実力者だ
いくら精霊魔法が使えるようになったからといっていきなり戦えるようになるものでも無いだろう
その点雪は確かに実力はかなりのものだが、俺たちに比べれば一段も二段も劣る
それでも以前の晴なら1分持たないくらいの実力はあるのだが、この中で模擬戦を考えるのならば一番実力差が無いだろう
「よし、それならこっちに来るといい。訓練場があるからな」
まるで自分の家か何かのように勝手にずんずん進んでいくハクもそれはそれで問題があるような気がしないでもないが(というか問題しかないが)俺たちはそれに黙ってついていったのだった
「よし、それじゃあルールを確認するぞ?勝負は五本先取で入ったかどうかはいつも通り俺が判断する。ちなみに有効打が一本、致命傷又は死亡するような攻撃が入った場合は二本だ。勿論いつも通り俺が障壁と治癒を使うから全力でやって構わない」
これがいつものルールだ
お互いに俺が全身を障壁で守り、その障壁はある程度の強さの攻撃が当たった瞬間に壊れるようにしている
その障壁が壊れた時点で一度仕切り直しをし、壊れた障壁のかけ直しと壊れた場所の確認をする
その壊れた場所・・・・つまりは攻撃の当たった場所によって俺がポイントを判断する
を繰り返すだけだ
万が一障壁を抜けたときのことも考えて治癒の剣も床に刺しているため即死しない限りは問題ないだろう
まぁ、今回は晴が初めて使う力と言うことで障壁を三重にしておくが
「それではいくぞ・・始め!」
ハクの号令と共に晴に向かって駆け出す雪とそれを待つ晴
お気づきの方もいらっしゃるだろうがこの模擬戦は今までにも何度かやったことがあり、晴たちの動きはいつも通りといったものだった
何時もなら待ちの晴が魔法で雪を牽制しながら攻撃しようとし、それをかわされてまず一本入れられるのだが
「シルフの舞踏」
晴の呟きと共に晴の姿が消えた
いや、雪の後ろで足を振りかぶっているのだ
それにギリギリで気づいた雪が腕でうけとめようとすると
晴が空中を蹴った<······>
そのまま再び雪の後ろをとると蹴りを背中に叩き込む
バリン
という音と共に障壁が砕ける
「そこまで!」
その声と共に二人の動きは止まるが俺は正直晴の動きに少し驚いていた
今確かに晴はなにもないはずの空中を蹴って動いていた
そんなことは俺にもできないし(翼を生やして飛ぶことはできるが)聞いたこともない
だから雪も油断して一発食らってしまったのだろう
しかも、当たった位置は首の真後ろ
つまり、これが模擬戦でなく実際の戦闘であれば晴の蹴りの強さにもよるが今の一撃で雪は晴によって殺されていた可能性が高いのだ
また、もし死ななかったとしても意識を刈り取ることは十分にできただろう
(これ・・・・・ルール次第で俺でも負けるんじゃないか?)
まだまだ力の一端でしかないのにこう思ってしまうレベルだ
とりあえず晴の二本先取を告げて模擬戦を再開させる
今度はさっきまでと逆の展開になり後ろに回った晴の攻撃を冷静に対処し、晴の頸動脈前の障壁を破壊し、追い付いた
というより、それが一番手っ取り早く障壁もはってあるから問題は無いとは言え二人とも急所を躊躇無く狙うから最近少し怖いのだ
そうこうしてる間に今度は雪が投げたナイフを晴が風で受け流し、その隙をつこうとして後ろに回り込んでいた雪の顎の障壁に肘打ちを食らわせているし
お返しとばかりに雪は多数のナイフを投げて空中でぶつけ合い軌道を変えて風で迎撃できないような物量をもって晴の障壁を串刺しにしていた
お互いに4対4の接戦である
あっ、ちなみに晴には体全体を覆うような防御魔法は禁止してある
でないと勝負にならないし
それにしても晴がここまで強くなっていることに驚いた
魔法ひとつでここまで変わるとは思っても見なかったのだ
いや、本来なら戦士職よりも弱いはずの咎人の身でここまでの実力を手に入れた雪をこそ誉めるべきなのかも知れないけど
そうこう言っているうちに最後の戦いが始まろうとしていた
お互いに後一本でも有効打が決まれば勝ちなのだ
それなりに緊張感もある
「始め!」
バリン!
「「「へ?」」」
俺、雪、ハクが同時に声を上げる
開始と共に雪の障壁が割られたのだ
・・・・・雪の背後から雪を襲った雷によって
「私の勝ちだよね?」
呆然としていた俺は、晴の声かけによってようやく落ち着きを取り戻して理解した
晴が最後まで風の接近戦しかしなかったのは晴が「風の属性」しか使えず「接近戦」でしか戦えないと思わせるためだったのだ
俺もそう思わせられていた
雪もそう思っていたのだろう
いや、隠し玉くらいは警戒していたかもしれないが、晴の姿を捉えていたら関係が無いと思っていたのかもしれない
その油断を突かれたのだ
それにしてもいきなり使えるようになった魔法を使いこなす晴は凄いな・・・・・
雪も雪で悔しそうな顔をしてるしまた強くなるだろう
「よし、これなら私も空たちと一緒に戦えるね」
強くなったことに晴はとても嬉しそうだ




