手合わせ
「それにしても空・・・・お主、我がどうやって弟を倒したのだ?言っては悪いがお主はどう見ても魔法が得意には見えないし戦闘スタイルは弟と同じく近接戦闘タイプに見える・・・・そして、その近接戦闘ですら弟に勝っているようにも思えないのじゃが・・・・・」
まぁ、弟は魔王の中でも真ん中より上くらいの近接戦闘能力を持っていたから仕方が無いのじゃが・・・と最後に付け加えられていた
「これから旅に同行すると言っているとはいえ、流石にあってすぐのやつ・・・・しかも魔王の一人に手の内を明かすような事は普通に考えてしないと思うんだが?」
「むぅ、・・・・・確かにその通りじゃの・・・・では、一つ我と手合わせしてみんか?」
「はい?」
えっ?手合わせ?
いきなり何を言い出しているのかな?この人は?
ハクのいきなり言い出した言葉に俺は戸惑う
「じゃから手合わせじゃ・・・・お主が我に手の内を教えるつもりはないのは理解したからそれならば我が勝手に分析するしかあるまい?」
あー、なるほど・・・・魔王って基本脳筋なんだな
俺がそんなことを考えていると
「それに手合わせをすればお主も少しとはいえ我の手の内を知ることも出来よう。ほれ、悪い所などなにもない」
そう言われてみればそうかもしれない
これから旅で一緒に行くメンバーとして手の内を知っておきたいというハクの考えは理解できるしこちらも思うところだ
つまり、こちらにとってもこの手合わせは悪いことではない
さっきから黙って俺たちの話を聞いている雪と晴の方を見ると雪はコクンと頷き、晴も
「私もやってもいいんじゃないかな?と思ってるよ」
と肯定してくれる
っていうか俺は魔王だからなんとも思わないけどこの二人は人間なのに魔王の目の前にたってプレッシャーとか感じないのだろうか?
その二人の態度を肯定と取ったハクが俺を、戦う場所へと案内する
「ふむ、ここでいいじゃろ」
ハクの案内してくれた場所は外にある荒野だった
「ここでやって問題ないのか?」
「あぁ、ここは我の魔王領の中だしここも結界に囲まれておるから少しくらい暴れたところで問題はない・・そうじゃのぅ・・・力をもった魔王が5人くらい一気に暴れたりしない限り問題はないかの」
「なるほどな・・・・」
「というわけで存分に手合わせしようぞ!勢い余って死んでくれるなよ?」
えっ!?そこは勢い余って殺してくれるなよ?の間違いなのでは・・・・?
という心の声はいきなり飛んで来た火の玉にかき消されることになった
「いきなりかよ!」
俺は迎撃するために時空を使って空間を切り裂く
咄嗟のことで、斬撃にまで魔力を通すことはできなかったがなんとか時空だけで防ぐことができた
っていうか自分で作っておいてなんだが攻撃にも防御にも使えるとか時空って万能すぎだろ
「ほぅ、その剣は魔力を吸い込むのかのう?いや、それにしては剣が帯びている魔力は増えてないようじゃし・・・・見た感じ私の火の玉が吸い込まれたように見えたし切ったわけではなさそうじゃ・・・・面白いもの持ってるのぅ」
そう言いながら今度は無数の岩の弾丸を放ってきた
コイツ!俺の苦手な遠距離タイプかよ!
本来なら多少攻撃魔法を使用できる晴に手伝ってもらって倒す相手なのだが流石に1対1の手合わせに手を出すことは出来ないだろう
だが、今回は俺もしっかりと準備していたため斬撃にも魔力を通し、余裕を持って迎撃できた
「なるほどの・・・・どうやらその剣はブラックホールのような性質を持つ空間を産み出しておるか、真空の状態を作り出すことができる能力か・・・・更にその作り出した物を飛ばすこともできるとは・・・・かなりえげついの・・・確かにこれなら兄がやられたのも納得がいくわい」
嘘だろ!?あれだけのやり取りで正解にかなり近いところまで予想するとか!!
実際に原理としては真空状態に近い事が起こっている
真空状態の場所には空気が無いため、回りから空気がその場所を埋めようと移動するため、引き寄せられるような事象が発生している
時空はその原理と同じようなことを空間で行っているだけだ
しかし・・・・
「残念だが38番目の魔王を倒した時はこの剣はまわりの魔物を掃討するときにしか使ってねーよ!」
そう言って時空を鞘に納めると嵐を抜き、魔力を込める
「剣を変えた・・・・・?」
「行くぞ!」
俺は嵐に風の魔力を纏わせ振り下ろす
すると、風の刃が発生してハクを襲う
「くっ!」
それをハクは土で作った壁で防ごうとするも、風の刃は土の壁を簡単に貫き、再びハクを狙う
ハクはその場から退避することで何とか回避していた
ちなみに回避されることは予想できていた俺は風の刃を放つと同時にハクに向かって走り出していた
ハクを相手に遠距離を保ったまま戦うのは避けたかったからだ
俺の接近に気づいたハクが地面に手をつく
嫌な予感から地面を蹴って大きく跳躍する
その瞬間に俺が今までいた場所が砂地獄になっていた
それを確認した俺は間髪入れずに嵐を振るう
纏わせるのは火の魔法だ
炎の斬撃をハクに向かって飛ばし、空中で身動きのとれない俺を魔法の的にされないようにするためだ
「くっ!」
ハクは俺に魔法を打つより先に炎の刃を処理しなくてはならない
その間に俺は地面へと降り立ち、ハクの目の前までやって来て首に嵐を突きつけた
「これで俺のかちでいいよな?」
流石にここで「まだ終わってない」などと言うこともなくハクはコクコクと頷いたのだった




