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空と雨と667人目の魔王  作者: R.M
魔王領
32/45

39番目

「38番目がやられたと言うのは本当かい?」


「あぁ、ワシの式がきちんと見ておったよ39番目よ」


39番目と呼ばれた女性が苛ただしげに髪を払う


38番目が自身の底にある復讐心を押さえきれなくなり、人族領域に攻め込んだのが1週間前、そして、目の前にいる老人52番目に38番目がやられたと聞いたのはたった今の話だ


「あいつがやられるなんてね・・・・・あいつは真っ直ぐ突っ込むし強さもそこまでではないとはいえ仮にも魔王だ・・・・ただの人間が何人集まろうと蹴散らせるくらいの力があるはずなんだが・・・・・」


そう、兄妹だったからこそわかる


兄である38番目は総合力で言うと魔王の中では弱かったといえ、本気を出したときの身体能力は魔王の中でも中の上に達していた


それこそ拳を放った衝撃波のみで人間を粉々にできるくらいには


しかし・・・・


「38番目を倒したのは人間ではない・・・・魔王じゃ」


その言葉に39番目と呼ばれた女性が叫ぶ


「馬鹿な!38番目の領域は人族のすぐとなりだ!他の魔王領を通った訳でも無いのに魔王に倒されただと!?そんなことありえん!」


そう、魔王の中にもそれなりのルールがあるのだ


それを考えると38番目が他の魔王に害されるなどあり得ない


「確かにそうじゃが、それは我等『縛られし者』の中での話じゃ」


「それがどう・・・・まさか!?」


それがどうしたと言いかけて一つの可能性に気づく


「うむ、恐らくお主の考えている通りじゃよ39番目よ・・・・38番目を倒した魔王はこう名乗った・・・・667番目の魔王・・・と」




38番目の魔王領入り口


「ふー。それじゃあ出発するか!」


38番目の魔王領は主である魔王がいないため、魔物がいない


基本的に魔物は魔王の魔力によって産み出され、主の魔王の死と共に消え去る


なので、主である魔王が死んだ38番目の魔王領には魔物がいない


なので、すんなりと抜けることが出来た


とは言ってもそれでも2日ほど時間がかかったが


次に入ったのは39番目の魔王領だ


「ここからは魔王が存命の所ばかりだ・・・・警戒レベルを上げていくぞ・・・」


39番目の魔王は今まで、人間界に攻めてくることが無かったために、情報が全くない


逆に姿を見た者すらいないことから実在が怪しいと言う人もいる


一度39番目の魔王領に入った者がおり、使役(というより放し飼いされている)魔物は獣系統と死霊系統という38番目の魔王領と同じようなものらしい


しかし、唯一違うのは38番目の魔王の使役魔物が剣や拳、爪を使って攻撃する肉弾戦闘系統の魔物であるのに対して、39番目の魔王領の使役魔物は魔法を使用した遠距離攻撃が得意な魔物が多いのだ


正直俺の苦手なタイプである


いざというときのために、晴には仲間に魔法に対する防御力を上げる付与(エンチャント)魔防付与をかけてもらっているし、俺も探索に重点的に魔力を注いでいる


しかし、1日の間襲撃はなかった


襲撃・・・・・というよりも待ち伏せがあったのは俺たちが39番目の魔王領に入った次の日のことだった


探索が39番目の魔王領に入って初めて生き物の存在を感知したのだ


その数は俺が前に踏み出す度に増えており、最終的には1万を軽く越えていた


38番目の魔王の部下よりも多い


「止まれ!」


その魔物の群れの中から女の声が聞こえた


俺は一応その声に従うことにした


「人族の者等よ・・・・・何故に我が領土に足を踏み入れた?」


人族と聞いて、俺は魔王になってしまった俺でも雨と融合していなければ人族に見えるのだと知り、少しだけ嬉しくなった


しかし、そうは言っても流石にこの数に襲いかかられたらこの姿のままでは手に余ると感じて雨と融合する


「そなたは・・・・・・だれだ・・・?我は全ての魔王とは言わぬが殆どの魔王の姿形を知っている。しかし、我はそなたのような魔王を見たことはない。お主は一体何者だ?」


そう言いながら魔物の群れの中から一人の女の魔王が出てきた


その姿は38番目の魔王にそっくりで胸の膨らみがなければ止めをさしたはずの38番目の魔王が生きていたのかと勘違いしてしまっただろう


「俺は667番目の魔王・・・・訳あって1番目の魔王に会うためにここにいる」


そう言うと女の魔王は何かを呟いた後


「我は39番目の魔王。名はハクと言う。667番目の者よ少し話が聞きたい・・・・我が住みかで少し話を聞かせてはもらえんか?我が兄である38番目の最期についても聞いておきたい」


俺はその言葉にいくつかの疑問を感じてしまい、気がついたらついていくことを了承してしていた

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