卒業試験
結論から言うと称号の件は直ぐに解決した
長老様にこの事を話すと、雨のステータスと俺のステータスを確認してくれ、667人目の魔王の称号が俺に移っていることを教えてくれた
つまり、俺はもう667人目の魔王を使役するテイマーではなく667人目の魔王その物になってしまったらしい
直ぐにその事を雪と晴に話したが二人とも別段何とも思ってはいないようだったので少し安心した
それからしばらくして竜属の里に来てから1ヶ月が過ぎたが晴はまだ職業が魔法使いのままだがもうすぐ付与魔術師に進化できるらしい。最初は強い攻撃魔法を使える魔術師の方がいいと思っていたのだが、晴自身が攻撃よりも俺や雪の援護をしたいと申し出て先に付与魔術師に進化することになった。そのために雪やサーシャさんと一緒に狩りに行ったりしている。サーシャさんから言わせればまだまだ甘いが見所はあるらしい
俺は俺でリーフさんから薬学を学びながら、暇なときは雪達と一緒に狩りに出掛けている
その時に魔王状態に慣れて、今ではそれなりに魔王状態をある程度使いこなせるようになったのだが、そうなると別の問題が浮上してきた
「武器が無い・・・・」
基本的に魔物状態の時はそこら辺の魔物が使っている武器を奪って使っているのだが、武器が魔王状態の俺の力に耐えきれないのだ
そのために俺は村の鍛冶師であるボルトさんに平行して弟子入りし、鍛冶の基本も鍛えることにした
自分で自分の武器を作るためだ
すると、意外な才能が見つかった
鍛冶で使うハンマーを持つのにかなりの力が必要だったので仕方なく魔王状態でハンマーを振るうと、ハンマーを叩きつけた鉄が魔力を帯び始め、一種の魔剣と呼ばれる物ができたのだ
俺が始めて作った魔剣は魔力を喰って様々なことができるというものだったが
握っているだけでかなりの魔力を吸われるため、使えるのは俺だけということで俺がもらった
それで色々と試してみたのだが結局その剣も1週間もたなかった
ボルトさんいわく、材料が普通の鉄で、そこまで親和性が高くなかったせいで、俺の魔力に耐えきれずに壊れたということらしい
というわけでボルトさんには魔剣に適した鉱石である「ミスリル」を使った魔剣の製造方法を教えてもらえることになった
後は基本的な魔剣の打ち方もだ
基本的な魔剣は熱したミスリルと込めたい魔力の媒介となるものを一緒に打ち込むことで作ることができるらしい
俺の最初の剣が魔剣・・・・というよりも疑似魔剣になってしまった理由は
俺が無意識に放出している魔力がハンマーを通して鉄に強引に打ち込まれた結果だろうということだ
その他にも媒介によってはその媒介を溶かした水に馴染ませることで作る方法があるらしい
ちなみに魔剣を打つことができる俺には教えることがもうほとんどないようで(基本的なことはもう出来ていたため、後は経験を積むしかなかった)かなり早いがボルトさんには卒業試験を課された
その内容は
『自分一人の力で剣を一本仕上げること』
だった
何時もはボルトさんが用意していてくれたミスリルのインゴッドも自分で作成し、ボルトさんが納得するレベルの剣を作れということだ
ちなみにミスリルは竜山の中にいるミスリルタートルから取ることができ、それを採取するために今まで練習用に作った剣は使ってもよいとのことだ
ミスリルタートルはミスリルの甲羅を持つ亀の魔物でその甲羅のせいで防御力がかなり高い上に魔法にも強い
魔王の力を使えるようになった俺だが正直いって武器無しでは決め手にかけるほどの相手だ
そもそも強いとは言っても新米魔王のために大昔からいる魔王のように理不尽な強さを持っている訳ではない
魔力量は化け物クラスだし、すごいスピードで自然回復するため正直魔法さえ使えるようになれば遠距離無双することも可能だ
しかし、今回倒さなければならないミスリルタートルは魔法が効かない
いや、厳密には効くのかもしれないが今の俺が使える程度の魔法ではダメージを与えられないのだ
「というわけで、晴、ミスリルタートルを倒すために協力してほしい」
本当は雪に頼んでもよかったのだが、雪の攻撃手段ではまだミスリルタートルを倒すことはできないため、最近になって付与魔術師に進化し、付与魔術を使えるようになった晴に頼むことにした
「うん!わかった!だけど、絶対に守ってよ」
と軽い冗談を受け流しながら俺たちはミスリルタートルを討伐しに行った
里を出て20分ほど歩くと直ぐにミスリルタートルは見つかり、戦いを始めたのだが・・・・
「付与!アタック、グラビティ!」
攻撃力増加と重力の追加によって威力を増したはずの剣はミスリルタートルの甲羅を断つことが出来ずに折れていく
もうかれこれ83本目だ
持ってきた剣の大半をへし折られながら俺はげんなりとしていた
「同じミスリルのはずなのになんでこっちが一方的に折れてるんだよ!」
逆に相手には傷一つ見えないし!
晴も相当疲れているようだ
無理もない。自分一人で倒せるか見るために切りかかった最初の一撃以外全ての攻撃に合わせて
つまり、ゆうに82回もの付与を繰り返しているのだから
「くそっ!こんなの倒せるのかよ!」
俺は未だにこちらを踏み潰そうと頑張っている亀を倒そうと再び立ち向かっていった




