真意
「俺を殺してください」
この言葉はローズ様がどんな反応をするかを見るためにあえて勘違いするように言った言葉だ
確かにこの言葉は俺の考えの一欠片を内包してはいたが実際に伝えたかったことと比べるとかなり違ってくる
現に雪はこちらを見て固まっているしローズ様は唖然としている
しかし、俺の言葉に答えたのは思いもよらない人物だった
「ダメ!なんで空が殺されなきゃいけないの!」
俺の隣で寝ていたはずの晴だった
その晴の叫びにローズ様も我に帰ったのか
「そっ、そうだ!どうして私が君を殺さなければいけない!!」
と叫び返す
しかし、これではまだローズ様の本心かどうかなんてわかりはしない
晴につられて言っただけかもしれない
だからもう少し揺さぶることにした
「今の俺は魔王は使役するだけでなく、魔王として人を殺せるんですよ?今は筋肉痛でとてもじゃないが動けないですが・・・・・」
その言葉に対する反応は三者三様だった
まずは俺が魔王と関係してると知らなかったのでさっきのローズ様みたいに唖然としている晴
次に俺が魔王を使役しているのは知っていたが俺自身が魔王として活動できると知らなかったローズ様
最後に何らかの予想はできていたのかなんの反応も示さない雪だ
さてと、後一押しか・・・・・
「人類に災いをなす存在である俺を生かしていてもいいのですか?」
勿論殺しに来られた場合でも逃げる方法は用意していた
雨は寝たふりはしているがもう目を覚ましていたし、ローズ様が動き出したら襲いかかれと念話で伝えておいた
晴だけはどう動くかわからないけど晴一人なら雪に任せても問題ないだろう
それに雪が俺の隣に寝かせるのに隠し武器の所持など認めさせるわけがないという信頼もあった
「そんなことは関係ない!」
しかし、ローズ様の答えはこれだった
「元はと言えば私の部下が引き起こしたことが原因だ!その被害者である君を殺すだって!?そんなことをしたら私はもう人を裁くことなどできまいよ!それに・・・・・」
「それに・・・・・・?」
なんだか無償に続きが気になってしまった
「私は君たちを孫のように思っている・・・・そんな君たちを殺す気にはなれない」
その言葉は余りにも真っ直ぐすぎて俺には嘘をついているのかどうかなんてわからなかった
だから・・・・・・
「それならばローズ様・・・・改めてお願いがあります」
俺は本当の願いをローズ様に告げたのだった
次の日
ローズ様はもう自分の治める地へと向かっており、この故郷の村にいるのも俺と雨、雪、ドラウスさん、晴だけになった
晴は俺が魔王を従えていると知っても対応を変えること無くいてくれた
しかし、目には悲しみの色が常にあり、村の皆のことを考えていることはすぐにわかった
俺は俺でこれからどうするかを考えていた
まずは俺がどうするかだ
恐らく魔王の姿を見せてしまったのだから竜属の里には帰ることは出来ないだろう
そう考えていたのだが、その問題は雪とドラウスさんの言葉で解決した
「リーフさんも絶対に帰ってこいって言ってたよ」
その伝言が伝えられたのはリーフさんが俺の変身を見てからだから魔王だとか関係なしに帰ってこいと言ってくれているのがよく理解できた
「他の皆も帰ってきてほしそうにしていたぞ。それに竜属は魔王だろうがなんだろうが一度家族に迎え入れたものはそいつが禁忌でも犯さない限り永遠に守り抜く・・・・だから問題はない!」
ドラウスさんも同じようなことを聞いていたようで、どうやら魔王だろうと俺が帰るのは問題ないらしい
うん、禁忌に魔王になることが載っていないことを祈ろう
そうなると、しばらくの拠点というか留まるところは決まったのだが、もう一つの問題が残っていた
それは晴だ
どうやら奴等は余程計画的にやったようで、晴以外の生きている人間は一人もいなかった
晴は多少しっかりしてるとはいえまだ15歳だ
一人で生きていくのは無理だし
かといって魔法使いとして稼ごうにもこの近辺は稼ぐことができる場所ではない
俺のように生産系の技能を身に付けた訳ではないので一人で生活が出来ないのだ
なので、俺は密かにドラウスさんにとある頼みことをして許可を取ってから晴を呼び出した
大切な話があると言って
場所は雨が生まれた場所で、晴の練習場所でもある広場・・・・
俺たちにとってはもう一つの意味がある広場だった




