挨拶と出発
次の日
俺たちは朝御飯をユニのところでお世話になると必要な分の超薬草をもらい(勿論俺も少し貰った)、もと来た道を戻っていった
帰り道もやはり潜んでいる魔物たちに襲われたが行くときでも問題なかったのに、雨が強化されている状態の帰り道で問題など起こることも無く、俺たちは普通に右翼の街まで戻ってくることが出来ていた
なぜ右翼の街まで戻ってきたのかというと、流石に今までお世話になったローズ様に竜属の里へ滞在するということを言わないのは筋が通らないことだと思ったのと、ローズ様に雨が新しく使えるようになった能力について報告しておこうと思ったからだ
これはローズ様から無理にとは言われていないが可能な限り報告しておいて欲しいと言われたのでしていることで、基本的に雨が新しい能力を得る度に俺はローズ様に報告をしていた
それによってローズ様も上層部に俺たちがきちんと魔王を倒すために強くなっているという報告をすることができるらしい
いつも通りローズ様の部屋へと通され、俺たちは森での一通りの出来事とドラウスさんの提案についてローズ様に話した
ローズ様は俺たちが無理に魔王を倒す必要はないという考え方で、可能な限り俺たちがゆっくりと過ごせるようにと環境を整えてくれていた人でもあるので俺が竜属の里へ行くことのメリットについても理解し
「是非行ってくるといい」
とむしろ背中を押してくれた
続けて雨が新たに手に入れた能力について話すと
「その念話という能力はどれだけの距離があっても使用できるということだが私と竜属の里へと行く雨君を繋ぐことも可能かい?」
そのローズ様の質問に俺は頷いた
それはこちらからも提案しようと思っていたことなのでユニにちゃんと聞いておいたのだ
「なら雨君に頼んでくれるかい?」
「わかりました。雨、ローズさんと念話のパスを繋いでくれ」
『うん、わかった・・・・・・できたよー』
雨は念話を使えるようになってから可能な限り俺に話すときは念話を使っていた
雪も雨の声を聞きたそうにしていたが今のところ念話で話してくれるのは俺だけだ
「できたそうです」
「うむ、わかった・・・・『あーあー、聞こえるかい?雨君、聞こえたら返事をしておくれ』」
「あれ?ローズさん何でか知らないけど俺に念話が繋がってるんですが・・・・・」
そう言いながら雨を見ると
『だって、僕は主様と一心同体だから』
と言っていた
「おそらく、雨は雨に対する念話を俺に向けることもできるみたいですね・・・・おそらく、俺の心獣だからでしょうが・・・・」
これは仮説にしか過ぎないがおそらく間違えてはいないだろう
「そうかい、それなら手間が省けて丁度いいね。こちらからは何かあったら連絡をするよ・・・・そっちからは・・・まぁ、いつもの報告と帰ってくるときに連絡をおくれ。いきなり帰ってこられると中々に大変だからね」
と冗談混じりに言う
「わかりました!それでは行ってきます。今までお世話になりました」
ローズさんにお辞儀してドラウスさんの元へと向かう
「いつでも帰ってくるんだよ」
ローズさんの言葉に嬉しくなりながら俺たちは改めてドラウスさんの元へと向かった
空たちが竜属の里へ出発してしばらくして、城に勤めるものたちへローズ自らから
「空たちは更なる強さを求めて竜属のサトへとむかった」
と報告された
しかし、それを聞かされた一人の男が隠れて悪態をついていた
「全く・・・・・ローズ様はどういうつもりなんだ!手元において管理していた『魔王』や『咎人』という危険なモノをむざむざ野に放つとは・・・・・」
男は本来ならば空たちを処刑する方向の意見を持つもので、初日に空たちが話を聞かされた咎人に対して嫌悪感を持つものたちの隊長なのだが主であるローズ様の方針が空たちを処刑しないという方針だったためそのいけんを口に出せずにいた
ローズの元にいた空たちがきちんと成長し暴走などすることもなかったためにこの男は
(ローズ様はいずれこの者たちを使い、魔王を倒して出世なさるのだ。そうなればその部隊長の一人である俺もそれなりの地位につけるに違いない)
そう考えていた矢先に今回の出来事である
男はこう考えた
(なんとかして奴等をこの場所に連れ戻さなくては・・・・・しかし、ローズ様の話によるとやつらは竜属とともに竜属の里とへと向かうということ・・・・今から急いだところで間に合うまい・・・ならば・・・・・)
男は自分の思い付いた策に一人笑みを浮かべると部隊に招集をかけにいった
(さてと・・・・こうなると面倒なのは理由付けだな・・・・・・まぁ、長期行動のための訓練とでもするか・・・・・時間は・・・・・招集と準備に大体3日、移動も合わせれば10日ってとこかな?悪いが俺の出世のための生け贄になってもらうぜ?)
短いですがこの話で第2章終了です
登場人物紹介は第3章終了時にしようと思っています