晴と雪
今回は序盤にほんの少し出てきた晴ちゃん視点です
ちょっと、今回短めとなっております
本文
「空が帰ってきたぞ!」
門番のガンツおじさんの声を聞いて私は今まで魔法の訓練をした広場・・・雨が生まれた広場でもある・・・から飛び出した
全力で走ってガンツおじさんの所へ向かう
「ガンツおじさん!空は!?」
「あっ、あぁ空なら村長の所へと報告に・・・・」
「村長のとこだね!ありがとー!」
いきなり飛び込むように走り込んできた晴に驚きながらもきちんと答えてくれたガンツおじさんに感謝を述べて村長様の家へと急ぐ
「はぁはぁはぁ!」
息はきれてるけど体が軽い!
不思議な感じだった
そして、私が村長の家にたどり着くと同時に村長の家の扉が開き空が顔を出す
更に私の体が軽くなった気がした
空が旅に出てから半月くらいしかたっていないのにもう数年はあってなかった気がする
空は気づいていなかったかも知れないけれど晴はずっと前から空へと異性に対する好意を抱いていた
晴自身は自分がモテることも気づいていたし、それなりの数の告白を受けてきたが誰とも付き合う気にはなれなかった
晴が好きだったのはずっと前のあの日から空だけだったのだから
「空!おかえ・・・・・」
そこまで言って言葉が止まる
(あれ?私目でもおかしくなったのかな?ナンダカマボロシガミエルヨ)
少し疲れているのかもしれない
だって村長の家から出てきた空の後ろからこの村で見たことのない女の子が出てきたのだから
しかも空はそれをおかしいとも思っていないようだ
それに・・・・・なんとなく女の子の目が空に対しての好意を抱いているように見える
なんでわかるのかと言うと女の勘である
「あっ!晴!久しぶり!」
空がこちらを見て手を振る
後ろにいた女の子も空の声かけでこちらに気づいたようだ
空の後ろについてこちらに来る
「いきなり旅なんか出てどうしたの?」
そうだ、空は旅の理由すら私に話さずにいきなり旅に出たのだ
村長に聞いても教えてくれなかったし
「それはその・・・・・ごめん!どうしても言えないんだ」
空が申し訳なさそうに手を合わせて言う
空がここまでするということは相当な事情があるのだろう
「空、この人は誰?」
空の後ろについてきていた女の子が私を指差して空に聞く
「そういえば、空くん?私も聞きたいなぁ・・・・この子は一体誰なのかな?かな?」
思わず敬語になり、空へと訪ねる
「えぇっと、とりあえず紹介するよ。雪、この子は晴、俺の幼馴染みの一人だ・・・・・って言ってもこの村はほとんど全員幼馴染みのようなものだけどな・・・・晴、この子は雪、旅の途中で出会って道案内をしてくれたんだ」
空の説明の後、軽めに牽制を入れる
「よろしくね。雪さん・・・・私の空がお世話になったみたいでごめんなさいね」
「ううん、構わない。雪は空の物だから」
「ぐはっ!?」
思わずのけぞってしまった
(えっ!?空のもの!?つまりそれって・・・・・・)
頭の中でとても口に出せないような想像が駆け回る
牽制でジャブを打ち込んだらカウンターで右ストレートをくらった気分だった
「そっ、空の浮気者ーー!!」
思わず叫んで走り去ってしまった
後ろから空が呼んでいた気がしたが振り返ることなどできなかった
目尻には涙が滲んで来て、私は家に帰ると母親に
「今日は疲れたからもう寝る」
と言ってから自分の寝室へと閉じ籠る
恐らくだか声が涙混じりになっていたから少しくらい事情は知られていたかもしれないが・・・・・・
そのまま泣き疲れたのか本当に寝てしまい
次に目を覚ましたのは次の日の朝だった
そして、その時には空はまた旅立っていたのだった
それを聞いたのは母からで、昨日の昼に私が家に帰ってきてから割とすぐに空たちは一度家に来ていたそうだ
その時空は私に会いたがっていたそうだが、その時には私は寝落ちしていたらしく、仕方なく空たちは私用のお土産である赤色のリボンと事情があり、また旅に出るという伝言
また、いつ帰ってくるかはわからないということを言い残し、また旅に出たらしい
「そんな・・・・・」
私は空たちについていこうと思い、追いかけようとしたが母に
「昨日の昼頃に出たのに今から出て追い付けるわけがない」
と説得されてなんとか思い止まった
仕方なく私は
「空ー!次にあったら覚悟しなさいよー!!」
と叫んで我慢することにした
今回の話で第1章はおしまいです
次の話は空たちが村から出て半月後くらいのお話となります(正直修行パートとか書くの苦手なものでして・・・・・)次回から少し成長した空と雨と雪をお楽しみください
※晴ちゃんが次に出てくるのは・・・・・早くて2章遅ければ・・・・正直行き当たりばったりで書いているのでそこらへん未定となっております
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次回一章の登場人物紹介を入れようと思っています