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空と雨と667人目の魔王  作者: R.M
出合いと旅立ち
10/45

奴等

※雪視点


私たちがローズ様の居た街から出て二日がたった


そんな今、私たちにはかなり重大な問題があった


何かって?


村の中で空の隣を歩いていても


空の顔をまともに見れなくなってしまいました、ハイ


(ちなみに、村の方はローズ様がくれたメダルを見せると私でも割とすんなりと入ることができた)


理由は単純明快で、ローズ様の前で叫んでしまった内容のせいである


あの時に戻れるとしたら私は過去の私をどんな手を使ってでも止めていただろう


そう思えるくらいである


しかしだ、あそこで叫んだことに一番驚いているのは他でもない、私自身である


最初は領主の村まで案内すればその間は美味しいご飯が確約しているし、私を奴等に引き渡そうとする素振りを見せればその瞬間に殺して持ち物を奪えばいいと思っていたのだ


生まれてこのかた人を殺したことなどなかったが、自分にはできるということもなぜかわかっていた


しかし、そんな計算は一気に砕けちった  


空と・・・・・いや、空と雨といることがいつのまにか当たり前のことになっていたのだ


それに気づいたのはいつのことだったか


空と雨が一緒に買い物に行くために私一人になったことが原因だったか?


その時に私はこのまま空と雨が私の所に帰って来ないのでは無いかと恐怖したのだ


奴等から逃げ出して1週間ほどは一人で生活をしていたし、それを苦だとは思わなかった


そんな私が利用しているだけのはずの空と雨が少し離れただけで一人きりの恐怖を感じたのだ


その気持ちに気づきながらも認めたくなかった私はローズ様が口に出した「処刑」という言葉が空と雨に向けられた物だということに気づいた瞬間に感じた恐怖によって理解してしまった


あぁ、私はもう一人で生きていけないんだなぁということを


だからといってあそこまで行動を起こす必要はなかったと思う


正直な話、気が動転していて何を口に出したかは覚えてないし、我に帰ったのもローズ様の咳払いの後だった


それでも、とんでもないことをしてしまったのだけは理解していた


そんな考え事をしている私の後ろから最も聞きたくない声・・・・・奴の声が聞こえた


「やっと見つけたぞ・・・・・手間かけさせやがって」


その言葉が終わらないうちに私の体に電撃が走る


「ッッッッッ!!」


私は声にならない悲鳴を上げてその場に座り込んだ



※空視点


人気のないところに来た途端に隣を歩いていた雪が崩れ落ちた


「雪!?」


慌てて駆け寄ろうとするとそれを近くにいた大男に邪魔される


「なんなんですか!あなたは」


大男は俺の問いに答えなかったがその大男の側にいた男が代わりに答える


「そこにいるのは俺が雇ってる護衛でな・・・・俺は商品の回収にきただけだ」


「商品?」


俺は男の言っている言葉の意味がわからずに首を傾げる


商品と俺が雪のいるところに駆け寄ろうとするのを邪魔することの意味が繋がらなかった


「こいつが俺の商品だ・・・・奴隷なんだよ・・・コイツは・・・・・」


そう言って男が手を雪の額にかざすと雪の額に模様が浮き出る


それが何かは色々な本をよんで知識を蓄えていた空にはわかった


「奴隷紋・・・・・」


「ようやくわかったか・・・・・こいつめ・・・咎人だから逃げ出してもすぐに飢え死ぬだけだから逃げ出さねぇだろうと思って他の奴隷と比べて低レベルの奴隷紋を刻んでいたが・・・・・これからは高レベルの奴隷紋を刻んで俺様の許しなしに呼吸すらできないようにしてやるよ!」


奴隷


通常であれば犯罪者などがなるもので、他に、食いぶちを稼ぐことができずに自らのことを売り付けるものや酷い場合は金を作るために親が子を奴隷として売り付けることもある。奴隷は奴隷紋によって縛られ、その奴隷紋のレベルに応じて縛られる内容や自由度も変化する。更に奴隷には人権も認められていないためかなり後ろ暗いことに用いられることも多いので、自ら進んでなる人は少ない


「うぐ!」


雪が吹き飛び、壁に体を打ち付けて動かなくなる


胸が上下しているのを確認し、ただ気絶しているだけだと知りほっとする


どうやら男によって鳩尾を蹴られたみたいだ


「やめろ!そんな乱暴なことをするな!」


思わず男に向けて叫ぶと男がこちらを睨み付ける


「お前咎人を庇うとか頭大丈夫なのか?それに今はこいつは俺の奴隷に等しい、俺が商品をどう扱おうと勝手だろ?それともてめぇが今ここでこいつを買うってのか?あぁん?」


「上等だ!買ってやるよ!てめぇみたいな奴に大切な仲間をこれ以上傷つけさせてたまるか!!」


売り言葉に買い言葉でついつい叫ぶ


「ほざくな!てめぇみたいなガキがこいつを買えるほど金持ってるはずがねぇだろうが!こいつは咎人だが、逆に言えば珍しいってことでプレミアがつく。そういう奴をなぶるのが好きとかいう奴もいるしな・・・・それに今はこんなちんちくりんだがこれはこれでロリコンの貴族にでも売り払えば肉奴隷として金貨10枚くらいはつくだろうよ!てめぇは即金で金貨10枚払えるってのか?」


最後の方は俺を嘲るかのように男が叫んだ


「いいぜ!払ってやるよ!金貨10枚!!」


俺は雨に頼んで異空間から金貨を10枚出してもらい袋に分けて男に向かって投げる


それを受け取った男が袋を開けて中身を確認すると眉をしかめて舌打ちする


「ちっ!本当に払いやがった・・・・いいだろう。金を支払ったからには認めたくはねぇがてめえは客だ。ドロス!そいつをつれてこい!くれぐれも丁寧に扱え!坊主もついてこい」


ドロスと呼ばれた大男が雪を優しく抱き上げるのを見て俺は大人しくドロスの後ろについていく


「ここが俺の店だ」


そう言って男が店の扉を開ける


「さてと・・・・・今から奴隷紋の管理権を坊主に移譲するがその前に言っておくことがある」


「なんだ?」


「奴隷は解放することはできない・・・・これは国法で定められていることでもあるが、まず解放できる奴がそうそういないって理由もある。俺もできねぇしな・・・・・・それだけは理解しとけ」


その言葉に頷く


本当は解放してやりたいところだったが国法で奴隷を解放することが禁じられているのは俺も知っていたからだ


「それじゃあ始めるぞ・・・・・俺が手をお前に向けて差し出したら右でも左でも構わねぇから俺の手に重ねろ。そこにこいつの奴隷紋の管理権を刻み付ける。ちなみに聞いておくが今こいつにかけている奴隷紋はレベル20、内容は能力制限、反逆時の制裁(近距離)のみだ・・・・正直奴隷にしてはアマアマだが奴隷紋のレベルはどうする?」


「最弱でいい・・・・・・内容は特に希望はない」


「それなら奴隷紋のレベルは1、内容は従順にしておくか・・・レベル1程度じゃつけててもあんまり意味はないがな」


その言葉に頷きを返して俺は男が差し出した手に自分の右手を重ねた


重ねた部分から熱を感じ、しばらくして男が手を離すと俺の手に黒い模様が浮き出ていたがしばらく放置すると勝手に薄くなって消えていった


「これであいつはお前の奴隷だ・・・・また買いたい奴隷でも出来たら俺の所へ来い」


「もう二度と来ねーよ!」


俺は雪を背負って捨て台詞を吐くと男の店を出ていった



ようやく布石の一つである「奴等」の回収です


前回の雪視点の話で出てきた「奴等」という言葉に疑問を感じてた読者のかたは多いと思われますが、ここまで読んでくださってありがとうございます(文章がめちゃくちゃになっとるw)


こういった伏線はちょくちょく入れていこうと考えているので(というかもう入れてしまっている伏線もあるので)よろしければ、是非とも探してみてください

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