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やたらハードボイルド

 敵が久々に大規模に兵を動かしてると聞いて、直ちに彦根城に集合する四人。


「何か、最近敵さんも動きが増えてきてるね」


「一華姉さんが留守という情報が湯水のように漏れてるようです」


「諸葛亮が抜けた蜀みたいなものだと思われてるんだね」


「極めて不快ですね。確かに一華姉さんは美人で頭がよくて、モデルみたいな体でゴリラみたいな怪力を持ち合わせたチートキャラですけど、私達だけを相手にしても十分に痛い目にもあってるので、もう少し学んで欲しいものです」


 そう言った六韜がちらりと視線をあげると、その視線の先にはウォーミングアップとしてぱんぱんに詰まった砂袋を肩に乗せスクワットをしているニシャ姉と、この世の終わりのような表情で剣とぼそぼそと喋ってる三剣姉さんの姿が。


「ぱっと見るとオカルトファミリーだよね」


「というよりも、この人達と血が繋がってるという事実から目を背けたくなります」


 地図と睨めっこした六韜が、恐らく敵味方を仮想してるであろう紙兜を被ったひな人形を動かしている。

 敵の人形の顔には一様に怒った表情ヽ(`Д´)ノが書き込まれており、こちら側のひな人形にも顔に落書きがしてある。

 炎炎炎>(`◎´)と書かれたのが恐らくニシャ姉で、この無気力風な顔が三剣姉(/'A`|)で、何故か泣いてる(ノД`)のが僕だろう。


「芸術性の欠片も感じられない、数を恃むだけの大阿呆な戦略ですね」


 そう言って、六韜はこちらの駒をずばばと動かし始めた。

 その動きは複雑すぎて、僕には何をしたいのやらさっぱり分からない。

 この各々の動きの意味を理解しているのは、夢の中でも兵を動かしている戦術中毒の六韜だけだろう。

 その中でニシャ姉さんは最寄の敵位置を、三剣姉さんは自分の駒の位置だけを覚えているだけだ。

 そして、主任料理人の僕の駒はずっと止まっているので何も覚えることはない。


「質問のある方は挙手をお願いします」


 そう言われても誰も手をあげない。

 与えられた仕事だけを淡々をこなすのはアマチュアで、全体のことを考えるのがプロだというが、敵の動きを予測した上で万近い戦場の盤面を頭の中で回転させ続けている六韜に対し、成る程、はいはい、ほうほうといった合の手を入れる以外に何が出来るというのだ。


「無いならば、作戦開始です。各自位置についてください」


 その号令がかかると僕は昼食の紙袋を二人に渡します。

 中身は琵琶湖で釣れたバスを油で揚げて小麦で挟んだバスバーガーなる新作。


「そのネーミングセンスは相変わらずだけど、四浪の料理の腕前だけは信頼してるから、楽しみにしてるわ」


 熊と相撲を取れそうな勝てそうなニシャ姉から抱擁かベアハッグかよく分からないものを受けて、目玉と胃腸が飛び出そうになるものの、これが最後になる可能性だって無きにしもあらずなので、頑張って耐え抜く。


「おっしゃ、じゃあ軽く遊んでくっか。」


「鎧袖一触、デコピンで敵を岐阜まで追い返してください」


 二メートルはあるかという蛇矛をおもちゃのように抱えたニシャ姉が笑いながら部屋を出ていき、それを追うように真っ黒の死装束を纏った三剣姉さんも静かに後に続く。


 六韜と二人残るといういつもの光景。


「さてと、私達も行きましょうか」



 一口飲めば万病が治ると言われる居醒の聖水。

 この聖水をはぐくみ、多くの滋賀の民に愛されるこの大自然に囲まれた峡谷は、僕の妹によって天然の要害に変えられてしまっていた。

 山の中に作られた合計で三十六箇所の連絡所には、それぞれが妹の絶望的なセンスで付けられた名前を持ち、その名称の豊かさは「地獄道」「修羅道」といった六道から、「ぽち」「シロ」といった犬コロにまで及んでいる。


 向かいの谷が不規則に眩い光を放っているが、もちろんこれはその場所でちょうど伝説の勇者が誕生したというわけではない。

 このは六韜信号と呼ばれ、敵の兵数、隊列、構成、移動の方角といった様々な情報を圧縮し、それを鏡の光信号に変換して送り合っているというという先鋭的な情報伝達法なのです。

 これを先ほどの三十六カ所の奇名の連絡所から組み上げると、近江長岡から米原にまで及ぶ広範囲の戦況をこの一カ所に集めることが出来るのだ。


 そして、鏡からの情報を受けた連絡役が、全て情報を六韜のところに運んでくる。


 六韜はせわしなく盤上の駒を動かしながら、時に熟考し、次々と指示を出していく。


 初めてこの光景を見た時、ファションとスイーツ巡りと彼氏作りを諦めた思春期女性の怨念が作り上げた恐らく二百年は先を行っているであろうこの天才の戦い方に涙しそうになったものだ。


「はい、読み切りました。私達の勝ちです」


 六韜が頭をあげた。


 まだ戦いが始まってもないのに、こういうことをさらって言ってのけてしまう人って人としてどうだと思います? ちなみに僕は最高だと思ってます。

 いよっ、誇れる僕の妹よ! もっとそういうことを言って、僕を安心させて!


 六韜は静かな目で盤上を見ながら、伊勢産の渋茶をすすり、僕の作ったしらすおにぎりを口にし始める。




 敵が二百メートルのところまで来ていたが、京極ニシャは込み上げる欠伸を噛み殺すのに精一杯だった。


 強い敵というのは、向かいった時の空気だけで分かるものだ。

 かつては力や技こそが強さに直結するものだと信じていたが、父と共に様々な戦場に出て、強さにも様々なものがあることを知った。

 こちらの胴体ごと持っていこうとする圧倒的な力もあれば、気配なく近づいてきて突如牙を見せるもの、全身に纏わりつく蛇のような感触まで多種多様である。

 養老の時には、それらが戦場一体に広っていて、地獄の合戦のようにも感じられた。


 三剣の言葉を借りるだけではないが、滋賀に戻って来てから現れる敵は歯ごたえのない豆腐のような雑魚ばかりだった。

 まるで養老の戦いを一区切りに、皆が夏の長期休暇に入ったような感じだった。

 その間にもなまっていく体は、一華姉さんが課すドSにも程がある訓練で何とか留めていた。


 早く、出てこい。

 私の髄を痺らすような、生きていることを感じられるような敵。


「ニシャ様。敵がすぐそこまで来てますけども」


 あたしが何を考えているか分かっているのだろう。副官が呆れたような口調で話しかけてくる。


「あ……ああ。すまん、悪い悪い」


 蛇矛で八の字を描き、この瞬間にも鈍化しようとする筋肉に刺激を与える。

 それでも半分ぐらいの筋肉はだるそうにしているし、残り半分の筋肉は不貞寝したままだ。


「さってー、やるとすっか」


 視界に入るのは、数にしてだいたい二百程度の兵士達。

 実戦経験はだいたい二回から三回といったところ。京極の本隊に入れる素養があるのは一人もいないだろう。


 敵は「うおお!」だの、「行くぞう!」だの、威勢のいい声をあげてるだけで、覚悟を決めてる兵は一割もいない。

 あたしから見たら顔にへのへの文字が書かれただけの喋る案山子だ。

 案山子が並んで、威圧されて下さいお願いしますと叫んでいる。

 あのさあ、こっちは烏じゃないから。

 というか烏でもびびらないから。

 戦いの邪魔だから。

 案山子は案山子らしくぼーっと立って黙ってろ!


 なあ、こいつらのうち何人が気づいてるんだろうな。


 もうさ、既に何十回も死んでることに。


 溢れ出そうな溜息を抑えながら、鉄球でも括り付けられてるんじゃないかって思うほどに重い足を持ち上げながら、ゆっくりと前に進んでいく。


 棒を軽く振っただけで、さっきまで視界上にワラワラしていた虫は綺麗にいなくなる。

 軽く胸を突くと、何かの演劇かと思うような大袈裟な声をあげて倒れ込む。


 向かって来る剣筋は思わず指導をしたくなるほどに、無駄な動きが溢れていた。

 体はこうやって使うんだよと披露してやると、ぱたぱたとドミノ倒しが起きる。


 子供、いや小人とじゃれているようなものだ。


 ようやく体が暖まってこようかなと思うときに、敵のお尻が見えはじめてさらに興ざめ。


 ふと、これは戦じゃないなあと思ってしまう。

 では何かと自問自答し、頭に浮かんだ答えは…そう、弱い者いじめ。全く趣味ではない。

 弱きを助け、強きにをくじくなど柄ではないが弱きをくじくことには何の魅力もない。

 そう結論づけ、やる気がなくなったのでやめることにする。

 唐突に敵に背を向けたが、攻撃が来る気配はない。


「あれ、どうかしました?」


 副官が困ってない癖に、困ったなあという口調で話しかけてくる。


「今日はもういい。後は任せる」


「ああ、そうですか。お疲れ様です」


 そっけない返事を背中で聞きながら、京極ニシャは戦場を後にした。




 絶対に殺されることはない。


 三剣が戦いの中でそんなことを思うこと、既に五十回を数えようとしていた。


 あえて、敵の中に飛び込み一体複数の状況を作ってやっても、それを生かすことをしない。

 生かす力も知恵もない。


 僅か一分ほどぶつかり合っただけで敵は萎縮し、逃げ帰りたそうな表情を浮かべてしまっている。


 このような相手にどうやったら殺されることが出来るのだ。

 左手一本で戦っても余裕で勝てるし、常に背を向けた状態でも勝てるし、今いる場所から一歩も動くことを禁止されても勝てる。

 たぶん目隠ししても勝てる。


 両手を使うの禁止、正座の姿勢から動くの禁止、縛りルールでならどうだろうか。

 ひょっとしたら劣勢になることはあるかもしれないが、一にも二にもこの連中に止めを刺されるという自分の姿が想像出来なさ過ぎる。

 もはや戦う事を禁止しなければ多分死ねない…絶望…


 だから、その人物を失うと同時に私は生きる目的を失い、黄身のない卵、葉脈のない葉、羽をもがれた鳥のようなものになってしまった。


 現在、京都国は生き残れない予想、単勝1.0倍のど本命の道を歩んでいる。

 個人的には全く興味はないしどうぞどうぞという感じだ。

 父を殺したも同然の味方に同情する気などは一ミリもない。


 私は何のためにここに立ち、戦っているのか。


 理由は簡単。

 ここで戦い続ければ、いつかは死ねるからだ。


 名古屋国や関東国の兵も、京都に向かうにはこの滋賀を通過しなくてはならない。

 だから、そこに立っていればいつかは必ず死ねるのだ。


 ただここで死ねる日を一刻と待っているだけだった。


 しかし、今この目の前に広がる現実は、そんな理想からかけ離れた世界だった。


 敵の剣筋はカタツムリの生まれ変わりかと思うような遅さで、客にパフォーマンスを見せつける料理人のように無駄な動きがふんだんに盛り込まれていた。


 私はこんなことをするために生き永らえたのか。

 そんなことを考えると、また憂鬱な気持ちで沈み込んでしまう。


 指に力を込め強い念を送るのみだった。

 早く出てこいと、ただ願うばかりだ。


 名古屋の徳川、関東の足利。

 そろそろ分かるべきだ。

 このような兵を何千回、何万回ぶつけても、この滋賀は越えられないのだ。


 京都を攻めたいのであれば出すべきだ。

 誰もが知っているような名のある猛将を、私を殺せる可能性のある剣に生きた者を、常に死と向き合ってきた修羅の者を、ここに呼ぶべきだ。そして、私はそれをただ斬り殺し続けながら、いずれ殺されればいい。


 そんな、平和ボケに悩み苦しんでいた次の瞬間、私の全身に死の色が駆け巡った。


 余りにも唐突なことだったので、私の上体は無意識に仰け反り、後方に飛んでとにかくでたらめに剣筋を這わせていた。

 一息置いたあと体の状態を確認する。

 各部位は体に無事に繋がっているか。

 どこかに致命的なダメージを受けてないか。

 痛みはないか。


 不思議と体は無傷だった。

 全身が五体満足なのを確認してから周囲を見渡す。


 何だったんだ、今のは。


 先ほどと比べて変わった様子は見当たらない。

 敵は怯えた表情を浮かべたままだ。

 敵の中に凄腕が混ざっているという様子もない。

 この私にあれほど動転させるようなものが気のせいなわけがないのだ。


 私は目を開き、耳をすませ、肌の空気を感じて不思議な違和感の正体を探ろうとした。

 前方からではない。


 その気味の悪い歪な気配は、じわり、と背中に纏わりついていることに気付いた。




 ほぼ同時刻、六韜の首筋にも何とも言えない冷や汗が流れていていた。


 初めは季節外れの風邪かなと思ったのだが、四浪兄のおでこと比べても平熱きわまりなく、むしろ、あ、四浪兄の体ちょっと温かい、という違う意味で怖気が震うようなことを思ってしまい、自責の念に駆られることになってしまった。


 その後、冷静になりもう一度戦況を確認しなおす。

 戦況はもはや後半に差し掛かっており、詰将棋のような感覚で残り手筋を追い込むのみだった。


 何度やっても、勝利以外の答えなど導けない。


 碁盤を何度も逆にして、自分が敵将になりきって私を相手にした仮想シミュレーションをしてみるも、私の戦術から見えるのは底なしの不気味さと穴の無さと圧倒的なまでの勝てる気のなさと、どことなく可憐なローズマリーに似た乙女の香りだけなのだ。


 やはり詰んでる。

 どんな頭を使おうがここからの逆転は不可能だ。


 しかしながら、どうしたことかいつもの勝利とは違う感覚が纏わりついて離れないのだ。


 何かが変なのだ。


 勝ち方が余りにも綺麗すぎるようにも見えるが、敵がわざと負けたのかと言えば絶対にそんなことはない。

 今回も色々足掻いてみたけどやっぱり京極家には全く歯が立たないのです、といういつもの流れがふんだんに見て取れたのだ。


 伏兵だ。


 直感がそれ以外にはありえないと言っていた。

 とは言え、どこに兵を隠すところがあるというのか。

 北に東に斥候の距離を伸ばすがどこにも見当たらない。


「大垣に別部隊が出てきているとのことです」


 それではない。

 遠すぎる。


 頭を掻いても痒いのが収まるだけだった。


 僅かに、藁をも掴む思いだ。

 誰か、何でもいい、何か思いつくのはないのか。

 そう思い横を見ると、口を半開きにした四浪兄がチョウチョを追いかける光景が瞼に焼きこまれ、ただただ絶望的な気分に追い込まれる。


 駄目だ。

 この場に頼りになるのは自分自身だけだ。


 もう一度碁盤をひっくり返して敵の目線から今の状況を見渡す。

 どうしても詰んだとしか思えない状況。

 しかし、詰んでいないのだ。

 自分ではない。

 一華姉ならどうするか。

 父上ならどうするか。


 そんな時、地図の空白部分に目をやった。


 体に電撃が走った。


 頭の中に、ただありえない考えがよぎったのだ。


「三剣を南に向かわせて! 急いで!」


 本隊はただの目くらましだった。

 僅かな兵で後ろを突くのが敵の目的だったのだ。


 斥候から報告があがってきた。

 千ほどの兵力が彦根の南部に現れたという。


 どうやって、そこに辿り着いたのか。


 いや、そんなことをのんきに考えている場合ではない。


 やるべきことはただ一つなのだ。


 間に合うか。

 いや、間に合わさなくてはいけない。


 すぐに各部隊に向けて指揮を出していく。


 それにしても、このような攻め方をしてくるとは何者なのだ。

 まるで源義経の一ノ谷での戦いを思わせるような、本隊を陽動に使って相手の背中を攻めるという奇襲作戦。


 別の斥候が戻ってきた。


 敵の中央から『無』の旗があがっているという報告を受けた。




 渓谷を抜けると、そこに広がっているのは雪国ではなく琵琶湖だった。

 生まれて初めて見た日本最大の湖は、確かに海と見間違えるのも納得が行くようなもので、後で本当に塩味がしないのか確認しにいかなくてはいけないとも思った。


「何はともあれ、ようやくここまでついたの」


 桑名を出てから半日での移動だった。

 それも馬ではなく、歩兵である。忍び、飛脚、はたまた名古屋の走り屋という異名を持つ我ら部隊でなければ、この速度でここまで辿り着くことは無理だっただろう。

 ここに兵を置いていたらアメ玉の一つでもやるところだが、残念なことに敵の姿は見当たらない。


 今頃、前線の味方は壊滅に追いやられていることだろう。

 いや、味方とは言ったものの評価には値しない者達だ。

 養老の戦いでは後方で旗を振っているだけで、勝利が濃厚となればいの一番に京都入りを目指すハイエナちゃんだ。


 しかし、何かの作戦には使える連中だと思った。


 それまでの京極の戦いを聞いていて、米原経由で攻めればこちらの動きは手にとるように分かるシステムが構築されているのが分かった。

 正面からぶつかれば、我らであろうと無傷ではすまない。


 しかし、鉄壁の備えがあると知りながら、飛び込む将がどこにいる。


 そんなのは、夏の虫だけだ。


 あれ、わし、今うまいこと言わなかった?


 うまいこと言った気がするので、もう一度言うぞ。


「そんなのは、夏の虫だけだ」


 まあ何はともあれ無傷で滋賀入りを果たした。『ノーダメージでの滋賀入り』実績解除! いやはや、どれだけの栄光を重ねようと、やはり実績解除は嬉しいものだ。


 それも京極一族が根付く滋賀の地だった。

 この時代に生きた軍人ならば、大半がその名前を聞くだけで裸足で逃げ出すか死んだフリをするかのどちらかだった。


 とはいえ、今の状況に思うところがないわけでもない。


「まだまだ父親には遠いな」


 父親の京極東源であれば絶対にやらないようなミスだ。

 どんな状況でも守り一辺倒で固めるなんて偏った戦いは絶対にしない。

 隙あらばこちらも領土をも狙ってくるような、常に緊張感を与えてくれる相手だった。


 今回の失敗から、次からはこの道にも監視が置かれるだろう。

 敗戦から学ぶのは実にいいことだ。

 人生とは失敗であり、そうやって人は成長していくのだ。


 しかし、もう一つ、京極の娘達はこの敗戦から大きなことを学ぶことになる。


「たった一回の綻びでも、全滅を招くこともあるわけだ」


 この世には、取り返しがつかない大きな失敗もあるということだ。


 そして、それが今回の戦いになるということだ。


 とっても大事なことだから、もう一度言うぞ。


「たった一回の綻びでも、全滅を招くこともあるわけだ」


 そう言って、生涯を共にした円月刀を担ぎ、寂しげに漂っている彦根の城に足を進めた。



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