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田舎町のギルド

           田舎町のギルド



 さっき、からまれた場所から50メートルほど離れたところでまた変な奴がからんできた。まさか、出会った人間すべてがこんな調子なのか?しかしそうではない。周りを見渡してみると他にも人がいるのだが、その人たちは、からんでくる様子がない。果物を売っているおじさんと目が合うが、それによって何かしてくるということはない。果物屋の隣で、馬車から木箱を降ろしている強面のおっさんも仕事に没頭しているように見える。


 きょろきょろしていると、目の前の男が声をかけてくる。                     

「てめえ、さっきから何シカトこいてやがる。」                          

「ひとつ質問があるんですがよろしいでしょうか?」                        

「わびいれてえんだったら誠意を見せろや。」                                       

「わびではなくてですね、実は、さきほどもあなたのような方に道を歩いていたらからまれたんですが、何故からまれたのかよくわからないんですよ。あなたがからんできた理由を教えてはもらえませんかねえ。」                                             

 へりくだった態度で聞いてみた。

「わからねえだと?ふざけてんのかてめえは!よくわかったぜ。てめえが俺のことを舐め腐ってやがることがなあ。」

 

 だめだな。話が通じる相手じゃない。選択肢は2つに1つ。逃げるか、闘うか。地球でなら逃げるところだが闘う方を今は選ぶ。正直、ここで逃げてもまた帰りにでも出会う可能性がある。


 「いいぜ、相手してやるよ。だがここではダメだ。場所を変えないか?人気がないところでやろう。」 

 「おもしれえ。ついてこい!」

 そう言って、男は背を向ける。次の瞬間、すばやく男の股間に向けて強烈な蹴りを入れた。

  すると、泡を吹いて崩れ落ちた。それっきり相手は立ち上がってはこなかった。 

 「ふん。口ほどにもない。ケンカの最中によそ見をするやつが悪い。」


 倒れた男を放置してしばらく歩くと、道の右側にギルドの案内板が見えてきた。案内板には、この町のギルドでできることがおおざっぱに描かれていた。

 

 この世界には、4種類のギルドが存在する。冒険者ギルド、商業ギルド、モンスターギルド、アイテムギルドの4つだ。冒険者ギルドと商業ギルドは大体どこの町や村にもあるが、モンスターギルドとアイテムギルドはあったりなかったりだ。首都みたいな大きな都市には、4つすべてそろっているらしい。

 俺が今日用があるのは、冒険者ギルドなのでさっそく扉をくぐる。さすが田舎というべきか、受付は1つしかなく職員の数も数えるほどだ。奥の机で、欠伸をしている職員もいる。

 

 いつまでも観察してても仕方ないので受付の人に声をかける。                   

 「朝早くからすいません。自分のステータスを見たいんですがお願いできますか?」         

 普段、あまり声をかけてくる人がいなかったのだろう。一瞬の間が空いた後、

 「当ギルドの御利用ははじめてでしょうか」                           

 聞かれたので肯定する。

 「でしたらまず、こちらの用紙にお客様のお名前と、簡単な質問欄に記入の方をお願いできますか?」

 そう言われ、用紙とペンを渡された。驚いたことに紙は、地球でも使われていた一般的な紙だった。ペンだってえんぴつだ。だが、今は用紙に記入することに集中する。ここで考えったってわかるわけないしな。

 

 「これでいいですか?」

 記入した用紙とペンを差し出す。

 「はい。結構です。それでは、ステータス確認をしますので右手奥の部屋にお入りください。」

 

 奥の部屋に言われた通りに入ると、エラそうな人が向かいに座っていた。座るように指示されたので椅子に座る。検査自体はすごく簡単だった。ただ、左手を相手に見せてじっと見つめあうだけだ。しばらく見つめあった後、エラそうな人が紙に何かを書きつける。手が止まった時、それは起こった。突然、顔中に汗をかき始め顔が目に見えて青くなっていく。

 「こ、こちらで少々お待ちください。」

 早歩きで出ていく後姿を見ながら、俺もつられて汗をかく。


 青ざめた理由は、属性のことだろう。もう100年以上発現した者がないといってたからなあ。そりゃあ、こんなド田舎でそんなやつが現れれば騒ぎになるのは当たり前だ。明日からの生活に影響が出るかもしれない。


 その時、外から悲鳴が起きた。恐る恐る、扉を開けてみると受付にいた女性と目があった。

 

 「お客様、大変危険ですので外には出ないようにしてください。」

 明らかに動揺している。まさか属性ひとつでここまでおびえさせると思わなかった。とりあえず、俺に敵意がないことを伝えなければ。

 

 「俺がおびえさせてしまってるなら謝る。だけど信じてくれ。あなたたちには、好くしてもらった。俺は、あなたたちに危害を加えるようなことは絶対にしない。誓うよ。」


 すると一瞬、間の抜けた顔をされてしまった。

 

 「????いったいなんのことですか?????」

 違ったようだ。俺は、ものすごく恥ずかしくなる。勘違いしていたようだ。


 「あの~、外で何かあったんでしょうか?」

 すると弾かれたように再びあわて始めた。


 「魔物の襲撃です。」



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