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俺のロボ  作者: 温泉卵
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ランネイ・チャンという女(後)

「さあさあ、余興はここまでです。ギャンブルを楽しんだらお腹が減ったでしょう? 私自ら考案したニューウェーブ満漢全席をご馳走しましょう。これぞ大中華五十万年の料理の極致、心行くまでご堪能ください」


 五十万年ってのは、多分だが北京原人を含めてのことだな。最近は各国が大人げないマウンティング行為の応酬をしていて不安になる。まあ、馬鹿馬鹿しいお国自慢ってのは古今東西よくあるか。


 北京なんて現在は思いっきりユーラシア連邦の勢力圏に入ってるんだけれど、テロリスト国家は国じゃないという理屈で、犯罪者が不法占拠しているだけって認識なんだろうな。

 まあ、俺のような小市民には政治とかそういうのは関係ないことだし。



 奥まった特別室に通された俺達の前に、山海の珍味が次々に運ばれてくる。


 まずはスープか。フカヒレ、ツバメの巣などの定番もちゃんとあるな。俺もフカヒレは大好きだ。元々ほとんど味のしない乾物に、これぞフカヒレって味をつけてしまうんだから大したもんだ。

 ちなみにフカヒレもツバメの巣も、本物は国際条約で取引が禁止されている。だけどまあ、多分、本物なんだろうなあ。


 俺は中華料理によく使われるハッカクの匂いが苦手なんだが、今日出される料理はその香りがまったく気にならない。むしろ好ましいとさえ感じる。味と香りの調和がとれているせいだろうな。

 料理人の腕がいいのか? さすがは名店ってことか。シェフを呼べ! いや、呼ばないけど。そういうのは俺の趣味ではない。


 中華系のスパイスでも、四川山椒なんかは子供の頃から好きなんだけどな。マーボー豆腐は、あれはいいものだ。

 ただ、舌が麻痺するような刺激があるから、毒物を混ぜられた時のことを考えると要注意だろうな。辛いのが苦手なふりでもして避けようか。


 ああ、アルコールにも警戒が必要だな。毒が入ってなくても、酔うだけで身体能力は大幅に低下する。酔っ払い運転が危険な理屈だ。

 さっきジャックと戦った時は、シラフで本当によかった。酒が入っていたら負けていたかもしれない。


 ちなみに、強敵に酒を飲ませてから倒すというのは、ヤマタノオロチを退治する時にも採用されている作戦だ。

 実際には八つ首のドラゴンなんているわけないから、八つの部族の長を宴会に招待して、酔ったところを討ちとったとか、そんなところだろう。


 酔えば酔うほど強くなる拳法ってのもあるが、センセイによるとあれはあくまで酔ったふりをするのであって、酒はさりげなく襟元にでも吐き出してしまうんだそうだ。

 満足に戦える状態じゃないと油断させておいて、そこから勝ちに持っていくわけだな。当然、油断しない相手には通用しないだろう。だが、持ちネタの一つとしてはいいかもしれない。

 拳法じゃなくても、商談の時に泥酔したふりして油断させておいて、逆に有利な契約に持ち込むとか、酒に強い人はやってるしな。


 試しに、口に含んだ紹興酒を、袖口に流し込んでみる。これは……シミになるかもな。


「おや、酔拳ですかな? お若いのによく勉強していらっしゃる」


 バレバレじゃないか。まあ、特に訓練とかしてなかったしな。これからは手品師の練習も必要かもしれない。宴会芸にも使えるしな。


 チャン大人は俺に見せつけるように、目で,耳で、そして額で酒を飲んでみせる。どんなトリックだよ? そうか、表面張力か。

 盃の外側をつたわった酒を、腕の裏側をはわせて巧みに袖口に流し込んでいるのか。


 タネと仕掛けがわかってしまえば何のことはないが、バレないようにするにはかなりのテクニックは必要だな。


「酒の席で油断しないのは賢い証拠です。ですが、ご安心ください。このチャン、柿崎先生に賭けると決めました。これからは一蓮托生、運命共同体というわけですな。ワッハッハ」


 なんか、チャン大人がいい人に思えてきた。勿論、そんなわけがないことは百も承知しているが、この男、たいした人たらしだな。


 マフィアは恐怖心で他人をコントロールするプロだ。ただ脅すだけではない、怖い人にたまに優しくされると、何故か人はコロッと騙されるものらしい。


 だが、いくら紳士的に見えても、俺みたいな一般人は関わっちゃいけない連中だ。うっかり信用しようものなら、骨の髄までしゃぶりつくされてしまうだろう。



「そう怖い顔をなさらないでください。私はこう見えても小心者でしてね、勝てない相手とは戦わない平和主義者なのですよ」


「勝てませんか」


「勝てる未来が見えないのですよ、あり得ないことに。部下達の中には自分の目で確かめないと納得できない者もおりましたが、それも当然でしょう」


 それで俺を戦わせたのか? 未来が見えるとか見えないとか、占い師かよ。

 まあ、普通ならマフィアが個人に負けるなんて考えもしないだろうに。さすがはドンということか。


「あの方が戯れに与えてくださった力で、ファミリーをここまで育ててきたのです。我ら人類はまだまだ幼い、身の程はわきまえているつもりですよ」


「あの方ねえ。なんかさっき落ちて行った男も、そんなこと言ってましたなあ」


 名前を口にしちゃいけない誰かさんって、やっぱビリー氏のことだろうか? 普通によくニュースでとりあげられてるけどなあ。ああ、でも、マイナスイメージのある報道は確かにあまり見ないよな。

 ネットの書き込みなんかで、ビリー氏ネタの後で誰か来たようだと書き残して消えるパターンを時々見るが、あれはふざけてるわけじゃなかったのか。


「大勢の前で口にするなど、畏れを知らぬ愚か者です。馬鹿と無能は私のファミリーには必要ありません。少し目をかけてやっただけで調子に乗りおって……」


「まあ、どこにでもいますよねえ。そういう人は」


 守秘義務に抵触しただけで窓から放り出すとか、ひどいブラック企業だなあ。

 力をもらったと言っていたが、ビリー氏傘下の企業グループから汚れ仕事を請け負ってますって感じなのかな? 繋がりがバレるような発言をすれば即消されると。

 マフィアとしちゃあ、普通にお仕事してるだけなのか。

 でも海に投げ込むのはやめてほしかったよ。この辺りで釣った魚はもう食べられないなあ。



 チャン大人の平和主義を信じた訳ではないが、少なくとも次々に運ばれて来る料理に毒は入っていないようだ。

 今のところは敵対の意志はないってことかね。


 チャイナドレスを着た娘さん達の生演奏を聞きながら、山海の珍味を楽しめるとは贅沢だね。胡弓っていうの? 騎馬民族に伝わるヴァイオリンみたいなのが、雰囲気があってグッドだ。

 うちのアンドロイド達にも楽器を習わせてみようかな?


 スポットライトを浴びながら、アイドルっぽいコスチュームの歌い手さんが登場すると、いきなり今風の曲に変わる。最近よく耳にする流行歌だ。思わず顔をしかめてしまう。


「流行りの歌はお嫌いですか?」


「そういうわけじゃありませんが、曲のイメージが料理と合ってなくはないですか?」


「これは手厳しい。今をときめくトップアイドル、奇跡の歌姫ランネイ・チャンの生歌ですぞ。普通の男なら泣いて喜ぶのですが、さすがは柿崎先生ですなあ」


 何がどうさすがなんだよ? さすがにもうアイドルで騒ぐような歳でもないってことか?


 それにしても、皆に姉ちゃんなんて呼ばれてるくらいだから、姉御肌のお姉さんタイプを想像してたんだが、普通に若い娘で驚いた。ナージャちゃんと同じくらいの年齢かな? ちょっと大人びた雰囲気があるのは、芸能人だからだろうな。


「はじめまして。ランネイ・チャンです」


「はじめまして。柿崎です」


 おいおい、こいつ自分をちゃんづけだよ。幼女かよ。これがいわゆるキャラ付けって奴なのか。きっと、芸能事務所とかに言われてやってるんだろうな。

 正直、ぷるりんちゃんとかがやると痛々しいけれど、ティーンエイジャーだと……多少はマシだが、やっぱりイタいよな。それでも、今時はこういうのが流行りだからやってるんだろう。やらされてるんだろう。俺には理解できない世界がきっとあるんだろう。


「先ほどの戦いぶり、見せていただきました。天性の素質に恵まれていらっしゃるのでしょうが、それにあぐらをかいていませんか? あなたにはカンフーが足りないわ」


 まあ確かに、俺にはカンフー以外にもいろいろ足りないんだろうな。勝つには勝ったが、今日の勝負は自分でもまるでなっちゃいなかったと思う。相手が俺より弱かっただけの話だ。

 アイドル歌手にそれを指摘されるとはな。そういえばこの娘、動きにやたらキレがある。芸能人だからかと思っていたが、どちらかというと肉食獣の動きだ。


「そのセリフ! コスチュームが違う!」


 なんか隣でリンリンがブツクサ言っているが、どうせたいしたことは言ってないので無視しよう。


 それよりも、ラン姉ちゃんがいきなり繰り出した大ぶりな回し蹴りをなんとかしないとな。あとコンマ2秒くらいで俺の側頭部にクリーンヒットするだろう。何してくれちゃってるんだよ! こんな見え見えで隙だらけの大技、どうせフェイントだろうが、別に本命の技が来る気配もない。


 隙だらけではあるが、足技は威力がある。まともに喰らってしまえばヤバい。気絶なんかした日には、そのまま窓からポイされるかもしれない。あ、実はこの娘が次の刺客とかそういう展開?


 寸止めするつもりもないようだし、俺としても本気で対処するしかあるまい。インパクトへのアプローチに切り替わる瞬間を狙って、手にしていた竹の箸で足首をひょいとつまんで投げ飛ばす。

 ベクトルをほんの少しズラすだけだから、別にたいして力は必要ない。決まったな、思った以上に決まった。


 必中を確信して、相手が気を緩めたその瞬間をついたわけだ。攻撃の時は、最後まで気を抜かないようにしよう。


 バランスを崩した姉ちゃんはゴロゴロと転がっていった。それでもしっかり受身はとったか、格闘技の基礎はしっかり身につけているようだな。

 あれ? この娘アイドルなんだよな?


「うちの娘がはしたない真似を。お許しください、柿崎先生」


 チャン大人の娘? ああ、そういうことか。ラン姉ちゃんでもランネイちゃんでもなく、ランネイ・チャンだったんだな。

 謝っているわりにはニコニコしている。親バカか? いや、このアクシデントも想定の範囲内なんだろうな。けしかけたのは親父の方かもしれないぞ。


「それにしても、わっかりやすいハニートラップだねえ」


 リンリンが苦笑いしている。ハチミツの罠か? これじゃスズメバチの入ったビックリ箱じゃないか。


「失礼な。ハニートラップ要員など掃いて捨てるほどいるが、私の血を引く娘は十三人しかいないのだぞ」


「なら、政略結婚かよ」


 チャン大人を弄るとは、さすがはリンリン、恐れを知らない。まあ,人間の本質は怒ったときによく見えるというけれど。それにしたってマフィアのボスを怒らせるなよ。


 一方のランネイちゃんは耳まで真っ赤になっている。政略結婚とか、この娘にしてみりゃいい迷惑だよなあ。せっかく芸能界で成功してるのに、親父の気まぐれで一回り年上のオッサンと見合いさせられてるんだからなあ。

 逆に考えてみよう。自分が高校生くらいの頃に、三十過ぎのオバサンと見合いをさせられる羽目になったらグレただろうな。今なら歳上の女性も全然OKなんだが、若者はその辺が保守的だから。

 カンフーがどうのこうのって暴れたのも、この娘なりのささやかな抵抗だったのかもしれない。そう考えると少しは萌えるか? いや、無理だな。


「まさか、お箸でつまんで投げられるなんて。完敗ですね、己れの未熟を思い知りました。力の差もわからずに生意気な口上を……穴があったら入りたいです」


 しおらしくはなったが、言ってることはアイドルじゃなく武道家のそれだよな。


「いや、まあ、箸はカンフーじゃないしね。カンフー映画で武器に使ってそうではあるけどね。でも、竹箸といえども、体に突き刺されば立派な凶器なんだ。危ないから真似しちゃダメだよ」


「娘が十三人とか、あんた何人嫁さんがいるんだい」


 一方でリンリンは、チャン大人の言葉尻をつかまえてツッコミを入れている。まあ、俺もちょっとは気になってたけどな。


「この娘の母親は日本国籍でね。日本での妻は一人だけ、あくまで合法なのだよ」


「ハーレム系主人公かよ」


「ワッハッハ。英雄色を好むと言いますからな。優秀な男には数多く子孫を残す責任があるのです。そう、世界の未来のために。ですな、柿崎先生」


 ここで俺に振って来るかな。娘の方は真っ赤になってるし、これは気まずい。


「わかりました。私、芸能界を引退します。普通の女の子に戻ります」


 おいおい、なんでそうなる?


「あの、ひょっとして柿崎様はアイドルのままの方がよいのでしょうか?」


 いや、いずれにしろあんたに関わり合いにはなりたくないんだが。そりゃあ見た目は可愛いけど、いけないのは君の父親なのだよ。

 でもまあ、チャン大人ご本人の前でそんなこと言えないしなあ。少しは察してくれよ。忖度してくれよ。


「えーと……本当に君はそれでいいのか? せっかく努力してトップアイドルになれたんだろう? 俺なんか相手にしてないで芸能界で頑張れよ」


「いえ、親の七光りがあったので、そんなに努力とかしてないですし。正直、芸能界にも飽きてたんですよね」


 ぐぬぬ。今時の若い娘はああ言えばこう言うし。


「先輩のいじめに耐えしのんで、やっとここまできたんじゃないのか?」


「まさか。そんな命知らずの先輩なんていませんでしたよ」


 なんだよ、芸能界って俺が想像してたより随分ヌルくないか?


「いや、それでも陰口くらいはあるもんだろ?」


 妬みとかそねみとか、そういうドロドロしたのが芸能界モノのお約束というか面白さなのに。現実にはそういう世界じゃなかったのか? それはそれでちょっとがっかりだぜ。


「陰口も何もありませんよ、柿崎先生。たとえどんなに些細なことでも、私のファミリーに逆らうということがどういうことかを骨身にしみるまで教えて差し上げていますから。もちろん、合法的にです」


 ああ、そういうことか。陰口すら許さないとかマフィアのボスが言うと恐ろしい。盗聴か? 密告か? 思ってたのとは違うが、やっぱり大変な世界だった。


「厳しくしつけるには最初の見せしめが大事です。後は放っておいても勝手に忖度して動いてくれます。芸能界も、経済界も、政界も、同じことです」


「随分大きく出たもんだよ。でも、単なるビッグマウスだとも言えないところがあんたのすごいとこだけどね。

息子達が何人も政界進出してるしね」


 なんか話がどんどん大きくなってついていけない。リンリンにまかせとこう。俺は全て知ってますよって感じに、大物っぽい微笑を浮かべてじっと見守る。


「娘達もな。仕事ができない子達は、とりあえず政治家にでもしておくに限るのだよ。手駒にも使えるしな。日本の国会に三人。米国の上院にも二人送り込んでいる」


「なんだい、大統領でも目指す気かよ」


「当然、いずれはてっぺんを目指す。いかがですかな、柿崎先生も? 総理の椅子はすぐにというわけにはまいりませんが、ヒラの議員であればなんとでも都合をつけさせます」


 おいおい、俺が国会議員とかチャイニーズジョークか? スケールがでかいな。でかすぎだ。


 まあ、政治家っていっても、大きな権力を手にしているだけの普通の人間だけどな。このホテルにいれば、各国の首脳を見かけることもよくあるんだが、生で見ると案外たいしたことはない。


「政治には興味がないので。いや、総理大臣になって一つだけやってみたいことはありますけどね」


「ほう。それは是非お聞きしたいですな」


 チャン大人が身を乗り出してくる。これは絶対に真剣な話だと思ってるよな。ギャグをぶちかませる雰囲気じゃないんだが、ええい! そこは度胸だ。


「国会中継の最中に、アイムソーリーって謝ってみたい」


 チャン大人は固まってる。ランネイは困ったような顔をしてるし、リンリンまであきれてるじゃないか。滑ったか? 滑ったな。渾身のギャグだったのにな。あ、最後になんちゃってと言うべきだったか。


「ワッハッハ。総理だけにアイムソーリーですか、これは愉快だ」


 ワンテンポ遅れて、チャン大人が無理に面白がってくれる。いえ、もういいです。聞かなかったことにしてさらりと流してください。お願いだから。


「ナイスジャパニーズジョーク! ダジャレは日本文化の基本ですものね」


 ランネイちゃんまで、親父と連携して引っ張ろうとするか。やめてくれ、俺のライフはもうゼロだ。


「いえ、つまらん一発ギャグですよ。わざわざ総理大臣になってやることじゃないです」


「いや、くだらなすぎて逆に凄いんじゃねえか? それで解散総辞職までいけば歴史に残るかもな」


 リンリンまで俺を弄るのか? そういえば昔はバカヤロー解散ってのがあったようななかったような。戦前の話だっけ?


「素晴らしい! いや実に素晴らしいですな! 柿崎先生、是非私にそのアイディアを譲っていただきたい。今の総理にやらせましょう」


 チャン大人も延々と引きずるね。一度噛みついたらどこまでも食らいついて離さない。スッポンかよ。いやまあ、スッポンは美味いけど。コラーゲンぷりぷりで超美味いけど。


 いい歳こいてギャグなんてやめときゃよかった。ハズした時の精神的ダメージがヤバい。俺は絶対に芸人にはなれないな。

 もう二度と冗談なんて言うものか。そう、寡黙に生きよう。ハードボイルドな感じで。


「あの男はランネイを是非嫁にといいかげんしつこくてね。そろそろ首をすげ替えようとは思っていたのですよ」


 あの男とは、今の総理のことだろう。六十超えてたよなあ。最近離婚したのはニュースで知ってるが、まさか関係ある話か? 自分からハニートラップに飛び込んで行くとか、何やってるんだよ総理。


「ランネイは私の自慢の娘ですからな。下手な相手に預けることはできません。もちろん、柿崎先生は特別です。いずれ地球の王となられるかもしれないお方だ」


 まあ、次の大会じゃ絶対優勝する気ではいるけどな。参加するのは多分日本人だけだけれど、世界王者決定戦には違いない。

 そういえばアメリカの一部地域でも、筐体が稼動しているという噂もあるが、今はアメリカは特に出入国が大変だから、来れたとしても数人だろう。

 通信対戦は距離が遠くなる程ラグが酷くなるからな。相手がアメリカ本土となると、まともなプレイはできないんだろうな。


 そうか。チャン大人は大会の利権に絡みたいわけか。


 別にマフィアが俺にどれだけ大金を賭けようと勝手だが、万一負けたらからって殺されるのは困る。

 それまでにリアルでも絶対に負けないだけの実力を身につけなくては。ある意味、ゲームで優勝するよりハードル高いぜ。

 

 でもまあ、リアルの武術とかも、案外ロボットバトルの参考になる。特にリンクスは自由度の高い機動がウリだからな。

 だから、俺がリアルで強くなることも、まったくの無駄ではないんだ。



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