狂乱~破滅を望む少女が見つけたもの~
私は、オレンジに染まった家を見ていた。
近づくと温かく、機関車の匂いがした。
「やめろ!蘭!近づくんじゃない!」
近所のおじさんが何か言っている。
確かに、音として聞こえるが、言葉としての意味をなさない。
ゆらゆらと揺れる温かな色。
惹かれるままに近づく。
「蘭!やめろ!」
誰かに羽交締めされた。
それでも、もがき、近づく。
「あったかい」
そう喉から漏れた言葉が認識できた時、既に意識を手放した。
○●○
白い。
壁も、天井も。
私が寝そべっている床も。
ふわふわで白い。
「ここは、何処?」
無意識に漏れた言葉。
「蘭!よかった。」
名も知らない級友が隣にいた。
私の手の温もりを確かめるように、ぎゅっと握っている。
流れ込んできた感情は、
安堵。そして、心配。
よほど、不安にしていたのだろう。
「蘭が起きてくれてよかった。百合も、柊も、おばさんとおじさんも、皆んな、深い眠りについたから。」
私は、その言葉を聞いても何も感じなかった。
ただ、流れ込んでくる感情は、哀しみ。
もう、私の中では廃れた感情だった。
「蘭だけでも、起きてくれて、よかった……!」
涙声の級友は、時間ギリギリまで、一緒にいてくれた。
数日経って、医者から告げられたのは。
「記憶喪失ですかね……?ほんと、すみません、私でもお手上げで……」
医者ですらわからない症状らしい。
でも、そんなことどうでもよかった。
お見舞いに来てくれた級友の事すらわからない私は、屹度、この世界にいない方がいいのだろう。
だから、退院した後、独人静かに自分の逝き場所を探す旅に出た。
○●○
誰もいない、木の香りがする静かなところだった。
「自分は何も感じないのに、「死ぬのが怖い」」
まだ拭いきれない恐怖感があった。
屹度それは。
「まだ、やり残していることがある。」
私の心残りは。
それを探すために、家出の時の記憶を辿った。
○●○
家へ向かう、小さな路地。
妙に騒がしかった。
ここは、お祭り会場か!と突っ込みたくなるような、騒がしい、他人の声。
野次馬根性で、そこへ向かう。
目の前にあったのは、そう。
オレンジに染まった家だった。
○●○
そこで記憶が途切れてる。それ以降、何も思い出せない。
「あの後、何が……。」
私の躰の血の気が引いてゆく。
「あぁ。」
漏れ出した声は弱々しかった。おかしなほど。
これは、私の死に際だ。
すぅっと、たましいが抜けていった。
「私は、,,,w(%(8(なかったんだね。」
寂しく、一人。
消えた。
○●○
全ての記憶が頭に浮かぶ、いや、入ってくる。
私は、あの時、何をしていたか。
何故、私だけ生き残ったか。
その疑問が全て解ける。
「あの時、私は……!」
○●○
あの日、私が家出したのは。
あの日、家で火事が起きたのは。
あの日、父さまが心中したのは。
「全部、私のせい。」
父さまに絶望を植え付け、母さまを父さまとの共依存をさせ、姉さまのすべての指標を母さまにし、弟は私の駒とした。
だから、心中になった。
そのことに、2週間前から私は気づき、家を出た。
家出をした時の記憶はない。
唯、帰ってきたら、家がオレンジに染まっていた。
多分、家出の間に、何かに絶望した。
だから、炎の中へ、入ろうとした。
否、違う。私は、私には。
私は、俗に異能と呼ばれる能力がある。
感情共鳴。
それは、他人の思っている気分や感情を、自分自身のこととして感じる能力だ。
私は天性の才能として、演技力があった。
だから、その他人の鏡写しになることができた。
それは感情を無くした今でも、出来るらしい。
「やめて!やめてよ!うぁぁぁぁぁぁぁ!」
屹度私は此れで家族を壊した。
「蘭……お前はそんな……」
恐ろしいものを見る目で見られた。
「蘭!らん!はぁ、はぁ、怨む。恨む!あぁぁぁぁ!」
狂った母さまが脳裏に浮かぶ。
「お姉ちゃん?なんで!なんで!」
そして、弟の責め立てる声。
あの日、私は、家族を壊した。
私を殺そうとしてきた、母さまと姉さまから、逃げるために。
狂った母さまがライターを取り出して、家に火付した。
ガスが漏れてる上に。
身の危険を感じた私は、家を出た。
帰ってきた時には。
とてつもなく頭が痛い。
全て思い出したのだ。
だから、感情が、亡くなった。
のだろうか?
いつの間にか、目の前に水面があった。
私の望みは……。
「屹度、破滅。」
だから、そして、輝く、水面へ、身を投げた。
愛する、仲間が屹度私を見つけてくれるだろう。
そうして、私の人生は幕を閉じた。
狂った、2人の人生に。
なんで、狂って生まれたんだろう。
私は、神様を恨む。
でも、祈らずには、居られない。
今度は、 普通になれますように。
作者自身も、どういうことかわからなくなってしまいました。
誰かに、考察コメントお願いしますっっ!
またいつか〜




