【第三章 登場人物紹介】
【主人公陣営(セレスティーヌ軍)】
■セレスティーヌ・フォン・ランカスター(セレス)
十八歳。「銀光」の二つ名を持つ剣の達人。
ランカスター公爵家の令嬢にして聖騎士団団長。圧倒的な武勇と美貌から「戦女神エイリーン」と称えられていたが、その実態は戦術を知らぬまま英雄視されていた少女だった。
王都陥落の敗北を経て己の未熟さを認め、カイルの指導のもと真の指揮官として成長を始める。現在は混成軍「セレスティーヌ軍」の総大将として、仲間を守る覚悟を胸に戦場へ立つ。
■カイル・フォン・ヴァルデン
二十九歳。代々軍略家を輩出してきた名門ヴァルデン男爵家当主。
セレスティーヌ軍の軍師。
かつて王国軍で活躍した戦術家だが、上層部との対立から軍を追われ、領地で農政に力を注いでいた。
冷静かつ合理的な軍略家であり、セレスの才能を見抜き再起へ導く。
■ミリア・ルヴェール
二十八歳。セレスティーヌ軍幹部。
代々下級騎士の家系に生まれ、努力だけで現在の地位まで上り詰めた実力者。厳格だが面倒見が良い。
かつて横暴な貴族から部下を守った際、セレスに見出され副官となった。
カイルとは士官学校時代に恋人であった。
■エミール・リンドバーグ
十八歳。カイルの甥であり、セレスの副官。
年齢に似合わぬ腕前を持つ双剣の使い手で、素直で真面目な性格だが、遠慮のない物言いをすることも多く、時にはセレスやカイルに辛辣な言葉を向けることも。
■フェリックス・フォン・ダミアン
二十九歳。セレスティーヌ軍幹部。
ダミアン男爵家の次男にして紅蓮騎士団団長。カイル、ミリアの士官学校時代の学友。長斧槍ハルバードの使い手。
豪快で陽気、女性好きで軽口を叩くが、軍事的才能は本物。騎馬槍ランス部隊による突破戦を得意とし、率いる紅蓮騎士団は高い突撃力を誇る。
■ルナ・シルヴァ
エレフィン族シルヴァ氏族族長イルーシアの娘。
セレスに救われたことをきっかけに外界への強い興味と戦意を抱き、聖騎士団に同行することを選んだ。現在はセレスティーヌ軍の弓兵隊への指導とまとめ役を任されている。
■ルーク・バーナード
セレスティーヌ軍幹部としてアルクリーズ兵四千を率いる大隊長。
規律を重んじる実直な軍人で、メイルドック辺境伯の信頼も厚い。
生真面目でセレスティーヌ軍の常識人。派手さはないが、堅実に部隊を指揮する。
■バスール・ドゥルガ(旧名:バス・ドゥ)
ドゥルガニア出身。元王国軍勲功記録騎士隊インジケーター隊長。
人を欺き、潜入し、敵の内側から崩すことを得意とする工作の専門家。ベスティア領奪還戦後、カイルにその才能を買われ、セレスティーヌ軍の密偵組織を率いることとなった。
■ラーダ・ナーヤル
ドゥルガニア出身。バスールの同志。侍女に変装しての潜入・工作を得意とする。
モンモランシー学長によるカイル毒殺の企てを、鋭い奇襲で打ち破り、辛くも脱出を成功に導いた立役者。
【ローゼンベルク王国・王家】
■アドリアン・ローゼンベルク
ローゼンベルク王国王太子。のちに即位。
病で早逝した兄クリスチアンの陰に隠れ続けた少年期を経て、父フィリップ国王からも「代わり」としてしか見られていないという歪んだ承認欲求を抱えて育つ。ついに実父フィリップ国王とランカスター公爵を自らの手で弑逆し、王位を簒奪した。国内外には「崩御」とのみ発表している。
■フィリップ・ローゼンベルク
古い歴史を持つローゼンベルク王国の君主。
王都にて実子アドリアンの手により命を落とす。この事実を知るのは、アドリアン本人、実行を見た近衛兵、そして目撃したリーゼロッテとルチア、真相を知ったセレス一行とライネルたちだけである。
■リーゼロッテ・ローゼンベルク
ローゼンベルク王国王女。フィリップ国王の娘で、アドリアンの異母妹。
王都陥落の夜、兄アドリアンによる父王殺害の一部始終を目撃し、ルチアに助けられ、辛くも脱出。以降セレスティーヌを頼り、行動を共にする。父の死をきっかけに、アドリアンを僭王として告発し、自ら王位を継ぐ意志を固めた。
■ルチア・フォン・ランカスター
セレスの異母妹。ランカスター公爵の娘。
王都陥落の夜、リーゼロッテと共にアドリアンの弑逆を目撃し、機転を利かせて共に脱出させた。冷静な判断力を持ち、リーゼロッテの証言者としても重要な役割を担う。
■バルザック
近衛隊長。アドリアンの最も近くに仕える腹心。
主君の異様さに恐怖を覚えながらも、忠実にその命令を遂行し続けている。
■ランカスター公爵
セレスの父であり、王国有数の大貴族。
王都にてアドリアンの手にかかり落命。最期に「セレスを頼れ」と言い遺した。
■グザヴィエ・フォン・モンモランシー子爵
ローゼンベルク王立学院学長。
ヴァルデン家と代々対立してきたモンモランシー家の当主で、カイルへの私怨を隠さない。アドリアンの命を受けカイルの毒殺を企てるが、ラーダ・ナーヤルの奇襲により失敗。取り押さえられ、拘束された。
【ローゼンベルク王国・ロシュフォール軍】
■シャルル・フォン・ロシュフォール
王国有数の大貴族、ロシュフォール侯爵。
娘シャルロットをアドリアンの第一王妃に据えることを確約し、宰相の座を狙って新体制での実権掌握を目論む。老獪な政治家であり、アドリアンを「御しやすい暗君」として利用しようと画策しているが、国王弑逆までは知らない。
■ライネル・フォン・ベルガー
王国の子爵で将軍の一人。ロシュフォール侯爵配下の宿将で、カイルの元上官。
父グレッグの汚名を背負い、家門の再興を悲願としてロシュフォール侯爵に仕えてきた。セレスティーヌ討伐軍を率いるも、リーゼロッテの証言によりアドリアンの弑逆を知り、恩人であるロシュフォール侯爵に真実を伝えるべく単身ルミナリアへ向かう。
■カレン・ビクター
ライネルの副官補佐。ベルガー子爵領出身の騎士。
利発な瞳ときびきびとした所作が印象的な士官で、ライネルへの忠義と、対峙したセレスティーヌ軍への複雑な思いの間で揺れる。
■デルフロード
勲功記録騎士の隊長。前任バスールの後任として近衛兵から抜擢された。
丁寧な物腰の裏に、責任を巧みに回避する詭弁と、冷徹な計算高さを隠し持つ。「臨機応変に動く」ことを信条とし、要所で必ず暗躍する不気味な存在。
■ライアット
ロシュフォール軍副官・大隊長。二つ名「灰燼のライアット」。
槍の名手であり、ロシュフォール軍の古参として戦場に立つ。
【ローゼンベルク王国・諸侯】
■ギルベルト・フォン・マーロンド
マーロンド伯爵。カイル・ライネルらの恩師。
ルミナリア残留を命じられる一方、脱出するカイルと遭遇し、恩師として黙認して見逃した。
■ウルリッヒ・フォン・エーベルバッハ
エーベルバッハ子爵。
マーロンド伯爵と共にルミナリアの後方統制を任される。
■リカルド・フォン・キース
キース伯爵。アドリアン派の実務家。
ロシュフォール侯爵と共に王都へ向かい、新王への根回しの先陣を担う。
■ゼファード・フォン・ミラージュ
ミラージュ侯爵。王国の大貴族。ルミナリアでの軍議に出席。
自軍の指揮をユリウス将軍に預け、ベルモス方面への備えとして進軍させた。
■フェルナン・フォン・ユリウス
ミラージュ侯爵配下の将軍。
ベルモス方面の守りを任され、侯爵の軍勢を率いる。
■アルベルト・フォン・メイルドック
六十代半ば。メイルドック辺境伯。アルクリーズ城を拠点とする。セレスの祖父の戦友。
セレスティーヌ軍の麾下に加わることを血判状で誓うほど、セレスに強い信頼を寄せる数少ない味方の一人。セレスとリーゼロッテたちが最後に頼るべき存在として、その動向が注目される。
【グランゼイド帝国】
■ヴィルヘルム三世
グランゼイド帝国皇帝。
崩御。後継を巡り、皇后の実子マリウスと、辺境より帰還する第一皇子ジークフリードとの間で継承争いが勃発する火種となった。
■グランゼイド帝国皇后
ヴィルヘルム三世の后。ディートハルトの姉。
夫帝の崩御を受け、実子である第二皇子マリウスの即位を強く後押しする。辺境より帰還する第一皇子ジークフリードを警戒し、全軍に帝都への帰還を命じた。
■ジークフリード
グランゼイド帝国第一皇子。辺境遠征に出ていたが、帝都への帰還が取り沙汰される。
皇后から強く警戒される存在であり、その動向が帝国内の後継争いの火種となっている。
■マリウス
グランゼイド帝国第二皇子。皇后の実子。
母である皇后から即位を強く後押しされており、異母兄ジークフリードとの間で帝位継承争いの中心に据えられつつある。
■グスタフ・フォン・ディートハルト
グランゼイド帝国第一騎士団団長。皇后の弟。
一万の兵で王都を占領していたが、皇帝崩御の報を受け、半数の五千を率いてベスティア領方面へ撤収。王都の留守はシュナイダーに委ねられた。
■シュナイダー
グランゼイド帝国第一騎士団副官。ディートハルトから王都の留守を託される。
エルム・クロウへの複雑な感情を抱えつつも、若い兵たちの反発を抑え、感情ではなく兵力差という現実を見据えて王都放棄を決断した。
■エルンスト・フォン・ベルクマン
グランゼイド帝国第二騎士団団長。
ディートハルトと対となす帝国の宿将。
軍議でエルム・クロウへの風当たりが強まる中、なお彼女とマクシミリアンの動向を静かに見守る。
■ブルーノ・ザイデン
グランゼイド帝国第三騎士団団長。
帝国の猛将。アルテール平原の大敗の屈辱を払拭できず、エルム・クロウへの敵意を執拗に向け続けている。
■エルム・クロウ(エレノア・クロムウェル)
元は王国軍の聖騎士団副団長。帝国軍士官。
アルテール平原で負傷したマクシミリアンに付き添い、占領地フルーランシュに留まる。アドリアン自らの王都進軍を知るや、感情論に流されず即時撤退を主張し、王都放棄という決断を導いた。
■マクシミリアン・フォン・カシュタイン
カシュタイン子爵家嫡男。「疾風のマクシミリアン」。
アルテール平原での負傷から療養中。エルム・クロウの献身的な看護を受けつつ、彼女への信頼をさらに深めている。
【歴史上の人物】
■クリスチアン・ローゼンベルク
アドリアンの三歳上の兄。かつての王太子。
心優しく誰からも将来の名君と期待されていたが、若くして病に倒れ他界した。彼の死後、周囲から向けられ続けた「クリスチアンならば」という比較が、アドリアンの歪みの原点となった。
■ヒルデガルド・フォン・シーデルランド
百年前に王国を救った伝説の英雄。
一介の騎士から伯爵へと成り上がった。
表向きは「聖女将軍」として語られているが、実際は冷徹な策略家でもあった。
セレスの憧れの存在だった。
■戦女神エイリーン
大陸で広く信仰される戦の女神。
ヒルデガルドはその生まれ変わりと伝承されている。




