第97話:『マンモスの散髪。 ―氷河期の毛布は、地層の恵み―』
お母さんが冷やしすぎたせいで現れたマンモス。
しかし、お母さんの目には、彼らは「歩く高級ウール」にしか見えませんでした。
「寒さ」を「素材」に変え、絶滅種を「巨大なペット(兼・暖房器具)」に仕立て上げるという、お母さんの圧倒的な生活力。
地球の歴史すらも、お母さんの「編み物の進捗」によって書き換えられていくのです。
「……パパ、見て。庭に『茶色い山』みたいなのが動いてるんだけど。これ、象にしては毛深くね? 鼻から氷柱ぶら下げて泣いてるし」
リィナがコタツ(※カセットコンロ動力)でぬくぬくしていると、九条家の庭には、お母さんが冷やしすぎた地球のせいで蘇った「マンモスの群れ」が、寒さと理不尽さを訴えに押し寄せていた。
「パオォーン!(寒すぎるぞ! 氷河期を勝手に再現するな!)」
「うるさいわね! 文句があるなら、その無駄に暑苦しい毛をどうにかしなさいッ!! 掃除機が詰まるじゃないの!!」
お母さんが、物置から(神具:超大型バリカン)×(属性:羊毛刈りの極意)×(印:衣替えの鉄槌)を引っ提げて突入。マンモスたちの背後に回ると、一切の迷いなくシュルシュルとその巨体を丸裸にし始めた。
『リィナ。……お母さんは今、古代生物の防寒機能を「高級寝具の原料」として認識してしまった。……(印:獣毛の高速洗浄)×(印:100%オーガニック・マンモスウール)。……よし。これで、九条家の押し入れは「最高級・氷河期ブランド」の毛布で埋め尽くされたよ』
パパが指を鳴らすと、庭では丸刈りにされてピンク色の肌を晒したマンモスたちが、「パォ……(スースーする……)」とショックで震えていた。
「ほら、あんたたち! 毛が無くなって寒いでしょ! これを使いなさい! (神具:九条家特製・巨大腹巻き)×(印:お母さんの手編み)×(投げ銭:マンモスへの特大焼き芋)!」
お母さんが、刈り取った毛ですぐさま編み上げた巨大な腹巻きをマンモスたちの胴体に巻きつけた。
「(印:地表の再加熱)×(属性:モフモフのぬくもり)×(強制:冬のお昼寝)!」
リィナが指を鳴らすと、毛布にくるまったマンモスたちは、あまりの暖かさに戦意を喪失。絶滅の危機を忘れて、庭でスースーと寝息を立て始めた。
「……あーあ。古代の王者が、お母さんの『手編みグッズのモデル』になっちゃった」
「いいじゃない、これで今年の冬は暖房いらずよ! さあ、パパ! マンモスの毛でセーターも編むから、糸巻きを手伝いなさいッ!!」
お母さんの仕切りにより、氷河期は「最高の毛織物シーズン」へと昇華されるのでした。
第97話、ありがとうございました!
「丸刈りにされたマンモス」のシュールな絵面(笑)。ピンク色の肌に「手編みの腹巻き」は、もはや別のクリーチャーですね。
「掃除機が詰まる」という、極めて現実的な理由で巨獣を狩るお母さん、流石です。




