第96話:『地球の製氷機。 ―温暖化を止めるのは、自動製氷モード―』
深刻な環境問題も、お母さんの「余っている氷を有効活用したい」という主婦の義務感には勝てませんでした。
北極を九条家の「セカンド冷凍庫」として私物化し、世界を冷やすお母さん。
気候変動すらも、お母さんが「急速冷凍ボタン」を押すかどうかにかかっているのです。
「……パパ、見て。ニュースで『北極のシロクマが流氷の上で困ってる』って言ってる。これ、お母さんに教えたらマズいかな?」
リィナがテレビを見ていると、背後から(神具:クーラーボックス(銀色))×(属性:在庫過多)×(印:もったいない精神)を纏ったお母さんが、殺気と共に現れた。
「なんですって! 氷が足りない? うちの冷蔵庫の自動製氷機、昨日からフル回転させて余りまくってるんだから、今すぐ届けてあげるわよッ!!」
お母さんは、キッチンから「九条家の秘宝:100均のアイストレー」と「急速冷凍された保冷剤」を抱え、(神具:宇宙船(カセットコンロ仕様))×(属性:超音速配達)×(印:鮮度保持)に飛び乗った。
『リィナ。……お母さんは今、家庭用の製氷能力を「惑星冷却システム」に同期させてしまった。……(印:絶対零度の増殖)×(印:家庭用コンセントの無限電力)。……よし。これで、九条家の冷蔵庫を開けるたびに、北極に巨大な氷山がポップアップするよ』
パパが指を鳴らすと、北極海には「九条」と刻印された巨大な星型の氷(※お母さんが可愛いからと買ったトレーの形)が次々と出現し、シロクマたちが「……ファンシーだな」と戸惑いながら乗り移り始めた。
「ほら、シロクマちゃん! 足元冷たくしてあげたから、しっかり捕まってなさい! (お母さんの保冷術)×(印:急速冷凍ボタン)×(強制:海水の氷結)!」
お母さんが、宇宙船の窓から「九条家の特製・カルピス入りの氷」を海に投げ込んだ。
「(印:氷河の再構築)×(属性:甘酸っぱい香り)×(投げ銭:ペンギンたちへの麦茶)!」
リィナが指を鳴らすと、溶けかけていた北極の氷は、九条家の冷凍庫と量子もつれを起こして完全復活。地球の平均気温は一気に2℃下がり、気象学者たちが「物理法則が家計簿に屈した……」と絶望の声を上げた。
「……あーあ。地球の気候システムが、お母さんの『冷蔵庫の空きスペース』に依存しちゃった」
「いいじゃない、涼しくなったんだから! さあ、氷が減った分、今夜はそうめんよ! 全員で茹でるわよッ!!」
お母さんの仕切りにより、地球温暖化は「主婦の製氷管理」によってあっけなく終焉を迎えるのでした。
第96話、ありがとうございました!
星型やハート型の氷が浮いている北極(笑)。シロクマたちもさぞかし困惑していることでしょう。
「そうめんを食べるために地球を冷やす」という、動機の小ささとスケールの大きさが九条家らしいですね。




