第92話:『天国のニート化。 ―新約:お母さんの「ほったらかしレシピ」―』
文明の利器(とお母さんのレシピ)に溺れた天界。
しかし、お母さんにとって「怠惰」は万死に値する罪。
神々の「全知全能」を無理やり「全自動」に置き換えた結果、天国は一時的にニートの巣窟となりましたが、お母さんの「アナログ指導」により、再び(強制的な)活気を取り戻したのでした。
「……パパ、見て。空から『金色の後光』じゃなくて、『全自動食洗機の排気音』が聞こえてくるんだけど。天国、工事中なの?」
リィナが庭でフェニックス君(※聖騎士・兼・洗濯担当)とシーツを干していると、雲の上から「ピーッ、ピーッ(洗浄完了)」という無機質な電子音が、天使のラッパの代わりに鳴り響いていた。
『リィナ。……パート帰りの女神たちが、お母さんの「時短術」を聖典として持ち帰ってしまったんだ。……(神具:電気圧力鍋)×(属性:ボタン一つで完成)×(印:思考停止)。……よし。これで、天国の全ての苦労(行い)は、AI家電によって自動化されたよ』
パパが望遠鏡(※時空観測用)を覗くと、かつてはハープを弾いて慈愛を振りまいていた天使たちが、今は全員ジャージ姿で「全自動・全知全能ルンバ」の上に乗って移動し、スマホで動画を見ていた。
「ちょっと! 私が教えたのは『空いた時間で自分を磨きなさい』って意味よ! ダラダラしなさいって言った覚えはないわよッ!!」
お母さんが、天界から漂ってくる「サボりの波動」を敏感に察知し、(神具:割烹着・正装)×(属性:勤勉の権化)×(印:お天道様は見ている)を纏って雲の上へと殴り込んだ。
「いい? 便利な道具はね、『心を込めるため』に使うものなのよ! ほったらかしレシピで煮込んでる間に、スクワットの一回でもしなさい!!」
「あぁ……九条様……。でも、お母さんのレシピが完璧すぎて……。私たちが奇跡を起こすより、この『時短・角煮』の方が、全人類を救える気がするんです……」
主神(ゼウス的な何か)までもが、ポテトチップスを片手に「全自動・雲生成機」をポチポチしながら、お母さんの説教を右から左へ受け流している。
「(印:堕落の強制終了)×(印:アナログ回帰)×(投げ銭:神々のための手動雑巾)」
リィナが指を鳴らすと、天界の全家電が「コンセント引き抜き(物理)」により停止。
静まり返った天国で、お母さんは神々に「バケツと雑巾」を配り歩き始めた。
「……あーあ。天界が、お母さんによる『全国統一・強化合宿場』になっちゃった」
「さあ! 掃除が終わるまで、お昼ごはんは抜きよ!!」
お母さんの雷が落ちた瞬間、神々は慌ててハープを捨て、泣きながら雲の汚れをゴシゴシと磨き始めるのでした。
第92話、ありがとうございました!
「時短レシピが新約聖書になる」という、究極の食育(笑)。
神様たちがジャージ姿でルンバに乗っている姿、想像するだけでシュールですね。




