第87話:『創造主の亡命。 ―犬小屋の領土権と、住民票の壁―』
資源ゴミに出されたショックで「独立国家」を宣言したパパ。
しかし、お母さんの「事務能力(とパンツの所有権主張)」の前に、独立の夢はあっけなく散りました。
神といえども、家族という名の「社会システム」からは逃げられない。パパが真に支配されているのは宇宙の法則ではなく、お母さんが握る「印鑑」だったのです。
「……パパ、何してるの? そこ、隣の田中さんちのポチの別荘(予備の犬小屋)だよね?」
リィナが学校から帰ると、庭の隅にある小さな犬小屋から、パパの長い足がはみ出していた。パパは段ボールの切れ端に「亡命希望」と書き、虚空を見つめている。
『……リィナ。……私は傷ついた。……資源ゴミとして紐で縛られたあの日から、私のアイデンティティは崩壊したんだ。……今日から私は、この犬小屋を「神聖パパ帝国」として独立させ、九条家とは国交を断絶する……。……(印:領土権の主張)×(印:不可侵条約)。……よし。これで、ここはお母さんの掃除機も届かない安息の地だ』
「あら、そう。独立するなら勝手になさい。でもパパ、独立ってことは『国外退去』よね?」
キッチンの窓から、お母さんが**(神具:印鑑ケース)×(属性:行政代執行)×(印:戸籍の管理)**を手に身を乗り出した。
「いい? 独立するなら今すぐ**(印:世帯分離)×(印:転出届)×(強制:贈与税の算定)**を済ませなさい! ついでに九条家という『国家』からの支給品……その服、パンツ、メガネ、あとその『存在確率』も全部置いていきなさいよ! 全部私の家計(税金)で維持されてるんだから!!」
お母さんが書類をバサバサと振ると、パパの体が急速に透け始めた。九条家の「扶養」という名の強力な結界から外れた瞬間、創造主としての物理的な実体すら失われ始めたのだ。
『……待ってくれ。……メガネを没収されたら、この次元の座標が見えない。……それにパンツまで返せというのは、国際法(公序良俗)に反するんじゃないかな……』
「うるさいわね! 国際法より『九条家の家法』が優先よ! (お母さんの追徴課税)×(印:脱税禁止)×(投げ銭:ポチへのドッグフード)! ほら、ポチも『家賃を払え』って言ってるわよ!」
隣のポチが「ワン!(独身貴族のくせに!)」と吠え、パパの亡命生活は開始5分で経済破綻を迎えた。
「……あーあ。パパ、結局お母さんの『事務手続き』に勝てないんだから」
結局、パパは「住民票の移動が面倒くさい」という理由で亡命を断念。お母さんに「不法占拠の罰」として、庭の全ての草むしりを命じられ、トボトボと家に戻っていくのでした。
第87話、ありがとうございました!
「パンツまで置いていけ」というお母さんのパワーワード、まさに実効支配(笑)。
ポチにまで家賃を請求される創造主、世界一不憫で可愛らしいですね。




