第83話:『銀河の美食家。 ―皿洗いの果てに、真の「味」を知る―』
天国と冥界の食材を求めてやってきた宇宙の美食家たち。
しかし、お母さんの「まかない」に胃袋を掴まれ、気づけば「皿洗い担当」として九条家の家政を支える労働力へとジョブチェンジ。
どんなに高度な文明も、お母さんの「働かざる者食うべからず」という根源的なルールに屈した瞬間、ただの「バイトのシフト」に組み込まれる運命なのです。
「……パパ、見て。庭に『戦闘力53万』くらいの格好したエイリアンが、マイ箸持って行列作ってるんだけど」
リィナが縁側で冥界マンゴーを食べていると、九条家の生垣を突き破って、巨大な金色の宇宙船が次々と不時着した。降りてきたのは、星々を喰らう暴食卿や、超新星爆発をスパイスにする銀河の料理長たちだ。
「地球の九条家とやら! 天国と冥界の食材を『適正価格』で牛耳る貴様らの味、我が舌で確かめに来たぞ!」
「あら、お客さん? ちょうどよかったわ! 今日は『冥界もやしとマンゴーの炒め物』が大盛りなのよ!」
お母さんが、巨大な中華鍋を片手に玄関に現れた。その背後には、**(神具:お玉)×(属性:栄養満点)×(印:おかわり自由)**の後光が射している。
「フン、ただの地球の家庭料理か。どれ……。……!? な、なんだこの『おふくろの味』という名の精神攻撃は……! 細胞が……宇宙の真理(実家)に帰っていく……!!」
一口食べた宇宙の美食家たちは、あまりの美味さと「懐かしさ」に号電撃を受け、その場に膝をついて号泣した。
「……師匠! 私を弟子にしてください! この味の秘密を知りたい!」
「弟子? 何言ってるのよ。修行の前に、まずは**(印:下積み)×(印:頑固汚れ落とし)×(強制:ゴム手袋)**よ! ほら、そこにある1万枚の皿、全部ピカピカに洗いなさいッ!!」
お母さんが指を差した先には、宇宙遺産登録(第70話)以来、溜まりに溜まった「異次元の汚れ物」が山をなしていた。
『リィナ。……銀河最強の戦士たちが、今、キュキュット(除菌)で精神統一を始めたね。……(印:労働の喜び)×(印:時給850円)×(投げ銭:まかないの特大おにぎり)。……よし。これで、彼らは「侵略」よりも「茶渋取り」に命を懸けるようになったよ』
パパが指を鳴らすと、庭では宇宙最強の帝王が「この油汚れ、フリーザ(冷蔵庫)並みに手強いぜ……」と呟きながら、必死にスポンジを動かしていた。
「……あーあ。銀河の勢力図が、九条家の『皿洗い当番表』に書き換えられちゃった」
リィナが呆れる中、お母さんは「バイト君たち、おにぎり焼けたわよー!」と、宇宙の覇者たちをまるで近所の学生のようにこき使うのでした。
第83話、ありがとうございました!
宇宙の帝王が「茶渋」と戦う姿、切なくも美しいですね(笑)。
時給850円と「まかないのおにぎり」で銀河の平和が守られる九条家、コスパ最強です。




