第82話:『天国のプレミアム。 ―雲の上は、インフレの温床―』
天界の「ブランド野菜」戦略 vs お母さんの「家計の防衛」。
100万円の高級果実も、お母さんの「主婦の怒り」に触れれば、ただの「3個298円のデザート」へと成り下がります。
九条家のおかげで、天国から冥界まで全ての流通が「お母さんの財布の紐」に管理されるという、宇宙規模の共産主義(主婦主導型)が完成してしまいました。
「……パパ、見て。空から『金粉入りのマンゴー』が、ふるさと納税の返礼品みたいに降ってきてるんだけど」
リィナが庭で洗濯物を干していると、雲の間から後光を放つ巨大な果実が、羽の生えたドローン(天使型)に運ばれて降臨してきた。
冥界の「10円もやし」に市場を奪われた天国の住人たちが、ブランド化で対抗しようと『空中栽培・ゴッド・マンゴー』の販売を開始したのだ。
「おひとつ、魂の純度80%……日本円にして『1個100万円』でございます! 食べれば徳がカンストし、即座に悟りが開けますよ!」
天使が営業スマイルで九条家にカタログを差し出した。
「……1個100万? 悟りを開く前に、私の血管が怒りでブチ切れるわよッ!!」
お母さんが、キッチンの奥から**(神具:家計簿)×(属性:物価統制)×(印:定価の壁)**を引っ提げて飛び出してきた。
「いい? 食べ物っていうのはね、『みんなが笑顔で食卓を囲める値段』が正義なのよ! 金粉なんて喉に詰まるだけだわ!!」
「ふ、不敬な! これは神の雫、プレミアムな価値が――」
「うるさいわね! (お母さんの値切り)×(印:デフレの衝撃波)×(強制:適正価格)! 全宇宙の果物の相場を、今すぐ近所の八百屋に合わせなさい!!」
お母さんが家計簿を空に向けて叩きつけた瞬間、金のマンゴーから「神々しさ」という名の付加価値が霧散し、天使のドローンは「普通のカラス」に変異して墜落した。
『リィナ。……お母さんは「ブランド」という概念そのものを「虚飾のゴミ」としてシュレッダーにかけてしまったね。……(印:天界のバブル崩壊)×(印:産直ルートの強制開設)。……よし。これで、天国のマンゴーも『3個で298円』という、お母さんが納得する価格まで下落したよ』
パパが指を鳴らすと、空から降ってくるのは「金粉マンゴー」ではなく、お弁当のデザートに最適な「一口サイズの冷凍マンゴー」へとダウングレード(適正化)された。
「……あーあ。天国のブランド価値が、一瞬で『特売のワゴンセール』まで叩き売られちゃった」
「いいじゃない、安くて美味しいのが一番よ! さあ、今夜は『冥界もやし』と『天国マンゴー』で、豪華な格安フルコースよ!」
お母さんは、神々のプライドをズタズタにした自覚もなく、298円になったマンゴーを鼻歌まじりに剥き始めた。
第82話、ありがとうございました!
「悟りを開く前に血管が切れる」というお母さんのパンチライン、キレッキレですね(笑)。
ブランド価値を物理的に破壊して、全宇宙をデフレに巻き込むお母さん、恐ろしい……。




