第80話:『魂のバーゲンセール。 ―特売もやしは、命より重い―』
死神が始めた「魂のバザー」。
しかし、お母さんにとっては「調理しにくい贅沢品」でしかありませんでした。
「魂より、もやし」。この絶対的な生活実感を叩き込まれた死神は、もはや「死の概念」を忘れ、「今夜の副菜」をいかに充実させるかという、より高度な知的活動に没頭し始めるのでした。
「……ちょっと、パパ。スーパーの入口に、死神さんが『本日限定:徳の高い魂・大放出!』って看板出して立ってるんだけど」
リィナが学校帰りに夕食の買い出しを手伝いに行くと、白ポロシャツ姿の死神が、地獄直送の「黄金色に輝く魂」を詰め合わせたワゴンを囲んで、主婦たちに呼びかけていた。
「さあさあ、今ならこの『聖者の魂』一個で、寿命が500年延びますよ! お買い得ですよ!」
『リィナ。……彼は「節約」を履修しすぎて、ついに「最もコストパフォーマンスの悪い資産(魂)」を現金化して、今夜のおかず代に充てようとしているね。……(印:魂のバルク売り)×(印:消費期限の設定)。……よし。これで、どんな高貴な魂も「見切り品」扱いになったよ』
パパが指を鳴らした瞬間、ワゴンの魂に「半額シール」が貼られた。しかし、そこにお母さんの怒声が飛んできた。
「ちょっと、死神さん! 何やってんのよ! そんな光るだけでお腹の膨らまないもの売ってる暇があったら、あっちの『もやし詰め放題』に並びなさいッ!!」
「えっ、でも九条様……これは伝説の勇者の魂で……」
「勇者だろうが賢者だろうが、今夜の野菜炒めの足しにはならないわよ! (お母さんの優先順位)×(属性:栄養バランス)×(印:家計の柱)! いい? 魂なんて一回食べれば終わりだけど、もやしは45円で家族三人分のかさ増しができるのよ!!」
お母さんが、死神のワゴンから「魂」を一つ掴み取り、(神具:主婦の鑑定眼)×(属性:下取り)×(印:等価交換)を発動させた。
「(印:概念変換)×(印:魂をもやしに錬金)×(投げ銭:スーパーのポイント3倍)」
パチン、とリィナが指を鳴らすのを合図に、お母さんが魂を握りつぶすと、それは一瞬で「シャキシャキの銀豆もやし」へと姿を変え、スーパーの袋から溢れ出した。
「おぉ……これこそが、無から有を生む真の節約術……! 魂を売るより、もやしを炒める方が、よっぽど次元が高い……!」
死神は感涙にむせび、ワゴンの魂を全て「もやし」と「油揚げ」に変換し、九条家への忠誠を誓いながらレジへと走っていった。
第80話、ありがとうございました!
「勇者の魂」よりも「かさ増しできるもやし」を選ぶお母さん、最高にロックです(笑)。
死神がもやしのコスパに感動して涙を流すシーン、もはや何の漫画かわかりませんね。




