第76話:『時の強制退去。 ―パトロール、始原(ゼロ)まで戻される―』
歴史の守護者・タイムパトロールが九条家の「プリン事変」を裁きに来ますが、お母さんにとっては「夕飯の邪魔をする不届き者」でしかありません。
お母さんの怒声(物理)により、彼らは武装ごと「乳幼児」まで退行させられ、ビッグバンの彼方へ強制送還。
九条家の平和(とサンマの香り)は、全宇宙の法を超越して守り抜かれたのでした。
「……パパ。玄関のチャイムが『デジタル合成音』で鳴ってるんだけど」
リィナが未来の自室(300年後)で量子通信の対戦ゲームをしていると、家の外に巨大な銀色の円盤――「時空安定化装置」を積んだタイムパトロールの母艦が強行着陸した。
歴史を修正するエリート官吏たちが、レーザー兵器を構えて九条家の玄関に突入してくる。
「九条家! 貴様らの勝手な『プリン回収』により、歴史のタイムラインがスパゲティのように絡まり合っている! 直ちに家全体を『ビッグバン直後』の状態までリセットさせてもらう!」
「ちょっと! さっきから何なのよ、土足で上がってきて!!」
キッチンの江戸時代(竈の煙)から飛び出してきたお母さんが、(神具:割烹着)×(属性:立ち入り禁止)×(印:強制還送)を纏ったハタキを振り回した。
「リセットだか何だか知らないけど、うちは今『夕飯の準備中』なのよ! 歴史がどうとか言う前に、自分の部屋の片付けでもしてきなさいッ!!」
「フ、不届きな主婦め! 我々の武装は因果そのものを消去する――」
「うるさいわね! (お母さんの逆鱗)×(印:起源回帰)×(投げ銭:タイムパトロールへの幼児教育)! さっさと産まれる前まで戻りなさい!!」
お母さんがハタキを振り下ろした瞬間、タイムパトロールたちの最新装備は「積み木」と「おしゃぶり」に変異し、彼らの肉体は急速に退行して「赤ちゃん」の状態まで戻ってしまった。
『リィナ。……お母さんは「時間の流れ」そのものを、自分の「家事のペース」に合わせて書き換えてしまったね。……(印:時空の強制整理整頓)×(印:艦隊のワープアウト)。……よし。彼らの母艦は、今ごろ宇宙の始まりの地点で『バブバブ』と鳴きながら浮いているよ』
パパが指を鳴らすと、絡まっていた家の時代設定は、お母さんの「掃除しやすさ」を基準に再統合された。
「……あーあ。せっかくの量子Wi-Fiが、普通のギガ光に戻っちゃった」
「いいじゃない、Wi-Fiなんて。ほら、パパ! 赤ちゃんに戻っちゃったこの人たち、町内の保育園に届けてきなさい! 迷子なんだから!」
お母さんは、おしゃぶりをくわえて泣いている「元・時空エリート」たちをパパに押し付け、何事もなかったかのようにサンマを焼きに戻った。
第76話、ありがとうございました!
タイムパトロールを「おしゃぶり」に変えてしまうお母さんの教育的指導(笑)。
パパが彼らを保育園に届けるという、あまりに世俗的なオチが九条家らしいですね。




