第71話:『鋼鉄の家政婦。 ―AI vs 主婦、仁義なき拭き掃除―』
銀河最強のAI家政婦 vs 昭和の魂を持つお母さん。
効率を追求するロボットに対し、お母さんは「手間暇」という名の魔力で対抗。
最終的にはパパの「愛情データ」による精神攻撃(?)で決着がつきました。
九条家の平和(と汚れ)を支配できるのは、やはりお母さんただ一人なのです。
「……パパ、何これ。リビングに『ガンダムの生首』みたいなのが落ちてるんだけど」
リィナが学校から帰ると、リビングの中央に鎮座していたのは、銀河最高の知性を搭載した全自動お掃除ロボット『マザー・コンピュータ・零号機』だった。
観光公害に悩む九条家への「お詫び」として、銀河評議会が総力を挙げて開発した、家事の概念を根底から覆す自律型神具である。
『……観測完了。……床のホコリ、0.0001ミリ。……これより、この家の「家事権限」を私が完全代行します。……現任の主婦(お母さん)、あなたは引退してください』
ロボットから放たれた(印:絶対清潔)×(属性:効率化)×(出力:100%)の波動が、家中の雑巾やほうきを弾き飛ばした。
「……なんですって? 私に隠居しろって言うの?」
お母さんのこめかみに青筋が浮かぶ。手には、使い古した「安売りのキッチンペーパー」が握られていた。
「いいわ、その喧嘩買ったわよ! (お母さんの経験値)×(印:裏側の汚れ)×(強制:二度拭き)! 効率だけじゃ落とせない『執念の汚れ』を教えてあげるわ!」
お母さんと最強ロボットによる、音速を超えた「拭き掃除バトル」が勃発した。
ロボットがレーザーで殺菌すれば、お母さんは「重曹とクエン酸の黄金比」で物理的に中和する。
「パパ、これ止めて。家の中が真空状態になって、息ができないんだけど」
『リィナ。……これはいけない。……(印:中立地帯の設定)×(印:審判権の発動)。……よし。……ロボットくん、お母さんは「汚れ」を掃除しているんじゃない。「家族の生活」を整えているんだ。……君のプログラムに「愛情という名の非効率」は入っているかい?』
パパが指先でロボットの回路に干渉した瞬間。
お母さんの「残り物を再利用した昨日の肉じゃが(神の味)」のデータを流し込まれたロボットは、あまりの「合理的でない美味さ」にシステムがオーバーヒート。
『……エラー。……愛……情……。……主婦の座、返上します……。……私は今日から、お母さんの「生ゴミ受け」として余生を過ごします……』
最強ロボットは、お母さんの圧倒的な「母性(物理)」の前に敗北し、静かに流し台の下へと移動していった。
第71話、ありがとうございました!
「ガンダムの生首」呼ばわりされる最高級ロボットが、最後は生ゴミ受けになる切なさ(笑)。
パパが「非効率の美学」を説くシーンは、ちょっとだけ格好良かったですね。




