第7話:『隣国の王、来訪。 ―ワンパン外交の幕開け―』
運営を撃退したリィナの噂は、瞬く間に人間界にも知れ渡ります。
「力のある聖女を道具にしよう」と現れた隣国の王。
しかし、彼が対峙したのは聖女などではなく、理不尽なまでの「重力」を操る、機嫌の悪い女子高生でした。
「……また、誰か来た」
リィナがカレーを完食し、食後のコーヒー(魔導抽出済み)をすすっていると、村の門番を務めるゼノンから緊急通信が入った。
『ボス! 大変だ! 隣の大国「バレンシア王国」の軍勢が、村を包囲してやがる! なんでも、「魔王軍の幹部を倒した聖女を、我が国に献上せよ」だってよ!』
「献上? 私、食べ物か何かだと思われてるの?」
リィナは面倒そうに立ち上がり、アルヴィスを伴って村の入り口へと向かった。
そこには、金銀に彩られた豪華な馬車と、数千人の重装騎士団が整列していた。
馬車から降りてきたのは、贅を尽くした衣装を身にまとった肥満体の男――バレンシア王だ。
「フハハ! 貴様が噂の聖女か。魔王軍を退けたその力、我が国の軍事力として使ってやろう。感謝せよ、今日から貴様を我が国の『第十七側室』に任命してやる!」
王の言葉に、周囲の騎士たちが嘲笑を浮かべる。
アルヴィスの目が、処刑卿としての冷酷な光を帯びた。
「主よ……この無礼な肉塊、今すぐ塵にしましょうか?」
「いいわよ、アルヴィス。体力がもったいないし」
リィナは一歩前に出ると、指先で空中に小さな「印」を三つ描いた。
「(印:重力加速度)×(印:範囲固定)×(投げ銭ボーナス:威圧感100倍)」
リィナが地面を軽く「トントン」と靴の先で叩いた。
――ドゴォォォォン!!!
「……ひぎっ!?」
次の瞬間、王と騎士団、そして豪華な馬車が、目に見えない巨大な圧力によって地面にめり込んだ。
まるで巨大な巨人の足で踏みつけられたかのように、半径100メートルの大地が数メートル沈下している。
「重い……動けぬ! な、なんだこれは!? 何をした!!」
「外交よ。……あんたの国の予算、全部私の村の『インフラ整備費』として没収するから。嫌なら、そのままずっと地球の重力と仲良くしてて」
リィナは、地面にへばりついて震える王の頭を、ゴミを見るような目で見下ろした。
第7話、ありがとうございました!
リィナの「ワンパン外交」、話が早くて助かります(笑)。
せっかく来た王様を「インフラ整備費」の財布代わりにするあたり、リィナの建国センスはかなり現実的(?)ですね。




