第59話:『社会科見学。 ―パパの会社は銀河の交差点―』
パパの職場が、親衛隊と宇宙貿易のせいで「銀河の心臓部」に。
社長はパパの威を借るどころか、パパに怯えて生きるマスコット的存在へ。
パパが「ただの課長」を自称すればするほど、世界の経済バランスが崩壊していく。
九条家の経済力は、ついに家庭菜園から銀河系市場へと飛び火したのでした。
「……ねえ、パパ。私の記憶が確かなら、パパの会社って『中堅の精密機器メーカー』じゃなかった?」
リィナが学校の行事でパパのオフィスビルを訪れると、そこにはかつての社名はなく、ホログラムで『九条・ギャラクシー・インダストリアル(株)』という巨大なロゴが浮いていた。
玄関先では、タコのような触手を持つ異星人の外交官たちが、行列を作って受付に並んでいる。
「あ、リィナ。……いらっしゃい。……(印:会議室の重力調整)×(印:全言語翻訳)。……よし。今、ちょうどアンドロメダ支社との合併協議が終わったところだよ」
パパがいつもの穏やかな笑顔で現れたが、その背後には、フル装備の次元警察親衛隊が「閣下の娘君だ!」と一斉に跪いている。
「……パパ。社長さんはどこ?」
リィナが案内された社長室では、本来の社長(人間)が、触手が100本ある宇宙の貿易王に向かって、必死に土下座(スライディング土下座)を繰り返していた。
「あわわわ! 貿易王様! どうか……どうか我が社の『新型ネジ』を採用してください! パパさん……じゃなかった、九条課長からも、どうか一言お願いしますぅぅ!!」
社長は、もはや「九条課長」という生ける神の機嫌を損ねないことだけに全神経を注いでいた。
「……あ、社長。……(印:取引成立)×(印:社長の精神安定剤)×(投げ銭:宇宙貿易の利権)。……これで大丈夫だよ。……リィナ、せっかく来たんだから、食堂で『宇宙定食』でも食べていくかい?」
パパが指を鳴らした瞬間、貿易王は「素晴らしい! この条件なら銀河3つを担保にしましょう!」と叫び、社長は安堵のあまりその場で気絶した。
「パパ……。もうここ、普通の会社じゃないわね」
『リィナ。……これでも、私は「ただの課長」として給料をもらっているよ。……残りの利益は全部、お母さんの「週末の贅沢なランチ代」として別口座に送ってある』
「……ママが一番、世界を支配してる気がするわ」
リィナは食堂で、青く光る「宇宙うどん」を啜りながら、パパの会社が放つ「宇宙の覇権」のオーラに溜息をついた。
第59話、ありがとうございました!
社長が宇宙人に土下座して、課長がそれを「投げ銭」で解決するシュールな構図(笑)。
パパが稼いだ「銀河3つ分の利益」が、お母さんのランチ代に消えるという、あまりにも家庭的な資金洗浄。




