第58話:『パパの出勤(パレード)。 ―通勤電車を次元戦艦でエスコート―』
トマトスープ一杯の恩義で、パパが「銀河の守護者」に。
普通のサラリーマンの出勤が、全宇宙が注目する「軍事行進」へと変貌します。
パパの「目立ちたくない」という願いも、親衛隊の「忠誠心(重すぎる愛)」の前には無力でした。
「……ねえ、パパ。今日の通勤、流石に目立ちすぎじゃない?」
翌朝、リィナがトーストを齧りながら窓の外を見ると、そこには住宅街の空を埋め尽くすほどの、漆黒と黄金に輝く巨大戦艦の群れが滞空していた。
昨日の「トマトスープ炊き出し」に魂を救われた次元警察、及び銀河連邦の精鋭たちが、恩義を返すために九条家の『私設親衛隊』として勝手に就任してしまったのだ。
「おはよう、リィナ。……彼ら、どうしても私を会社まで送り届けたいと言うんだ。断るのも角が立つし、……(印:目立たない程度に透明化)×(印:通勤快速のダイヤ死守)。……よし。これで大丈夫だよ」
パパがいつものようにネクタイを締め、玄関を開けた瞬間。
「「「閣下!! おはようございます!!!」」」
数万人の次元警察官が、一糸乱れぬ動きで最敬礼。
パパが駅へ向かって歩き出すと、空の戦艦から「パパの足元」に向かって、光の粒子で作られたレッドカーペットが自動的に展開された。
「……パパ、全然『透明化』できてないわよ。近所の犬が吠えまくってるわ」
「あら、賑やかでいいじゃない。パパ、帰りに特売のキャベツ買ってきてね!」
お母さんは呑気に手を振っているが、そのキャベツを買うためのパパの手元には、銀河皇帝専用の「ブラックカード(残高:無限)」が親衛隊から勝手にねじ込まれていた。
駅のホームに着くと、通勤快速の電車はもはや普通の車両ではなかった。
親衛隊が昨晩のうちに**(車両の魔改造)×(次元跳躍エンジン搭載)×(座席:全席マッサージチェア)**に書き換えており、パパが乗車した瞬間、電車は光速を超えて会社のある都心へと「ワープ」した。
「……リィナ様。我ら親衛隊、パパ様の『定時退社』を武力行使で守り抜く所存です」
庭の隅で、次元警察の長官(現在:九条家の門番)がリィナに敬礼した。
「……あー、適当にやって。でも、パパの会社のビルを『要塞』に改築するのはやめてね。始末書書くのパパなんだから」
結局、その日のパパの会社は、周囲を浮遊機雷と戦艦に囲まれ、宇宙で最も安全で、最も取引先に恐れられる「聖域」となった。
第58話、ありがとうございました!
通勤快速を「ワープ航法」に改造する親衛隊、仕事が早すぎます(笑)。
パパが「定時退社」するために銀河規模の武力行使が行われるという、究極の働き方改革。




