第53話:『裏・新世界。 ―創造主(ママ)の届かない暗黒通信網(ダークウェブ)―』
お母さんの完璧主義から逃れるため、リィナが作った「秘密の裏サイト(物理空間)」。
そこは「散らかしても怒られない」という、宇宙で最も禁断の自由が許された場所。
しかし、お母さんの「主婦の勘」は、異次元の壁すらも容易に貫通するのでした。
「……リィナ様、助けてください。もう『ラジオ体操・第100』までやらされるのは限界です……」
リィナが自室でポテチを食べていると、足元の影からボロボロになった魔王サトウと、雑巾を握りしめたまま震える女神が這い出してきた。
お母さんの「宇宙大掃除キャンペーン」は過激さを増し、今や神界の全領域が「常にレモンの香りがするピカピカの廊下」に改造され、少しでも怠惰な心を持つ者は即座にお母さんの「愛の説教(物理)」が飛んでくるのだ。
「……パパも協力してくれないしね。あの人、ママが怖すぎて『全自動お掃除ロボット』の開発に没頭してるし」
「お願いです、リィナ様! ママ様の検閲が入らない、我らだけの『ダメ人間シェルター』を作ってください!」
神々とニートたちの悲痛な叫びに、リィナはスマホをスワイプした。
(既存の宇宙)×(非表示レイヤー)×(投げ銭:ママのセンサーをバグらせる猫の動画)。
「――【シークレット・モード:マイルーム】」
パチン、と指を鳴らした瞬間。
九条家の押し入れの奥に、時空の隙間を利用した「異次元サーバー」が出現した。
そこは、お母さんの声が届かず、掃除の義務もなく、一生「1日3食昼寝付き」でオンラインゲームができる、まさに背徳の楽園。
「おおお! 通信速度が無限! コーラが無限! そして何より……部屋が散らかっている!! 素晴らしい!!」
神々は涙を流しながら、異次元の床に脱ぎ散らかされた靴下を見て感動に震えた。
「……いい? ママに見つかったら、私もろとも消されるからね。静かに遊びなさいよ」
しかし、平和は長くは続かなかった。
リビングから、お母さんの「鼻が利く」声が響く。
「……あら? なんだか、押し入れの辺りから『だらしない波動』が漏れてるわね。……パパ、ちょっと私の『超高出力・吸引力ダイソン(神具)』持ってきて。大掃除のやり直しよ」
「「ひ、ひえぇぇぇ!!」」
押し入れの中で、神々の悲鳴が響き渡った。
第53話、ありがとうございました!
「部屋が散らかっている」ことに感動する神々……もはや末期症状ですね(笑)。
お母さんの武器が「ダイソン(神具)」にアップデートされているのが、絶望感を加速させます。




