第52話:『引きこもり大陸。 ―全自動の楽園、母の雷に焼かれる―』
リィナが作った「ニートの聖地」が、お母さんの手によって「超健康優良社会」へ。
コーラが青汁に、ポテチがオーガニック野菜に変わる絶望(?)。
お母さんにとって、新世界創造とは「宇宙全体の整理整頓」に他なりませんでした。
「……あー、最高。動かなくていいって素晴らしいわ」
リィナが創造した新大陸『ダラダラ・アイランド』。
そこは、地面が全て低反発クッションで構成され、川からはコーラが流れ、木々には揚げたてのポテチが実る、人類の怠惰を具現化したような場所だった。
当然、世界中の「働きたくない精鋭たち」がその噂を聞きつけ、瞬く間に大陸は満員御礼。数万人のニートたちが「ここが約束の地か……」と涙を流しながら、ポテチの木の下で寝転がっていた。
「リィナ。……これ、流石に『エントロピー』が低すぎるよ。世界全体のやる気がゼロになって、時空が止まりかけている」
パパがタブレットのグラフを見ながら苦笑いする。
「いいじゃない、みんな幸せなんだから。……あ、ポテチのコンソメ味、おかわり」
しかし、その平穏は「核爆発」のような勢いで開け放たれた玄関の音と共に崩れ去った。
「あんたたちーーー! いつまで寝てるのよッ!! 掃除しなさい! 洗濯しなさい!!」
現れたのは、仁王立ちになったお母さん。その背後には、お母さんに洗脳……もとい、教育された「軍隊蟻のように規律正しい神々」が、ほうきと雑巾を持って控えていた。
「ひ、ひえぇぇ!? お、おばさん誰だよ!? 俺たちの自由を――」
「黙りなさい! (お母さんの説教)×(印:労働の喜び)×(強制:早起き)。――リィナ! あんたもいつまで寝てるの! この大陸、ゴミ出しのルールが全く決まってないじゃない!」
お母さんが指を鳴らした瞬間。
クッションだった地面は「健康サンダルのようなイボイボ」に変形し、コーラの川は「冷たい青汁」へと書き換えられた。
「ぎゃあああ! 足の裏が痛い! 健康になってしまう!!」
「働きたくないのに……体が勝手に、ポテチの皮を拾って分別し始めている……!」
ニートたちは涙を流しながら、お母さんの圧倒的な「主婦の威圧」に屈し、世界で最も規律正しい「環境美化団体」へと強制改造されていった。
「……ママ、やりすぎ。楽園がただの『大規模な大掃除会場』になってるんだけど」
「ふん、掃除もできない奴に新世界を語る資格はないわ! さあ神様たち、次はあっちの『ゲームのやりすぎで目が血走ってる連中』に、目薬とラジオ体操を叩き込みなさい!」
第52話、ありがとうございました!
「健康になってしまう!!」と絶叫するニートたち……ある意味で最も残酷な罰かもしれません(笑)。
お母さんの前では、どんな理想郷も「実家のルール」に上書きされてしまいますね。




