第51話:『第2部始動。 ―新世界のホワイトボードは冷蔵庫にあり―』
第2部、開幕!
創造主のママ、エンジニアのパパ、そして最強ユーザーのリィナ。
九条家による「世界の作り変え」が始まります。
魔王はリストラの危機に怯え、神々はインフラ整備に追われる。
リィナが望むのは、ただ一つ。「もっと快適な、だらだらライフ」でした。
「……はい、注目。今日から『世界2.0』のアップデート作業に入るわよ」
お母さんが、マグネットで冷蔵庫に貼り付けたホワイトボードを指し示した。
そこには「燃えるゴミの日」の横に、**【物理法則の再定義】【魔法と科学の統合】【おやつは300円まで】**という、宇宙の根幹を揺るがす項目が並んでいる。
「ママ、昨日まで『ただの主婦』のフリしてたクセに、急にディレクター面しないでよ」
リィナは寝癖のついた頭で、神々が淹れた「全知のコーヒー」を啜った。
昨日の今日で、世界が実は「ママの手作りプログラム」だったと知らされても、九条家の日常は1ミリも揺るがない。
「リィナ。パパも協力するよ。……(印:バグの全抽出)×(印:最適化)。……よし。まずは、この世界の『死』という概念を、もう少しマイルドにしよう。HPがゼロになったら、一旦『有給休暇』として別次元の温泉に飛ばされる仕様に変更した」
「……パパ、それただの『強制バカンス』じゃない。魔王が泣くわよ」
実際、リビングの隅で正座していた魔王サトウは、ガタガタと震えていた。
「き、聞いたか……。創造主(ママ様)とエンジニア(パパ様)が、我々の『恐怖の支配』を『福利厚生』に書き換えようとしている……。我々魔族、もう怖がられる仕事がなくなるぞ……!」
「いいじゃない、サトウさん! これからは『癒やしの魔王』として、肩揉みでも極めなさい!」
お母さんの一喝で、魔王のキャリアパスが「マッサージ師」に確定した。
「……はぁ。じゃあ、私は何すればいいの?」
「あんたは『ユーザー代表』よ。……(リィナのセンス)×(新世界の自由度)。……ほら、リィナ。このスマホで、好きなように新しい大陸を描いてみなさい。あんたの『掛け算』なら、描いた瞬間に実体化するわ」
リィナは手渡されたタブレットを適当にスワイプした。
「……じゃあ、全土にWi-Fiが飛んでて、ポテチの木が生えてる『引きこもり専用大陸』を作るわね」
パチン、と指を鳴らした瞬間。
太平洋のど真ん中に、巨大な「ソファ型の大陸」が隆起し、衛星軌道上の神々が「爆速通信」の加護を叩き込み始めた。
九条家の「世界創生」は、あまりにも適当で、あまりにも最強に始まった。
第51話、ありがとうございました!
冷蔵庫のホワイトボードで宇宙の仕様が決まるという、相変わらずの九条家クオリティ(笑)。
魔王が「肩揉み師」に転職させられる展開、第2部もカオスになりそうです。




