最終話(第1部):『デバッグの終わり。 ―真の管理者は、いつも側に―』
第1部、堂々の完結!
リィナが追い求めた「真の管理者」は、まさかの実の母親でした。
世界の理すらも、九条家にとっては「家族のコミュニケーション」の一部。
リィナの最強伝説は、ここから「新世界の創造」という名の第2部へと続いていきます。
「……やっぱり、おかしいのよね」
卒業式を終え、天使たちが去った後の静かなリビング。
リィナは、手元にある「世界のソースコード」を眺めていた。
神も魔王も、運営ですら手に負えなかったこの世界のバグ。しかし、リィナがいくら修正しても、この世界には「消えない違和感」が残っていた。
「私の『掛け算』の能力……これ、誰が私に与えたの?」
リィナがその疑問を口にした瞬間、リビングの時計が止まった。
パパが新聞を置く音も、お母さんがお茶を淹れる音も消え、世界が「静止画」になる。
「……気づいちゃった? リィナ」
声をかけたのは、エプロンを外したお母さんだった。
しかし、その瞳には宇宙の星々が宿り、纏うオーラはもはや「主婦」のそれではない。
「ママ……? なんで動けるの?」
「当たり前でしょ。あんたを産んだのは私よ。……そして、この欠陥だらけの世界を、暇つぶしに『プログラム』したのも私なんだから」
お母さんは笑いながら、空中にウィンドウを呼び出した。そこには、リィナが使っているものより遥かに上位の、**(無)×(有)**を操る「母の権限」が並んでいた。
「パパも知ってるの?」
『ああ。……私は、そのプログラムが暴走しないように「デバッグ」として派遣された、現実世界のシステムエンジニアだよ』
パパが眼鏡を拭きながら、いつもの穏やかな顔で答える。
「……じゃあ、私の能力は?」
「あんたへの『誕生日プレゼント』よ、リィナ。学校生活が少しでも楽になればいいなと思って。まさか、世界を支配しちゃうなんて、さすが私の子ね」
お母さんは優しくリィナの頭を撫でた。
リィナが戦ってきたバグも、神々の乱入も、すべては「最強の家族」による壮大な「親子ゲンカ」と「子育て」の一環に過ぎなかったのだ。
「……バカバカしい。私、本気で世界が壊れるかと思って心配したのに」
「ふふ、ごめんね。でもこれで、あんたも『卒業』よ。明日からは、新しい世界を一緒に作りましょう?」
リィナは溜息をつき、スマホの電源を落とした。
世界は相変わらずバグだらけ。でも、隣に最強の「開発者」と「エンジニア」がいるなら、どんな未来でも『掛け算』でなんとかなる。
「……とりあえず、明日の朝ごはんは目玉焼きにして。……神様たちも呼んでいいから」
九条家の朝は、明日もまた、次元を越えて騒がしく始まる。
第50話までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
「お母さんが創造主」という、これまでの圧倒的な強さに納得しかいかないオチ(笑)。
パパもただの社畜ではなく、世界のエンジニアだったとは……九条家、恐るべし。
『九条リィナの異世界デバッグ無双 ―第1部:学園・実家編―』 完




