第4話:『自称・勇者の闖入者。 ―警備員、採用のお知らせ―』
魔王軍の幹部をカレーのついでに粉砕したリィナ。
平和な朝が訪れるかと思いきや、村の防衛システムを突破して一人の男が転がり込んできます。
「現代の知識」を武器に、この世界でトップを狙う野心家の登場。
しかし、リィナの規格外すぎる力の前では、彼の野望も「面接」の材料に過ぎませんでした。
「うぉぉぉ! なんだこの村! ログハウスじゃなくて白亜の宮殿じゃねーか!」
昨日リィナが秒速で整えた「時空障壁」を、奇跡的な運の良さと現代的なハッキング技術で潜り抜けてきた男がいた。
逆立った髪に、いかにも「主人公」然とした装備。
名をゼノン。リィナと同じく現代から召喚された転生者である。
「よし、この村の主を倒して、俺がこの国の王に――」
「……ねえ、そこ。土足で上がらないでくれる?」
ゼノンの背後から、冷ややかな声がした。
振り返ると、そこにはエプロン姿でおたまを手にしたリィナが立っていた。
「あ? なんだ小娘、お前がこの村の――待て、その魔力。お前、まさか『九条リィナ』か!?」
「……私のこと知ってるの?」
「当たり前だろ! 現代じゃ『最強の不登校児』として有名だったからな! だが、この世界じゃ俺の【万能ハック】が最強なんだよ! くらえ、システム強制上書き――」
ゼノンがドヤ顔でスキルを発動しようとした瞬間。
リィナが指先で小さな円を描いた。
「(印:権限剥奪)×(印:永久フリーズ)。……はい、おしまい」
「…………え?」
ゼノンの目の前に、真っ赤な「Connection Error」の文字が浮かび上がり、彼の体は糸が切れた人形のようにその場に固定された。
指一本動かせない。スキルの発動どころか、まばたきすらリィナに管理されている。
「な、なんだこれ……俺のスキルが、無効化されてる……!?」
「無効化じゃないわよ。あんたのスキルの『優先順位』を、村のゴミ捨て場の管理権限より下に設定しただけ」
リィナはゼノンの懐から「現代のスマホ(魔導改造済み)」を抜き取ると、興味深そうに眺めた。
「あんた、これ使えるのね。……ちょうどいいわ。村の警備システムが自動だと味気ないと思ってたの。今日からあんた、ここの門番ね。給料はカレー現物支給で」
「はぁぁ!? 俺を門番に――」
「嫌なら、一生そのポーズで石像にして庭に飾ってあげるけど?」
リィナの瞳に宿る、本気の「面倒くさそうな殺意」。
ゼノンは一瞬で悟った。この女は、同じ転生者でも「住んでいる次元」が違うのだと。
「……喜んで。警備員、務めさせていただきます、ボス」
こうして、のちに「最強の門番」と呼ばれることになるゼノンが、半ば強制的に仲間に加わった。
第4話、ありがとうございました!
リィナの容赦ない「権限操作」。せっかくのハッキングスキルも、リィナの手にかかれば「ゴミ捨て場以下」に設定されてしまうという悲劇……(笑)。
しかし、ゼノンの持つスマホが、今後の「投げ銭システム」とどう関わっていくのか?
次回(お昼分)は、「ゼノンの持ち込んだ技術とリィナの掛け算が、村に『娯楽』をもたらす話」をお届けします!




