第28話:『魔龍、キャラ弁になる。 ―破壊神の新しいアイデンティティ―』
ラスボスたちがキャラ弁職人として第二の人生を謳歌し、モールは絶頂期を迎えます。
しかし、あまりにもリィナが世界を「幸せ」にしすぎたせいで、宇宙のシステムが「バランス不全」を検知。
皮肉にも、平和そのものが滅びの引き金になるという、最大の矛盾がリィナに突きつけられました。
「……ねえ、リィナ様。この『デコふり』っていうの、もっと青いやつないの?」
調理場で、世界を滅ぼすはずだった魔龍(現在:手のひらサイズのぬいぐるみ形態)が、短い手足で必死にピンセットを操っていた。
横では、かつて虚無を司った王が、エプロン姿で米を研いでいる。
「……文句言わないの。あんたたちがキッズスペースで人気出すぎたせいで、モールの限定弁当の注文が止まらないんだから」
リィナは面倒そうに、炊き立ての米に(印:栄養倍増)×(印:色彩補正)×(印:究極の旨味)を掛け合わせていく。
「ボス、これマジかよ……。地上の王族たちが『魔龍弁当』を求めて、国境を越えた大行列を作ってるぞ」
ゼノンが注文票の束を持って震えている。
本来、一瞥するだけで精神を破壊する魔龍の姿が、今や「ちくわ」と「海苔」で見事に再現され、子供たちの胃袋に収まろうとしていた。
「リィナ、これ面白いね。破壊神の魔力を『味覚の感動』に変換するなんて。これこそ究極のエネルギー循環だよ」
テラ(元・神様)が、試作品の「魔龍の唐揚げ(中身は鶏肉)」をつまみ食いしながら感心する。
「……別に。捨てるのもったいないから、再利用してるだけ。ほら、魔龍。あんたの鱗(を模した紫キャベツ)、配置がズレてるわよ」
『きゅぴ!?(ひえぇ、申し訳ございません主様!)』
かつての終焉の咆哮は、今や可愛らしい電子音のような鳴き声に上書きされ、魔龍は必死に自分を模したキャラ弁を完成させていく。
だが、その平和な調理場に、突如として**【緊急警告】**のアラートが響いた。
現実世界のモニター越しではない。リィナの脳内に直接、運営ですら、神ですら介入できない「真のシステムのバグ」が告げられる。
【警告:世界の幸福指数が上限を突破しました。このままでは、全次元の『苦しみ』というバランスが崩壊し、強制的に『大災害』が発動します】
「……は? 幸せすぎて世界が滅びるって、バカなの?」
リィナの瞳から、料理中の緩い空気が消え、鋭い「計算者」の光が戻った。
「魔龍が自分のキャラ弁を作る」というシュールな光景から一転、不穏なシステム警告……。
「幸せすぎるとリセットされる」というバグに対し、リィナがどう「掛け算」で立ち向かうのかが見どころです。




